異世界転移するような人が平凡な高校生だと思った?

16話 レベルアップ II

起きるとまず見えたものは見慣れない天井。そして俺が寝ていた場所は自分の部屋の床だった。

「いっつつ......なんで俺こんなところで寝て.....あ、そうだ昨日突然身体中がめちゃくちゃ痛くなって....そのまま倒れたのか...」

あの痛みはマジでやばかったな...首をちょっきんさせられた方がまだ楽なんじゃないかってくらいだった....いや、されたことないから分からないけど

「あ、生きてる。」

「そこは 起きてる じゃないのか?ティファ....」

「だって昨日地獄を見たんでしょ?」

「やっぱり知ってたんだな....?どういう事だよあれは....本当に死にかけたぞ?」

「ユウ、あんた昨日全くレベルが上がってなかったって言ってたでしょ?」

「あー、うん」

「実はあれカードが原因でね。カードが急に処理しきれない経験値が加算されたような時、自動的にスリープモードに入って、持ち主が経験値を稼いでる間はずっとその状態になるのよ。そしてそれは経験値が完全に入らなくなった時にいっぺんに処理するってわけ..........ここまでちゃんと分かってるかしら?」

「....えっとつまりーあれだろ?レベル1の俺がいきなりオークなんか倒したもんだからそのスリープ状態?ってのになったと。」

「えぇ、まぁそうよ。そしていっぺんにレベルアップするって事はね、疲れで例えれば100kmを全力で走る辛さが数瞬で来るってことなの。もうこれでだいたい理解出来たわね?」

「あぁ..まぁ実際に経験したから結構納得できたよ.....」

「そう。じゃあ理解もできたところでユウ、レベルは?レベルはどうなったのかしらっ?」

ティファが少し興奮気味だ。まさかこいつにもゲーマー魂が宿ったのか!?

ってそんな馬鹿な事は良い。俺もウキウキした気持ちでカードを見た。

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名前: 佐野  祐
種族:人間
Lv:  19

体力: 10800
攻撃力:10500
防御力:10200
魔力:20000
知力:10600
運:20500

スキル:
言語理解、進化、魔法適正、幻刀

称号:
転生者
転移者
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「19!  19ってすごいのか!?ティファ!」

「えぇ!凄いわよ!冒険者ってのは安全マージンをよく取る人が多いからレベルを1上げるのに1週間かかる人だっているんだから!」

それは少しかかりすぎな気もするな...

まぁだけどここはゲームと違って死んだら終わりなんだ。そういう意味では、それくらいのペースが通常なのかもしれない。

「それでさティファ、1つだけ、聞きたいことがあるんだけど。」

「何かしら?」

「レベル19のステータスの基準って───どれくらい?」

「?見てるとおりのはずだと思うわよ?1500くらいまで上がってるんじゃない?
あぁ、もしかしてそれより少し少ないとか?大丈夫よそんなの誤差よ誤差。ユウはそもそもスペックが違うんだから。」

「そ、そうなんだ.....」

誤差?....じゃあ10000オーバーは誤差だろうか....本当にこのカード信用していいものか...

それとなんかスキルも増えてるな。どういうスキルか知るためのものとかないのだろうか。本当に不便だ。

「あ、ちなみ今日はそこで大人しくしてた方がいいわよ〜」

「え?なんで.....っていってぇぇぇぇぇぇ!!!」

立ち上がろうとしたら昨日の痛み程ではないが全身に筋肉痛のような痛みが走った。

「大袈裟ね。成長痛みたいなものよ。急にレベルが19も上がればそうなって当然よ。でもそんなに痛いかしら?歩くとチクチクするくらいだと思うのだけれど。」

そりゃ全ステータスが10000も上がればこうなるでしょうよ!!

「お、俺痛みに敏感で....アハハ......」

とは言えずに今世紀最大の我慢をしながら立ち上がりベットに座り込む。

「ほんとにユウって不思議な人ね。まぁ動けるようになったら下に来て朝食食べに来なさい。システィには言っとくから。」

「分かった。すまん。」

「別にいいわよ。それと明日からまた教習再開するからちゃんと治しておきなさいよ〜」

そう言いながらティファは部屋を出ていった。

「はぁぁ。なんか疲れたな.....色々ありすぎた。
 ちょっと前の世界での日常が恋しいな......結は大丈夫だっただろうか...母さん達だってきっと心配して....」

床で寝たからやはりあまり疲れが取れてないのだろうか。眠気が──────

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