蘇ったら、世界が平和になっていた!?
ヒーロー参上、ベルゼちゃん! ……をしたかっただけなんだけどなぁ
助ける前に、まずは精霊アイテムを装備しないとね。じゃないとあれができないよ。
『なんとなく、ベルゼ様がやろうとしていることはイメージできるんですけど……なんでそれをやろうと思ったんですか?』
本を読んだからだよ。
あの、天魔戦争について書かれていた、ノンフィクションなのにフィクションと言っている怪しげな本!
あれに、かっこいいのが登場してたんだよ。
『一体何が登場していたんです……いや、なんとなく分かり巻いた。もういいです』
ベルフェ、ちょっと冷たくない?
まぁ、いいけどね。
今進んでいる方向であってる?
『ええ、もうすぐ見えてくるはずです』
森の中を駆けていると、魔物がいきなり飛び出てきた。
マジで鬱陶しい。
当然、私は魔物をなぎ払いながら、先に進む。
止まっている余裕なんてないんだよ。
目的地に近づくに連れて、魔物が襲ってくる回数は減ってきているんだけど、なんでいきなり襲ってきたのかな。
今まで、私のことを襲わなかったのに。
『ベルゼ様、自分の魔力……ちゃんと確認していますか』
え、魔力って……うお、なんか限界突破してる。
もう、ここいら一体が私の魔力で覆われている感じになっちゃってるよ。
どうしてかな、どうしてかな。
『おそらくですけど、土地に浸透しているベルゼ様の魔力が徐々に戻ってきているんだと思われます。
大きくなったベルゼ様の魔力は、魔物達では観測できない規模の魔力になっていますので、襲われるんだと考察します』
なるほど。
まぁ、いくら魔物が襲ってきても、あまり関係……いや、生態性を壊さないようにね。
大丈夫、そこらへんはちゃんと心得ているよ。
森の中を駆け抜けて行った先に、人影っぽいものが見えた。
それと、やたらとでかい影。
たぶん、あれがキングキラーベアなんだろうね。
そして、人影っぽいのがギルディお姉ちゃんの娘さん。
ここから見える影の位置的に考えて、なんかやばそう。急がないと。
相手との距離がはあくできたから、あれを使っても大丈夫だよね。
「秘技、適当な空間移動!」
空間魔法を使い、距離を一気につめる。
もちろん、いきなり目の前に飛ぶようなことはしない。
この魔法は、下手するとめちゃくちゃ危険だからね。
だから、キングキラーベアとかがいる場所の手前に空間移動したけど、目に映ったのは、ちょっと悲惨な光景だった。
いま、震える手で剣を持ちながら必死に逃げている、セミロングの髪をした女の子。
ちょっと、ギルディお姉ちゃんの面影があるから、たぶんこの子が娘だと思う。
それ以外の人間は、みんな死んでいた。
キングキラーベアの鋭い爪に引き裂かれて死んだもの、頭から噛み付かれて死んだもの、踏みつけられて死んだもの。
どれも無残な殺され方をしていた。
ちゃんと顔がちゃんとわかるのは、ギリギリで引き裂かれた奴のみ。
あとは、もう誰だかわからない状態だった。
「いや、来ないでよ。もう来ないでよ!」
たぶん、仲間を殺されて、自分も殺されそうになっているからパニックになっているね。
ふふ、かっこよく登場しないとね!
キングキラーベアが、触れただけで全てを切り裂いてしまいそうな爪で斬りかかった。
ギルディお姉ちゃんの娘さんは、襲いかかる恐怖に目をつぶってしまったぽい。
目を開けたらカッコイイ何かがいるって、テンション上がるシチュエーション。
いま、やったるぞ!
私はキングキラーベアの爪攻撃を魔法により防いだ。
急に現れた私、しかも攻撃を防いだことで警戒したのか、ジャンプして後ろに下がった。
ちらっと、後ろを見るとギルディお姉ちゃんの娘さんが、目を見開いた状態で固まっていた。
ふふ、驚いてる、驚いてる。
さぁ、私のカッコイイ登場セリフを聞くがよい!
「誰が呼んだか知らないが、這いよるように現れる!
どんな悪にも屈さない、己の正義を貫き通し、弱きを助け、悪を滅ぼす正義の使者。
正義のヒーロー、ベルゼちゃん見参」
私が決め台詞を言い終えると、ギルディお姉ちゃんの娘さんが、危険に晒されないぐらいの勢いで爆発魔法を発動させる。
ドドン、と大きな音を立てて、カラフルな煙が立ち込める。
ふ、決まったぜ!
