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蘇ったら、世界が平和になっていた!?

日向 葵

いちゃもんつけてくる奴ら

「えっと、これからティルミちゃんに会って、ギルドに報告して、門番さんにカードを見せに行かなくちゃ!」

「あなたは、冒険者になったばかりでしょ。 報告することなんてあるの?」

 不思議そうな顔をして、私を見てくるラピスお姉ちゃん。
 どうしよう、これって言っちゃいけないことだった。
 確か、冒険者や騎士、傭兵じゃない者が護衛などをやると、雇った側が犯罪になるんだっけ?
 どうしよう、私の発言がティルミちゃんを犯罪者に……

「ねぇ、教えてくれる?」

「はは、えーっと」

 私を覗き込む用に見てくるラピスお姉ちゃん。
 どうしよう、どうやって誤魔化せば……

『素直に言ったらどうですか?』

 黙れ、ベルフェ。
 そんなことをしたら、ティルミちゃんが犯罪者になっちゃうよ。

『事情を説明していれば大丈夫なんじゃないですか?
 ベルゼさまは冒険者になったのですから』

 大丈夫かな?

『大丈夫ですよ!
 私が保証します』

 うーん、ベルフェが言うから不安になってくるんだけどね。
 仕方ない、正直に言おう。

「えっと、この街に来る途中、とある商人が襲われているところを助けまして……」

「なぜに敬語?
 まぁいいや。それで、商人を助けて、護衛をしながらこの街にやってきたと?」

「うん、そういうことだね」

「雇った商人、犯罪者じゃない!
 早く捕まえないと」

 ああ、やっぱりこうなった。
 ポンコツなベルフェめ!
 ……なんか「ありがとうございます!」とか聞こえたけど、無視しよう。

「お願いします。ティルミちゃんを捕まえないで!
 ティルミちゃんは、私が冒険者と勘違いして依頼しちゃったんだよ!」

「そんなわけ無いでしょ!
 あなたみたいな子供が冒険者に見えるわけないじゃない。
 事実、冒険者になったのは今日なんでしょ?」

「それもそうなんだけど、あの時、冒険者を三人ほど縛り上げちゃったから……」

「え、ベルゼちゃんが?」

「うん……」

「もしそれが本当なら、仕方がないことかもしれない」

 お、ラピスお姉ちゃんが協力してくれそうだ。
 やった、ティルミちゃんを犯罪者にしなくて済みそうだよ!

「お前らをあんな目にした奴らをさっさと教えろよ」

「あ、兄貴。やめてください。
 あいつは本物の化物なんですって」

「ガハハ、化物なんておれが退治してやるよ」

 下品な笑いをする5人組が、冒険者ギルドにやってきた。
 弱っちそうな三人と、聖職者?的なやつ。
 あと、見た目が山賊のお頭ですって感じのやつね。
 きっと、あれがボスなんだろう。
 でもなんだろう。
 あの三人組、どっかで見たような気がする。
 それに、声も聞いたことがあるんだよね。
 どっかであったかな?
 でも、どこであったんだろう。
 封印されている場所から目覚めて、ティルミちゃんを助けて、街に来て冒険者になった。
 あれ、他に誰か会ったっけ?

「っち、デブサとその配下たちか……」

 ぷぷ、なんて面白いことを言うんだろう、ラピスお姉ちゃんは!
 デブサ……
 あの山賊みたいな奴はたしかにデブだ。
 それを宣言しているような名前。
 あいつが自己紹介とかしたら「俺はデブさ」とか言うんでしょ。
 爆笑ものじゃない!

「あ、なんだこのガキは。
 ラピス、お前のガキか?
 冒険者ギルドは、いつから託児所になったんだよ。
 そんなガキはさっさと追い出しちまえ」

「何を言うんだデブサ。
 この子は立派な冒険者だ。
 同業者を馬鹿にするもんじゃない!」

 ラピスお姉ちゃんが私をかばってくれた。
 私は何を言われても気にしないんだけど……

「あ、こいつは!」

 馬鹿そうな三人組の一人が、私の顔を見て声をあげた。
 うん、悲鳴みたいだね。

「な、なんでお前みたいな化物がこんなところにいるんだよ!」

 むむ、誰だこいつ。
 てか、いきなり知らない人から悲鳴を挙げられるようなこと、していないんですけど。
 まぁ、今の時代ではしていないってことなんだけどね。

「デブサさん。こいつです。こいつが化物です」

 人を指差してイキナリ化物扱いかよ。
 調子こいてんな、人間!

