蘇ったら、世界が平和になっていた!?
あんな本があるなんて……
うう、なんだろうこの空気は。
周りの人たちが、凄く怖いんですけど!
「ねぇ、お嬢ちゃん。名前、なんていうの?」
「えっと、ベルゼっていうの」
「そう、ベルゼちゃんっていうのね。私はラピスっていうの」
「ラピスお姉ちゃん?」
「うん。それでね。一つ聞きたいことがあるんだけど、なんで冒険者になりたいの?」
ああ、ラピスお姉ちゃんの後ろに般若さんが見えるよ。
うう、怖いよ。
でも、言葉が優しげなんだよね。
もしかして、心配してくれて怒ってくれるのかな?
だとしたら、ちょっと嬉しい。
私が魔界で暴れてた頃なんて、誰も心配してくれなかったのに。
『私は心配してましたよ!』
……誰も心配してくれなかったのに。
『なかったことにされた!』
うん、ベルフェのことは置いとこう。
どうせ、碌でもないことしか喋らない、残念システムだしね。
作成者は私なんだけど。
んで、私が魔界にいた頃は、暴れまくったせいもあって、「あいつなら大丈夫」状態だった。
とっても強力な、災厄クラスの魔物が魔界現れたとき、悪魔のみんなが私を頼ってきた時があった。
やってきたのは、”死を運ぶ風”とも言われている災厄クラスの魔物、デスペリアだった。
まぁ、私にかかれば問題ない。
【暴食】で食らってやった。
で、私が帰ってきてみると、みんなでなんかして遊んでるの。
私が、必死……でもなかったけど、戦ってあげたのに!
それに比べて、人間は優しいな。
ラピスお姉ちゃんも、私のことを心配してくるって思うとニヤニヤが止まらない。
「ねぇ、笑ってないで教えてくれないかな? もしかして、いたずらなの」
「違うよ。私には、冒険者カードを手に入れなきゃいけない理由があるの」
「理由?」
「あのね。私には身分証がないの。だから冒険者カードが必要なの!」
「……そうだったわ。この子はオムレツを食べて泣くぐらい辛い人生を歩んできた子供だったわ」
「それに、冒険者はお仕事だから、お金を稼いでたくさん遊ぶんだ」
ん、ラピスお姉ちゃんが、よろめいているよ。
こう、何かショッキングな事があったかのように感じる。
何かあったのかな?
「冒険者は大変よ? それでも頑張れる」
「うん、大丈夫だよ!」
「よし、じゃあ登録してきなさい」
「わかった!」
話しているうちに、場の空気が冷めていった気がした。
怒りで何かが爆発しそうな冒険者たちの視線は、かわいそうな子供を見る目に変わっているのがなんとなく分かる。
うん、こういう扱いになるんじゃないかなって、薄々思っていたよ。
ほんとったらホントだよ。
さて、やっと冒険者の登録ができる。
まぁ、ラピスお姉ちゃんに抱っこしてもらってだけどね。
「お嬢ちゃん、文字は書く事ができる?」
「うん、できるよ!」
冒険者登録用紙にどんどん記入していく。
私がスラスラと書けるもんだから、受付のお姉さんもラピスお姉ちゃんも驚いている。
私が文字をかけるのは、ベルフェのおかげなんだけどね!
『おお、お褒めの言葉。私は幸せものですぅ』
こんなんで喜んでくれるなんて……
ちょっとかわいそうになってくる。
ん?
もしかして、ほかの冒険者たちも、私のことをそういう目で見てたのかな?
なんだろう。
魔王は、ぼっちが寂しいようだよ。
「よし、おねえさん。書けたよ」
「はい、見せてもらいますね……これは!」
「何、どうしたの」
ラピスお姉ちゃんと受付のお姉さんが、私の書いた登録用紙を見て驚いている。
「あなたの名前はベルゼ・ビュートなの?」
「うん。そうだけど?」
「職業は、大魔王?」
「うん。私は悪魔。大魔王!」
なんだろう。
私のことを、可哀想な子供を見る目になっている。
「ねぇ、あの本を持ってきてもらえないかしら」
「はい、分かりました」
受付のお姉さんが、奥に言ってしまった。
ラピスお姉ちゃんは、私のことを下ろして、目線を合わせてくれた。
一体どうしたんだろう。
「あなたは、本当にベルゼ・ビュートなの?」
「だからそうだって言ってんのに!」
なんで信じてくれないの。
私は変なこと言ってないんだよ。
本当に本当だよ!