『あの~、ベルゼ様?
ちょっと言いにくいんですけど、完全に滑ってますよ?
キングキラーベアも、ギルディの娘も惚けています』
私がかっこよすぎるのがいけないのね。
私って罪な悪魔!
はは、楽しい時間が過ごせたよ。
あとは助けてあげるだけだね。
未だ呆然としている、ギルディお姉ちゃんの娘さんの様子を確認しよう。
「あ、あなたは……」
「私はベルゼっていうの。冒険者なの!
よろしくね、ギルディお姉ちゃんの娘さん」
「冒険者なんだ。私はフィル。フィル・クラリオンっていうのよ。
それより、今のうちに逃げましょう。
あなた、まだ子供みたいだし、ランクも低いでしょ。
あれは勝てないわよ。早く逃げないと」
「フィルちゃんね。よろしく!
で、クマさんなんだけど……」
「ク、クマさん!
ごほん……まあいい。
わかっているなら早く逃げるわよ。
あと、ちゃん付けしなくていい。ちゃん付けされると少し恥ずかしいから」
ふむ、見た目私と変わらないけど、もうちょっと年上ぽい?
でも、プラス補正しても、15、6歳ってところかな?
フィルがどうしても逃げたいみたいなんだけど、今動くと危険なんだよね。
調子にのって、爆発魔法で煙の演出をするんじゃなかった。
まわりがよく見えないよ。
「ベルゼ、さぁ早く!」
「フィル、ちょっとま……!」
フィルを追いかけようとしたとき、いきなり視界が揺れた。
揺れ動く視界と安定しない姿勢、どうやらキングキラーベアの攻撃をまともに食らって吹き飛ばされたらしい。
勢いがついたまま、木々を何本か折って、ようやく止まった。
遠くから、悲鳴が聞こえた。
たぶん、フィルだと思う。
急に現れた、キングキラーベアによって、私が吹き飛ばされたからかな。
魔物ごときが私を吹き飛ばした。
この私を、吹き飛ばした。
それに、今の攻撃で精霊アイテムが全部ダメになった。
精霊アイテムは光の粒子になって、空高く登っていった。
その光景を見ていると、心の奥が熱くなるのを感じる。
なんか、懐かしいこの感じ。
私が封印される直後にちょっとだけ湧いてきた感情。
ーーこれは怒りだ。
クソクマがぁ、私が気分良く楽しんでるのに邪魔しやがって。
ふざけんじゃねぇぞ。
私は、遊んでいる時に邪魔されるのが一番嫌いなんだよ。
『べ、ベルゼ様。少し落ち着いて……』
ベルフェ……今から改造する。
『……え、ちょ、まって、ひゃう。いやぁ』
システム製作者の権限により、ベルフェのメイン開発画面、オープン。
いくつかの機能を追加して、ベルフェのバージョンをアップ。
ジェネレーションクリア。
ロード開始。
ロードの正常終了。
ベルフェの再起動開始。
『ん……ひゃう。一体なんですか!
ベルゼ様が、私の体を弄んで……はぁはぁ。
で、私になんの機能を追加したんですか?』
私の魔力とか戻りすぎて、力の調整が難しいかもしれないから、深いリンクと能力、威力調整をするための機能を付け加えた。
『は、はい。ありがとうございます』
じゃあ、早速、威力調整とリンク接続開始。
あのクソったれな熊野郎をぶっ殺す。
んぁ、何フィルを攻撃しようとしているんだよ!
地面が抉れるぐらい力を込めて、クソ熊に飛び膝蹴りを食らわせてやった。
クソ熊は私に驚いた上、反応もできず直撃する。
「ねぇ、大丈夫。フィル?」
フィルはコクコクと、首を縦に振ったので、クソッタレな熊野郎を睨む。
大きなダメージを負ったのか、力無く立ち上がり、フラつきながらこっちを睨んで来やがった。
本当、調子に乗っているよ。
「おい、熊野郎。たたが魔物の分際で、大魔王ベルゼ・ビュートに喧嘩を売るなんて、いい度胸してるじゃないか、おい」
私を睨んでいた、キングキラーベアがそっと目線をそらした。
それを見て、私のイライラが爆発しそうなぐらい膨れ上がる。
「大魔王ベルゼ……あ、まさか!
大罪の悪魔。暴食のベルゼブブ?
