異世界転移するような人が平凡な高校生だと思った?

14話 クエスト III

無事にオークを倒した俺はなんか少し体が軽いなと思いながらティファの元へ戻った。

「ティファなんかすごい顔になってるぞ?」

ティファの顔はなんとも言えない、驚いてるような不思議なような分かりにくい顔をしていた。

「...へ?あ、あぁうん.....ってそんな事は今はどうでもいいのよ!なんなのよ今のは!」

オークを倒したことを言っているのだろうか。でもそれにしては反応が可笑しくないか?もしかしてゴブリンくらいの強さはあったとか?うーん分からん。

「ごめんティファが何のことについてそんなに驚いてるのか分からないんだが?」

「はぁ!?瞬間移動みたいなことしてよく言うわね!」

「瞬間移動?俺が?」

「えぇそうよ!それにオークは10階層に出る魔物よ!」

「そんなことを言われても....俺どうやったかよく覚えてないし......」

「覚えてないって.....まぁでもたまにいるのよね......武術の天才みたいな奴が..........それにもしかしたらユウがまだスキルを隠蔽していたって可能性もあるものね。」

スキルに関してはティファに見せたあれで全てだったがわさわざ話をややこしくする必要も無いも思い、黙っておくことにした。

「とにかくオークを瞬殺できる力があるからって経験は必要よ。だから、ほら次行くわよ。」

それから俺たちはゴブリンやスライムなどを無言で倒していくのだった。

そして2人がともに思ったこと..それは──



((手応えねぇ〜...))

ティファにとってはそもそも手応えなどないのだがあの劇的瞬間を見た後では余計そう感じるのであった。


「あっ!祐!あの魔物は絶対倒しなさい!」

「...?分かった。」

俺は逃げるネズミのような魔物を追っていき剣で刺した。ちょっと可愛そうだったがティファのあの慌てぶりを察するに、危険な魔物なのかもしれない。スライムだって大きくなれば驚異的だもんな。この世界では知らないけど。


「んでティファこの魔物は?」

「経験値たんまり貰えるネズミよ。」

「何それめっちゃ可愛そう!!!」

「何言ってんのよ。相手は魔物よ?」

「う、うーんまぁそうなんだけど.....」

 ゲームでは、いつもそういうモンスターは美味しいと思ってた俺もいる為、あまり強くは言えない。

「でもあれか?ほっとくといつか強くなっちゃう的な....」

「そんな話聞いたこともないわ。見つけたらみんな血眼で倒しに行くもの。」

「そ、そうなんだ....」

でもやっぱり可愛そうと思う祐なのであった。




「ユウ?そう言えばレベルはどうなってるかしら?」

「あぁ!そうだよ忘れてた!どれくらい上がってるかな〜!」

「あんた切り替え早いわね.....」

 当たり前だろレベリングした後にどれくらい上がったか見るなんてゲーマーとしては1番の楽しみだ。ネズミ?知らんな。

ワクワクしながら俺は、ステータスカードを見た。

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名前: 佐野  祐
種族:人間
Lv:  1

体力: 500
攻撃力:615
防御力:300
魔力:500
知力:600
運:1000

スキル:
言語理解
進化
魔法適正

称号:
転生者
転移者
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######
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「.....ん?なぁティファ。レベルもステータスも全く変わってないんだが......」

「え"っ?」

「不具合かな?」

「...そのカードに不具合なんてないわよ....まぁ今日の夜は気をつける事ね....」

「どういう意味だ?」

「知らない方が幸せよ。まぁ明日は教習はなしにしといてあげるから。」

おかしい。ティファがこんなに優しいはずが無い....

「ほ、ほら今日はもう帰るわよ!ここからダッシュでね!」

「え?おい!ティファ!?ちょっと待てって!ってか早!?ボルトより早くないか!?」

流石銀ランク、あんなに早いとは....

「ってそんな事考えてる場合じゃない!」

慌ててティファを追う祐だった。



*******************


走りながら魔物を掃討して帰り、ギルドに帰った頃にはバテバテだった。


「よく私についてこれたわね....しかも魔物を倒しながら...今夜ほんと死ぬわよ?」

「だから.....どういう......意味だよ.....」

 息が切れ切れながらも、理由を聞いたが可哀想な人を見る目をしながら、俺の手を引いてギルドに入る。

「システィはいるかしら。終わったわよ〜」

「あ、早かったですねティファさん、それに佐野さんも」

顔を向けるとそこには、あの時の受付嬢さんがいた。システィというらしい。
俺も息を整えて会話に加わる。

「どっかの鬼畜教官に全力ダッシュで帰らされたもんで....」

「ダンジョンでダッシュ.....ですか?」

「いいのよ、こいつ余裕そうだったし。」

「ダンジョンは何回層まで行ったのでしょうか?」

「つまんなすぎて6階層まで行っちゃったわね。」

「6階層!?今日冒険者になった人が6階層!?」

「問題ないわよ」

「も、もしかしてスライムばっかだったんですか?」

「いいえ?1体目オークが出てきたわね。」

「オークぅぅ!?何回層ですか!早く情報を回さないと!」

「大丈夫よユウが倒したから。」

システィは唖然として声にならないくらいビックリっていう顔をしていた。


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