あ、受付のお姉さんが戻ってきた。
「あなた、これを読んでくれる?」
受付のお姉さんが渡してくれたのは、一冊の本。
タイトルは、『残虐な魔王と世界を守護した神々』。
読んでみると、なんとも懐かしいことが書かれていた。
始まりは、いきなりあわられた悪魔が、女神を殺すところから始まっている。
そして、共通界に恐怖が訪れる。
魔界より、大魔王が率いる悪魔の軍勢が進軍してきたのだ。
神々は、不安になっている人間に手を差し伸べて、ともに悪魔と戦った。
最後は、戦争に飽きてしまった魔王の不意をついて、魔王を封印する。
そして、世界に再び平和が訪れたっていう話。
そして、この本で敵の大将となっている大魔王の名前は、ベルゼ・ビュートとなっていた。
つまりあれだ。
これには天魔戦争の事が書かれている。
「もしかして、君はこの本を知っているのか?」
むむ、なんて答えればいいんだろう。
知っているけど知らないんだよね。
この戦争を行った張本人だけど、この本を見るのは始めてだからね。
よし、正直に言うよ!
「私、そんな本知らないよ!」
ちょっと顔を赤らめて言ってみた!
あれだ、自分の名前が、ほかの何かに出ていて、恥ずかしそうにする感じのあれ。
ほら、私は正直に答えたよ。
だって、本は知らないもん。
「そっか。だったら、本当の名前なんでしょうね」
「しかし大魔王って何?」
「私、魔界出身。魔王をやってました!」
「え、あなたは悪魔なの」
「私も、驚きです。人間と変わらないんですね」
受付のお姉さんと、ラピスお姉ちゃんが驚いていた。
でも、リアクションはそれだけだった。
なんだろう。
今が平和だからいけないのかな。
魔王って言っても驚かれなかったよ。
でも、これで冒険者になれたんだ。
ふふ、いっぱい稼いじゃうぞ!
「はい、これが冒険者カードね。これから頑張ってね」
「うん。頑張るよ!」
まぁ、冒険者になれたことだし、良しとしよう。
これから楽しい日々が待っているんだ。
冒険者として、頑張るぞー
周りの人たちが、凄く怖いんですけど!
「ねぇ、お嬢ちゃん。名前、なんていうの?」
「えっと、ベルゼっていうの」
「そう、ベルゼちゃんっていうのね。私はラピスっていうの」
「ラピスお姉ちゃん?」
「うん。それでね。一つ聞きたいことがあるんだけど、なんで冒険者になりたいの?」
ああ、ラピスお姉ちゃんの後ろに般若さんが見えるよ。
うう、怖いよ。
でも、言葉が優しげなんだよね。
もしかして、心配してくれて怒ってくれるのかな?
だとしたら、ちょっと嬉しい。
私が魔界で暴れてた頃なんて、誰も心配してくれなかったのに。
『私は心配してましたよ!』
……誰も心配してくれなかったのに。
『なかったことにされた!』
うん、ベルフェのことは置いとこう。
どうせ、碌でもないことしか喋らない、残念システムだしね。
作成者は私なんだけど。
んで、私が魔界にいた頃は、暴れまくったせいもあって、「あいつなら大丈夫」状態だった。
とっても強力な、災厄クラスの魔物が魔界現れたとき、悪魔のみんなが私を頼ってきた時があった。
やってきたのは、”死を運ぶ風”とも言われている災厄クラスの魔物、デスペリアだった。
まぁ、私にかかれば問題ない。
【暴食】で食らってやった。
で、私が帰ってきてみると、みんなでなんかして遊んでるの。
私が、必死……でもなかったけど、戦ってあげたのに!
それに比べて、人間は優しいな。
ラピスお姉ちゃんも、私のことを心配してくるって思うとニヤニヤが止まらない。
「ねぇ、笑ってないで教えてくれないかな? もしかして、いたずらなの」
「違うよ。私には、冒険者カードを手に入れなきゃいけない理由があるの」
「理由?」
「あのね。私には身分証がないの。だから冒険者カードが必要なの!」
「……そうだったわ。この子はオムレツを食べて泣くぐらい辛い人生を歩んできた子供だったわ」
「それに、冒険者はお仕事だから、お金を稼いでたくさん遊ぶんだ」
ん、ラピスお姉ちゃんが、よろめいているよ。
こう、何かショッキングな事があったかのように感じる。
何かあったのかな?