サタン・ルシファーとベリアルすらも退ける魔界の大悪魔。ほ、本物?」
「へぇ、そっちの名前まで知っているんだ。 フィルって賢いのね。
でも、今は大丈夫よ。人間の味方だから」
「ほ、本当なの。悪魔が人間の味方をするなんて……」
「ーー今のところはね」
フィルの顔を見ながら笑ってあげると、私の顔見て漏らしやがった。
恐怖で引きつった顔は、次第に何か諦めたかのような、無気力な表情に変化した。
ちょっと面白いなと思って見ていると、がさっと音がなった。
『ベルゼ様、キングキラーベアが逃げようとしています』
力の調整、任せるわよ。
『任せてください!』
「調子コキまろなクソ熊ぁ。
逃げようとしてんじゃねえよ。【ライトエンドバースト】」
天魔戦争時代、神から奪った滅びの魔法。
破壊して作り直す神様にふさわしい、死の閃光を解き放つだけの、しょうもない大規模魔法。
で、ベルフェに威力調整してもらって、クソったれなクマだけを頃てやろうと思ったんだけど……
「……一体どうしてこうなった?」
私の目の前の光景は、クマごと山一つ吹き飛ばし、平和な世界にハゲを作ったかのような状況になっていた。
ベルフェ……威力調整はどうなたの。
『あ、あのう……間違えて最大にしてしまいました……』
……やってしまったものは仕方がない。
諦めて怒られよう……ガクブル。
私が吹き飛ばした先に、光る何かが見えた。
空間移動(取り寄せ)という特別な魔法を使って、光る何か……魔力を持つ石をゲットした。
「ま、魔石……」
「どうしたの、フィル?」
「べ、ベルゼ様。それは魔石と言いまして、特定の魔物から採取される、魔力を持つ特別ないし何です」
「ふ~ん。そうなんだ。
で、なんでフィルは土下座している訳?
しかも、そこはさっき漏らしたところ……まさかそういう趣味が……」
「ち、違います。そんなことないです!」
「本当かな?」
「本当ですよ!
そして、お願いがあります」
『なんか、怪しい感じがします。
逃げましょう!』
いや、逃げちゃダメだよ。
この子は、ギルディお姉ちゃんの娘だよ。
ちゃんとしないと。
「私を大魔王ベルゼ様の配下にいれてください!」
『「……え、」』
私とベルフェの声がハモる瞬間だった。
『なんとなく、ベルゼ様がやろうとしていることはイメージできるんですけど……なんでそれをやろうと思ったんですか?』
本を読んだからだよ。
あの、天魔戦争について書かれていた、ノンフィクションなのにフィクションと言っている怪しげな本!
あれに、かっこいいのが登場してたんだよ。
『一体何が登場していたんです……いや、なんとなく分かり巻いた。もういいです』
ベルフェ、ちょっと冷たくない?
まぁ、いいけどね。
今進んでいる方向であってる?
『ええ、もうすぐ見えてくるはずです』
森の中を駆けていると、魔物がいきなり飛び出てきた。
マジで鬱陶しい。
当然、私は魔物をなぎ払いながら、先に進む。
止まっている余裕なんてないんだよ。
目的地に近づくに連れて、魔物が襲ってくる回数は減ってきているんだけど、なんでいきなり襲ってきたのかな。
今まで、私のことを襲わなかったのに。
『ベルゼ様、自分の魔力……ちゃんと確認していますか』
え、魔力って……うお、なんか限界突破してる。
もう、ここいら一体が私の魔力で覆われている感じになっちゃってるよ。
どうしてかな、どうしてかな。
『おそらくですけど、土地に浸透しているベルゼ様の魔力が徐々に戻ってきているんだと思われます。
大きくなったベルゼ様の魔力は、魔物達では観測できない規模の魔力になっていますので、襲われるんだと考察します』
なるほど。
まぁ、いくら魔物が襲ってきても、あまり関係……いや、生態性を壊さないようにね。
大丈夫、そこらへんはちゃんと心得ているよ。
森の中を駆け抜けて行った先に、人影っぽいものが見えた。
それと、やたらとでかい影。
たぶん、あれがキングキラーベアなんだろうね。
そして、人影っぽいのがギルディお姉ちゃんの娘さん。
ここから見える影の位置的に考えて、なんかやばそう。急がないと。
相手との距離がはあくできたから、あれを使っても大丈夫だよね。
「秘技、適当な空間移動!」
空間魔法を使い、距離を一気につめる。
もちろん、いきなり目の前に飛ぶようなことはしない。
この魔法は、下手するとめちゃくちゃ危険だからね。
だから、キングキラーベアとかがいる場所の手前に空間移動したけど、目に映ったのは、ちょっと悲惨な光景だった。
いま、震える手で剣を持ちながら必死に逃げている、セミロングの髪をした女の子。
ちょっと、ギルディお姉ちゃんの面影があるから、たぶんこの子が娘だと思う。
それ以外の人間は、みんな死んでいた。
キングキラーベアの鋭い爪に引き裂かれて死んだもの、頭から噛み付かれて死んだもの、踏みつけられて死んだもの。
どれも無残な殺され方をしていた。
ちゃんと顔がちゃんとわかるのは、ギリギリで引き裂かれた奴のみ。
あとは、もう誰だかわからない状態だった。
「いや、来ないでよ。もう来ないでよ!」
たぶん、仲間を殺されて、自分も殺されそうになっているからパニックになっているね。
ふふ、かっこよく登場しないとね!
