カオティックアーツ
6:クエストを終えて
「楓! 一体何を使ったらこうなるのよ!」
「そうだ。お前が言っていたカオティックアーツだとでもいうのか!」
クレハとフレアが、楓を問い詰めようとするのは当たり前の事である。
楓が打ち打ち抜いたぽこりんは見るに堪えない、無残な姿になっていた。
例え、雑魚で有名なぽこりんだとしても、ここまでひどい状態にするものなんかいない。
この世界の常識を逸脱したものだった。
楓は、二人がなぜそんなにも驚いているのか不思議だった。
楓の世界の常識を覆す、魔法という名の超技術。お試しで【インフィニティ】組み込んでみたら、思った以上の性能を発揮した。
デメリットもすごかったが……
「お兄さん。僕も気になります。その武器がカオティックアーツですか? 昨日見せてもらったのと随分と違うね」
「ああ、これは俺が徹夜で作った、カオティックアーツだからな」
「「はぁ、徹夜で作ったぁ」」
クレハとフレアの声がハモる。
それぐらいに驚愕した。
「ちょっと、そんな強力な武器を、簡単に作ったら武器屋が泣いちゃうわよ」
「一体どういう仕組みをしてるんだ!」
クレハの言うことはどうでもいいとして、フレアが聞いて来た、【インフィニティ】の仕組みが知りたいという言葉に、楓はニヤリと笑った。
まるで、その手のマニアの人に、専門的なことを聞くときのようだった。
「この【インフェニティ】は、元々俺の世界の武器だ」
「武器?」
「ああ、それも昔のやつな。銃という昔に衰退した武器だ」
「あんなに強力な武器が衰退する世界って……」
「いや、まぁそうなんだろうけど……それよりも協力な武器がカオティックアーツというわけか」
「それは違う。カオティックアーツは技術だ。その技術で生まれたものも、カオティックアーツと呼んでいるだけ。本命が技術の方なんだから忘れんなよ」
あまりにも鋭い目で睨んでくる楓に、フレアがちょっとびっくりした。
それで、少しだけ昔のことを思い出した。
魔法を溺愛している人に、知ったかぶって話したら激怒されて大変な目にあったことを……
今の楓に下手な事をいうのはやめよう、と思ったフレアだった。
「で、その【インフィニティ】の仕組みなんだけど……」
「うん、うん。それで……」
楓の話に、なぜかクレハが興味を持った。
元々多趣味だったクレハは、目の前に未知の何かがあることに喜びを感じているのだろう。
だけど、なんだか楽しそうなふたりを見て、フレアは「いいなぁ」と呟いた。
普通の人と魔女が、手を取り合って生きている未来を見せてもらったようだったからだ。
そんなフレアに全く気がつかない二人は、楽しげに話している。
自分が気が付いてもらえない現状に、キラっと涙が流れたように見えたので、ティオがフレアを慰める。
それでも、二人は全く気がつかなかった。
「この【インフィニティ】には3つの動作がある」
「あの「セット」、「チャージ」、「バースト」でしょ。「バースト」は言葉にしていなかったけど、そんな気がしたんだ」
「クレハ、意外とわかっているじゃないか。でも、それは動作を行うためのキーワド何だ」
「どういうこと」
「まず、「セット」という言葉で生成工程を開始する。この銃の弾を生成するんだ。元の武器より弾の入る数が少なくなったが、無限に出現する弾丸のほうがいいと思ったんだ」
「ん~ ちょっとわからないけど…… どうしてそんなことが出来るのよ」
「それは、暗黒物質を上手く使うのさ」
とまぁ、長々と【インフィニティ】について語りだした。
簡単に言うと、【インフィニティ】はエネルギーと砲弾を持った小さな工場だ。
「セット」で弾を生成し、「チャージ」で弾を飛ばすためのエネルギーを補給する。
「バースト」で弾を撃つ武器だった。
技術馬鹿で、銃のことを全く知らない楓だからこそ出来た、ふざけた性能の銃だった。
しかも、楓は更なる改良をしていた。
この世界の魔法を取り入れること。
その技術の中で、楓が気になったのは魔法陣だ。
楓はこれを、ある現象を起こすための工程を組み込んだ機械的なものだと思った。
例えば、フレアが使った【エクレール・フロウ】。
閃光を飛び散らす魔法だ。
その工程として、光を集める、光を放つという処理がある。
それを実行するのが魔法陣だ。
そう感じとた楓は【インフィニティ】に魔法陣を取り込んだ。
弾を生成する工程に……
その結果、無駄のない、綺麗な形の銃のような何かが完成した。
それが【インフィニティ】。
「ほう、そうなんだ。でもなんかデメリットあるんでしょ」
「あぁ、急いで作ったものだからな。それは仕方がない。熱の排気動作が綺麗に組めなくてな。使うと凄い熱量になるんだよ」
【インフィニティ】に汗が垂れると”ジュワ”と音を立てて蒸発した。
そんな危険なものだと知っても、クレハは少し興味を惹かれてしまったようだった。