 デブサが私を見てきたなーって感じの時、冒険者ギルドに一人の少女がやってきた。
 うん、ティルミちゃんだね。

 「あ、ベルゼさん」

 私を見つけて、こっちに小走りしてきた。
 ティルミちゃんが私の方に来るとき、デブサたちのことをちらっと見てしまったらしい。
 「ひぃ」っと小さく悲鳴をあげた。
 急いで私のところに来て、私の後ろに隠れるティルミちゃん。
 ティルミちゃんは小さく震えていた。

 思い出した。
 ティルミちゃんにひどいことをしようとした犯罪者たちだ。
 こいつら、まだ生きてたんだ……

「ラピス、こいつが冒険者だって。
 バカいってんじゃねぇ。
 戦うこともできないガキが冒険者を名乗っているだけでムカつくんだよ」

「だが、このギルドが認めた冒険者だ。
 いくらD級の冒険者だとしても、ギルドの決定を覆すなんて不可能だ!」

「はん、わかってねぇな。
 実力があるかどうか、おれが見てやるって言ってるんだよ。
 実力がなかったらそれまでだ」

 ガハガハと下品な笑いをするデブサ。
 私自身も、こんな奴に興味はない。
 でもね、ティルミちゃんを震えさせるなんて許さないよ。
 てか、犯罪者なんだから捕まっちまえよ!
 それとも、私が灰も残らない死をプレゼントしてあげようかな。

「ベルゼさん……助けて……」

 ティルミちゃんは、襲われたときの恐怖を思い出してしまったんだろう。
 かわいそうに、泣いちゃったよ。
 こうなったら私がやるしかないね。

「ねぇ、デブ」

「あぁ、なんて言ったんだクソガキ!」

「黙れ、犯罪者」

「!!」

 私が、犯罪者と言った瞬間、後ろに控える三人組が怯え始めた。
 私がやったことを思い出して、恐怖しているらしい。

「お前、俺をデブとか言ったな。
 教育してやるよ、クソガキが!」

「ベルゼちゃん!」

 いきがったデブ……命名【オーク】は声を荒げて斬りかかってきた。
 ラピスお姉ちゃんが守ってくれようとしたが、オークの攻撃の方が速かった。
 と言っても、その攻撃は、私から見ると遅い。
 イモムシが、地面を這っているように遅い。
 簡単に白羽取りができるよ。

 私が片手で剣を受け止めたことに周りの冒険者が驚愕する。

「なぁ、お前らの仲間がティルミちゃんを襲っていること、私は知っているんだよ?」

 オークの顔が赤くなっていく。
 たぶん、力を入れているんだと思う。
 でも、ピクリともしない剣。
 だって、悪魔な私が抑えているんだよ。
 お前ごときで動くわけないじゃん。
 剣を横から殴り、折る。
 そして、オークのブヨブヨしたお腹に一撃入れてやった。

「ぐふぅ」

「おい、犯罪者ども。
 今度ティルミちゃんに手を出してみろ。
 次は……無いよ?」

 笑顔で三人組を見てやった。
 そうすると、4人が首を縦に振り続けた。
 それはもう、首が取れるんじゃないかと思わせるような感じで……
 三人組は、私のことを知っているからあれだけど、聖職者みたいな冒険者が納得してくれて良かったよ。

 オークは、連れに運ばれていった。
 これにて一件落着。

「ベルゼちゃんって、強いのね」

「だって、悪魔だから。
 行こ、ティルミちゃん!
 ラピスお姉ちゃん、またね!」

 このあと、私はティルミちゃんと、門番のところに行った。
 報酬の話は忘れていないよ。
 あの場は一刻も早く出たほうがいいって思ったから出ただけ。
 無事に身分証の確認終了。

 そして、今日はティルミちゃんの家にお世話になることに。
 いろいろあったから疲れちゃった。
 明日から頑張る……

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