キングキラーベアが、触れただけで全てを切り裂いてしまいそうな爪で斬りかかった。
ギルディお姉ちゃんの娘さんは、襲いかかる恐怖に目をつぶってしまったぽい。
目を開けたらカッコイイ何かがいるって、テンション上がるシチュエーション。
いま、やったるぞ!
私はキングキラーベアの爪攻撃を魔法により防いだ。
急に現れた私、しかも攻撃を防いだことで警戒したのか、ジャンプして後ろに下がった。
ちらっと、後ろを見るとギルディお姉ちゃんの娘さんが、目を見開いた状態で固まっていた。
ふふ、驚いてる、驚いてる。
さぁ、私のカッコイイ登場セリフを聞くがよい!
「誰が呼んだか知らないが、這いよるように現れる!
どんな悪にも屈さない、己の正義を貫き通し、弱きを助け、悪を滅ぼす正義の使者。
正義のヒーロー、ベルゼちゃん見参」
私が決め台詞を言い終えると、ギルディお姉ちゃんの娘さんが、危険に晒されないぐらいの勢いで爆発魔法を発動させる。
ドドン、と大きな音を立てて、カラフルな煙が立ち込める。
ふ、決まったぜ!
『あの~、ベルゼ様?
ちょっと言いにくいんですけど、完全に滑ってますよ?
キングキラーベアも、ギルディの娘も惚けています』
私がかっこよすぎるのがいけないのね。
私って罪な悪魔!
はは、楽しい時間が過ごせたよ。
あとは助けてあげるだけだね。
未だ呆然としている、ギルディお姉ちゃんの娘さんの様子を確認しよう。
「あ、あなたは……」
「私はベルゼっていうの。冒険者なの!
よろしくね、ギルディお姉ちゃんの娘さん」
「冒険者なんだ。私はフィル。フィル・クラリオンっていうのよ。
それより、今のうちに逃げましょう。
あなた、まだ子供みたいだし、ランクも低いでしょ。
あれは勝てないわよ。早く逃げないと」
「フィルちゃんね。よろしく!
で、クマさんなんだけど……」
「ク、クマさん!
ごほん……まあいい。
わかっているなら早く逃げるわよ。
あと、ちゃん付けしなくていい。ちゃん付けされると少し恥ずかしいから」
ふむ、見た目私と変わらないけど、もうちょっと年上ぽい?
でも、プラス補正しても、15、6歳ってところかな?
フィルがどうしても逃げたいみたいなんだけど、今動くと危険なんだよね。
調子にのって、爆発魔法で煙の演出をするんじゃなかった。
まわりがよく見えないよ。
「ベルゼ、さぁ早く!」
「フィル、ちょっとま……!」
フィルを追いかけようとしたとき、いきなり視界が揺れた。
揺れ動く視界と安定しない姿勢、どうやらキングキラーベアの攻撃をまともに食らって吹き飛ばされたらしい。
勢いがついたまま、木々を何本か折って、ようやく止まった。
遠くから、悲鳴が聞こえた。
たぶん、フィルだと思う。
急に現れた、キングキラーベアによって、私が吹き飛ばされたからかな。
魔物ごときが私を吹き飛ばした。
この私を、吹き飛ばした。
それに、今の攻撃で精霊アイテムが全部ダメになった。
精霊アイテムは光の粒子になって、空高く登っていった。
その光景を見ていると、心の奥が熱くなるのを感じる。
なんか、懐かしいこの感じ。
私が封印される直後にちょっとだけ湧いてきた感情。
ーーこれは怒りだ。
クソクマがぁ、私が気分良く楽しんでるのに邪魔しやがって。
ふざけんじゃねぇぞ。
私は、遊んでいる時に邪魔されるのが一番嫌いなんだよ。
『べ、ベルゼ様。少し落ち着いて……』
ベルフェ……今から改造する。
『……え、ちょ、まって、ひゃう。いやぁ』
システム製作者の権限により、ベルフェのメイン開発画面、オープン。
いくつかの機能を追加して、ベルフェのバージョンをアップ。
ジェネレーションクリア。
ロード開始。
ロードの正常終了。
ベルフェの再起動開始。
『ん……ひゃう。一体なんですか!