「私も使ってみたい」
「え、でも……」
「いいでしょ…… おねがい……」
「ちぃ、しょうがねえな」
こんなふたりの仲よさげなとこを見ていた、フレアとティオは「あ、落ちちゃった?」などを楓に対して思っているのだが……
「ん、ありがとう。じゃあ、早速使ってみる!」
「怪我にだけは気をつけろ」
「うん、わかってる!」
どうやら気のせいだったらしかった。
クレハが【インフィニティ】を持っている問に、茂みの中から弱りきったぽこりんがいる。
どうやらついてきてしまったらしい。
「月光よ、祝福せよ【ムーンライト・ヒーリング】……セット」
楓が使っていた時と少し違うような気がしたが通常に動作している。
そしてチャージ工程も終わりと撃つだけの状態……
クレハは大好きなぽこりんに向かって……
「バースト!」
撃った。
撃ったはずなのに……
「ぽこ! ぽっこり~ん」
嘆か、ぽこりんが回復した……
魔法の特性により、解除は難しいと思っていたが……
魔法陣は流した魔法、エネルギーなどによって変質するのかもしれない。
面白いことがわかったと、嬉しくなる楓だった。
夜。
あのあとは最後のぽこりんを討伐して、無事に仕事を完遂出来た。
無事に終了したので、屋敷でのんびりしたいと思っていた矢先に……クレハから呼び出された。
「ちょっと言いたいことがあるの。すぐ終わるから」
楓は、顔を赤らめたクレハに呼び出されてしまったのだ。
楓が約束の場所に行くと、クレハがいた。
「今日もいい空だね」
「あぁ、俺の世界じゃ、こんな綺麗なものは見えないだろうからな」
「それは残念かな!」
「で、話ってなに……」
「それは……その……」
「ん?」
「昨日は助けてくれてありがと。これを伝えたかったのよ」
やっと言えた……と思っているクレハに楓は……
「それをいうのは俺のほうだよ。ここは俺の世界じゃないから、どうすればいいのかよくわからなかった。こんな俺を拾ってもらってくれる人がいたんだ。だから俺のほう」
お互いはしばし見つめ合い…
「「あはははははは」」
二人同時に笑いだした。
二人共同じことを考えていたからだ……
「じゃあ、お礼じゃないね」
「そうだな、今の俺たちなら……」
楓はクレハに拳を向ける。
クレハも楓に拳を向けて……
互の拳をコツンと軽くぶつけた。
「これからよろしくな」
「ええ、これからよろしく!」
こうして、楓の異世界生活が始まった。
「そうだ。お前が言っていたカオティックアーツだとでもいうのか!」
クレハとフレアが、楓を問い詰めようとするのは当たり前の事である。
楓が打ち打ち抜いたぽこりんは見るに堪えない、無残な姿になっていた。
例え、雑魚で有名なぽこりんだとしても、ここまでひどい状態にするものなんかいない。
この世界の常識を逸脱したものだった。
楓は、二人がなぜそんなにも驚いているのか不思議だった。
楓の世界の常識を覆す、魔法という名の超技術。お試しで【インフィニティ】組み込んでみたら、思った以上の性能を発揮した。
デメリットもすごかったが……
「お兄さん。僕も気になります。その武器がカオティックアーツですか? 昨日見せてもらったのと随分と違うね」
「ああ、これは俺が徹夜で作った、カオティックアーツだからな」
「「はぁ、徹夜で作ったぁ」」
クレハとフレアの声がハモる。
それぐらいに驚愕した。
「ちょっと、そんな強力な武器を、簡単に作ったら武器屋が泣いちゃうわよ」
「一体どういう仕組みをしてるんだ!」
クレハの言うことはどうでもいいとして、フレアが聞いて来た、【インフィニティ】の仕組みが知りたいという言葉に、楓はニヤリと笑った。
まるで、その手のマニアの人に、専門的なことを聞くときのようだった。
「この【インフェニティ】は、元々俺の世界の武器だ」
「武器?」
「ああ、それも昔のやつな。銃という昔に衰退した武器だ」
「あんなに強力な武器が衰退する世界って……」
「いや、まぁそうなんだろうけど……それよりも協力な武器がカオティックアーツというわけか」
「それは違う。カオティックアーツは技術だ。その技術で生まれたものも、カオティックアーツと呼んでいるだけ。本命が技術の方なんだから忘れんなよ」
あまりにも鋭い目で睨んでくる楓に、フレアがちょっとびっくりした。
それで、少しだけ昔のことを思い出した。
魔法を溺愛している人に、知ったかぶって話したら激怒されて大変な目にあったことを……
今の楓に下手な事をいうのはやめよう、と思ったフレアだった。
「で、その【インフィニティ】の仕組みなんだけど……」
「うん、うん。それで……」
楓の話に、なぜかクレハが興味を持った。
元々多趣味だったクレハは、目の前に未知の何かがあることに喜びを感じているのだろう。
だけど、なんだか楽しそうなふたりを見て、フレアは「いいなぁ」と呟いた。
