財宝の地図

はお汰

地図

荒れる波に揉まれたのだろう。そもそもが無謀だった。わざと粗く作られた船が勝てるわけもない。とうとう父を含めた十数人の腕利き達は帰ってくることは無かった。
そしてその年、役人達は公言通り、町の若い女衆ら連れて行った。

それからと言うもの、自然様のご機嫌は治ったが、働き手の少なくなったこの町の皆は、くたびれた体に鞭を打って子供も老人も一層勤勉に働いた。

その頃やっと俺にも、父が「この町が小さい」と言った理由がわかった気がした。
しかし俺も、この小さな町で勤勉に働くほか無く、それをうれうことはあっても疑問に思うこともなかった。

凶作の年から2年ほど経ち、町も元の活気を取り戻しつつあった頃。
帰らぬ父への思いを断ち切るために、父の部屋を整理していた。

机の中からそれを見つけた時はもう、俺の見ていた世界がひっくり返ったような感覚だった。今まで幸せだと思っていたものが瓦解していくような、感覚だったら。

  父の机の中から出てきた物は。3枚から成る1つの地図だった。そこには父の字で事細かに、とある財宝の在り処が書かれていた。言われてみれば眉唾まゆつばものだが、不思議と俺はそれを信じ込んだ。

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