ベルゼ様が、私の体を弄んで……はぁはぁ。
で、私になんの機能を追加したんですか?』
私の魔力とか戻りすぎて、力の調整が難しいかもしれないから、深いリンクと能力、威力調整をするための機能を付け加えた。
『は、はい。ありがとうございます』
じゃあ、早速、威力調整とリンク接続開始。
あのクソったれな熊野郎をぶっ殺す。
んぁ、何フィルを攻撃しようとしているんだよ!
地面が抉れるぐらい力を込めて、クソ熊に飛び膝蹴りを食らわせてやった。
クソ熊は私に驚いた上、反応もできず直撃する。
「ねぇ、大丈夫。フィル?」
フィルはコクコクと、首を縦に振ったので、クソッタレな熊野郎を睨む。
大きなダメージを負ったのか、力無く立ち上がり、フラつきながらこっちを睨んで来やがった。
本当、調子に乗っているよ。
「おい、熊野郎。たたが魔物の分際で、大魔王ベルゼ・ビュートに喧嘩を売るなんて、いい度胸してるじゃないか、おい」
私を睨んでいた、キングキラーベアがそっと目線をそらした。
それを見て、私のイライラが爆発しそうなぐらい膨れ上がる。
「大魔王ベルゼ……あ、まさか!
大罪の悪魔。暴食のベルゼブブ?
サタン・ルシファーとベリアルすらも退ける魔界の大悪魔。ほ、本物?」
「へぇ、そっちの名前まで知っているんだ。 フィルって賢いのね。
でも、今は大丈夫よ。人間の味方だから」
「ほ、本当なの。悪魔が人間の味方をするなんて……」
「ーー今のところはね」
フィルの顔を見ながら笑ってあげると、私の顔見て漏らしやがった。
恐怖で引きつった顔は、次第に何か諦めたかのような、無気力な表情に変化した。
ちょっと面白いなと思って見ていると、がさっと音がなった。
『ベルゼ様、キングキラーベアが逃げようとしています』
力の調整、任せるわよ。
『任せてください!』
「調子コキまろなクソ熊ぁ。
逃げようとしてんじゃねえよ。【ライトエンドバースト】」
天魔戦争時代、神から奪った滅びの魔法。
破壊して作り直す神様にふさわしい、死の閃光を解き放つだけの、しょうもない大規模魔法。
で、ベルフェに威力調整してもらって、クソったれなクマだけを頃てやろうと思ったんだけど……
「……一体どうしてこうなった?」
私の目の前の光景は、クマごと山一つ吹き飛ばし、平和な世界にハゲを作ったかのような状況になっていた。
ベルフェ……威力調整はどうなたの。
『あ、あのう……間違えて最大にしてしまいました……』
……やってしまったものは仕方がない。
諦めて怒られよう……ガクブル。
私が吹き飛ばした先に、光る何かが見えた。
空間移動(取り寄せ)という特別な魔法を使って、光る何か……魔力を持つ石をゲットした。
「ま、魔石……」
「どうしたの、フィル?」
「べ、ベルゼ様。それは魔石と言いまして、特定の魔物から採取される、魔力を持つ特別ないし何です」
「ふ~ん。そうなんだ。
で、なんでフィルは土下座している訳?
しかも、そこはさっき漏らしたところ……まさかそういう趣味が……」
「ち、違います。そんなことないです!」
「本当かな?」
「本当ですよ!
そして、お願いがあります」
『なんか、怪しい感じがします。
逃げましょう!』
いや、逃げちゃダメだよ。
この子は、ギルディお姉ちゃんの娘だよ。
ちゃんとしないと。
「私を大魔王ベルゼ様の配下にいれてください!」
『「……え、」』
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