普通の人と魔女が、手を取り合って生きている未来を見せてもらったようだったからだ。
そんなフレアに全く気がつかない二人は、楽しげに話している。
自分が気が付いてもらえない現状に、キラっと涙が流れたように見えたので、ティオがフレアを慰める。
それでも、二人は全く気がつかなかった。
「この【インフィニティ】には3つの動作がある」
「あの「セット」、「チャージ」、「バースト」でしょ。「バースト」は言葉にしていなかったけど、そんな気がしたんだ」
「クレハ、意外とわかっているじゃないか。でも、それは動作を行うためのキーワド何だ」
「どういうこと」
「まず、「セット」という言葉で生成工程を開始する。この銃の弾を生成するんだ。元の武器より弾の入る数が少なくなったが、無限に出現する弾丸のほうがいいと思ったんだ」
「ん~ ちょっとわからないけど…… どうしてそんなことが出来るのよ」
「それは、暗黒物質を上手く使うのさ」
とまぁ、長々と【インフィニティ】について語りだした。
簡単に言うと、【インフィニティ】はエネルギーと砲弾を持った小さな工場だ。
「セット」で弾を生成し、「チャージ」で弾を飛ばすためのエネルギーを補給する。
「バースト」で弾を撃つ武器だった。
技術馬鹿で、銃のことを全く知らない楓だからこそ出来た、ふざけた性能の銃だった。
しかも、楓は更なる改良をしていた。
この世界の魔法を取り入れること。
その技術の中で、楓が気になったのは魔法陣だ。
楓はこれを、ある現象を起こすための工程を組み込んだ機械的なものだと思った。
例えば、フレアが使った【エクレール・フロウ】。
閃光を飛び散らす魔法だ。
その工程として、光を集める、光を放つという処理がある。
それを実行するのが魔法陣だ。
そう感じとた楓は【インフィニティ】に魔法陣を取り込んだ。
弾を生成する工程に……
その結果、無駄のない、綺麗な形の銃のような何かが完成した。
それが【インフィニティ】。
「ほう、そうなんだ。でもなんかデメリットあるんでしょ」
「あぁ、急いで作ったものだからな。それは仕方がない。熱の排気動作が綺麗に組めなくてな。使うと凄い熱量になるんだよ」
【インフィニティ】に汗が垂れると”ジュワ”と音を立てて蒸発した。
そんな危険なものだと知っても、クレハは少し興味を惹かれてしまったようだった。
「私も使ってみたい」
「え、でも……」
「いいでしょ…… おねがい……」
「ちぃ、しょうがねえな」
こんなふたりの仲よさげなとこを見ていた、フレアとティオは「あ、落ちちゃった?」などを楓に対して思っているのだが……
「ん、ありがとう。じゃあ、早速使ってみる!」
「怪我にだけは気をつけろ」
「うん、わかってる!」
どうやら気のせいだったらしかった。
クレハが【インフィニティ】を持っている問に、茂みの中から弱りきったぽこりんがいる。
どうやらついてきてしまったらしい。
「月光よ、祝福せよ【ムーンライト・ヒーリング】……セット」
楓が使っていた時と少し違うような気がしたが通常に動作している。
そしてチャージ工程も終わりと撃つだけの状態……
クレハは大好きなぽこりんに向かって……
「バースト!」
撃った。
撃ったはずなのに……
「ぽこ! ぽっこり~ん」
嘆か、ぽこりんが回復した……
魔法の特性により、解除は難しいと思っていたが……
魔法陣は流した魔法、エネルギーなどによって変質するのかもしれない。
面白いことがわかったと、嬉しくなる楓だった。
夜。
あのあとは最後のぽこりんを討伐して、無事に仕事を完遂出来た。
無事に終了したので、屋敷でのんびりしたいと思っていた矢先に……クレハから呼び出された。
「ちょっと言いたいことがあるの。すぐ終わるから」
楓は、顔を赤らめたクレハに呼び出されてしまったのだ。
楓が約束の場所に行くと、クレハがいた。
「今日もいい空だね」
「あぁ、俺の世界じゃ、こんな綺麗なものは見えないだろうからな」
「それは残念かな!」
「で、話ってなに……」
「それは……その……」
「ん?」
「昨日は助けてくれてありがと。これを伝えたかったのよ」
やっと言えた……と思っているクレハに楓は……
「それをいうのは俺のほうだよ。ここは俺の世界じゃないから、どうすればいいのかよくわからなかった。こんな俺を拾ってもらってくれる人がいたんだ。だから俺のほう」
お互いはしばし見つめ合い…
「「あはははははは」」
二人同時に笑いだした。
二人共同じことを考えていたからだ……
「じゃあ、お礼じゃないね」
「そうだな、今の俺たちなら……」
楓はクレハに拳を向ける。
クレハも楓に拳を向けて……
互の拳をコツンと軽くぶつけた。
「これからよろしくな」
「ええ、これからよろしく!」
こうして、楓の異世界生活が始まった。
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