「冒険者は大変よ? それでも頑張れる」
「うん、大丈夫だよ!」
「よし、じゃあ登録してきなさい」
「わかった!」
話しているうちに、場の空気が冷めていった気がした。
怒りで何かが爆発しそうな冒険者たちの視線は、かわいそうな子供を見る目に変わっているのがなんとなく分かる。
うん、こういう扱いになるんじゃないかなって、薄々思っていたよ。
ほんとったらホントだよ。
さて、やっと冒険者の登録ができる。
まぁ、ラピスお姉ちゃんに抱っこしてもらってだけどね。
「お嬢ちゃん、文字は書く事ができる?」
「うん、できるよ!」
冒険者登録用紙にどんどん記入していく。
私がスラスラと書けるもんだから、受付のお姉さんもラピスお姉ちゃんも驚いている。
私が文字をかけるのは、ベルフェのおかげなんだけどね!
『おお、お褒めの言葉。私は幸せものですぅ』
こんなんで喜んでくれるなんて……
ちょっとかわいそうになってくる。
ん?
もしかして、ほかの冒険者たちも、私のことをそういう目で見てたのかな?
なんだろう。
魔王は、ぼっちが寂しいようだよ。
「よし、おねえさん。書けたよ」
「はい、見せてもらいますね……これは!」
「何、どうしたの」
ラピスお姉ちゃんと受付のお姉さんが、私の書いた登録用紙を見て驚いている。
「あなたの名前はベルゼ・ビュートなの?」
「うん。そうだけど?」
「職業は、大魔王?」
「うん。私は悪魔。大魔王!」
なんだろう。
私のことを、可哀想な子供を見る目になっている。
「ねぇ、あの本を持ってきてもらえないかしら」
「はい、分かりました」
受付のお姉さんが、奥に言ってしまった。
ラピスお姉ちゃんは、私のことを下ろして、目線を合わせてくれた。
一体どうしたんだろう。
「あなたは、本当にベルゼ・ビュートなの?」
「だからそうだって言ってんのに!」
なんで信じてくれないの。
私は変なこと言ってないんだよ。
本当に本当だよ!
あ、受付のお姉さんが戻ってきた。
「あなた、これを読んでくれる?」
受付のお姉さんが渡してくれたのは、一冊の本。
タイトルは、『残虐な魔王と世界を守護した神々』。
読んでみると、なんとも懐かしいことが書かれていた。
始まりは、いきなりあわられた悪魔が、女神を殺すところから始まっている。
そして、共通界に恐怖が訪れる。
魔界より、大魔王が率いる悪魔の軍勢が進軍してきたのだ。
神々は、不安になっている人間に手を差し伸べて、ともに悪魔と戦った。
最後は、戦争に飽きてしまった魔王の不意をついて、魔王を封印する。
そして、世界に再び平和が訪れたっていう話。
そして、この本で敵の大将となっている大魔王の名前は、ベルゼ・ビュートとなっていた。
つまりあれだ。
これには天魔戦争の事が書かれている。
「もしかして、君はこの本を知っているのか?」
むむ、なんて答えればいいんだろう。
知っているけど知らないんだよね。
この戦争を行った張本人だけど、この本を見るのは始めてだからね。
よし、正直に言うよ!
「私、そんな本知らないよ!」
ちょっと顔を赤らめて言ってみた!
あれだ、自分の名前が、ほかの何かに出ていて、恥ずかしそうにする感じのあれ。
ほら、私は正直に答えたよ。
だって、本は知らないもん。
「そっか。だったら、本当の名前なんでしょうね」
「しかし大魔王って何?」
「私、魔界出身。魔王をやってました!」
「え、あなたは悪魔なの」
「私も、驚きです。人間と変わらないんですね」
受付のお姉さんと、ラピスお姉ちゃんが驚いていた。
でも、リアクションはそれだけだった。
なんだろう。
今が平和だからいけないのかな。
魔王って言っても驚かれなかったよ。
でも、これで冒険者になれたんだ。
ふふ、いっぱい稼いじゃうぞ!
「はい、これが冒険者カードね。これから頑張ってね」
「うん。頑張るよ!」
まぁ、冒険者になれたことだし、良しとしよう。
これから楽しい日々が待っているんだ。
冒険者として、頑張るぞー
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