楽しい料理教室 ~兄は見た! ヤンな妹の最凶なケーキ作り~
楽しい料理教室 ~兄は見た! ヤンな妹の最凶なケーキ作り~
「みかんの~楽しい料理教室!」
突然始まった妹の料理教室。実に最悪だ。
何が最悪かって? そんなもん全部だよ。
妹が料理してくれるなんて羨ましいと思っているやつ。死んでしまえばいい。こいつの料理スキルはマイナス値なんだから。下手すりゃ死ぬぞ。
それでも構わないってやつ。いまの俺の現状を聞いてそんなこと言えるのか? 言えたら大したものだよ、ホント……。
いいか、よく聞け。朝、目を覚ましたら可愛らしいくまさんのシールが貼ってあるバールのようなもので頭を殴られて気絶。気が付くとリビングで、椅子に縛られていた。
そして目の前に、お菓子の材料とは思えないものを机に並べて「楽しい料理教室!」なんて叫ぶ妹の姿が見える。さぁ、これを聞いてまだ同じことが言えるか? 少なくとも俺は言えねぇ。このヤンデレ妹が。
「マサ兄~ なんて暗い顔しているのよ。可愛い妹が手作りお菓子を食べさせてあげるって言っているんだよ?」
「だったらまず縄を解け。俺は逃げる。まだ死にたくない」
「もう、照れちゃって! うふふふふ、美味しいお菓子を作るから待っててね」
こいつ、マジで話を聞かねぇな。一体何だよ。
「さ~て、今日は美味しいケーキを作ります。でも、その前に……着替えないと!」
「おい、ちょっと待て。何故ここで服を脱ぎ出す」
「なんでって、マサ兄に見てもらいたいからだけど?」
「うわぁ、キモ……変態だ……」
「褒め言葉として受け取っておこう」
ドヤ顔でそう言い切る俺の妹は頭が完全にイカレてやがる。
俺は見ないように目を閉じる。妹の着替えなんて見るわけにはいかない。変態のレッテルを貼らされる。
これが幼稚園児や小学校低学年ぐらいなら、妹の世話として一緒に風呂を入ることぐらいあるだろう。上手く服を着替えられない妹の世話とかよくしたさ。
だけどな……中学二年になってそれをやるか? 普通やらねぇだろう。マジなんなん、この妹は。頭おかしいんじゃねぇの。
ああ、俺は椅子に縛られて耳を塞げない。シュルリと服を脱ぐ音が勝手に聞こえてくる。最悪だ。
なんかゴソゴソと着替えの音が数分したあと「着替え終わったよ」と頭のおかしい妹に言われた。
なんだかんだいって家族だから、その言葉を信じて目を開ける。
うん、実に最悪な光景が見えてしまった。
何をトチ狂ったのか、学校指定のスクール水着にエプロンとか、誰チョイスだよ。
「ふふふふふ、マサ兄のベッドのしたに隠してある参考書では、こういうの好きなんだよね!」
原因、俺。プライバシーなんてものは家族にないらしい。泣きたい。
「さ~て、美味しいケーキを作ろうか!」
そういってみかんが机に並べている材料らしきものを手に付ける。置いてあるものは、強力粉、水、塩、だしの素、醤油、みりん、砂糖、白菜、玉ねぎ、水菜、えのき、長ネギ、人参、しいたけ、豆腐、たまご。
こいつはうどんでも作りたいんだろうか?
俺ならまず、強力粉と水と塩あたりを使ってうどんをつくる。
んでもって、だしの素、醤油、みりん、砂糖あたりですき焼きのつゆを作るかな。あとはほかの具材と一緒に煮込んで、すき焼き風鍋うどんが完成だ。すき焼きみたいにたまごをかき混ぜて、うどんとか具材をつけて食べると結構美味しい。うどんは冷凍ものでいいし、つゆもすき焼きの素みたいなやつがあるから割と簡単に作れる料理だ。ただ煮込むだけだけど。
さて、みかんの奴は、この材料を使ってどうやってケーキを作ろうと考えているのか。俺にはさっぱりわからねぇ。
「さて、まずはこれを使わないとね。じゃじゃ~ん、洗剤」
「ふざけんな! 殺す気か!」
「ふざけてないよ。ほら、海外じゃ洗剤で野菜を洗ったりするよね」
「ああうん、たしかに野菜ぐらいならあるかもな」
「うん、だからまず、強力粉に洗剤と水を……」
「ちょっと待て、強力粉に洗剤って……」
「ちょっと気が散るから黙って!」
「うるせぇ、命の危機何だよ!」
「っち、これは使いたくなかったけど」
どこからか取り出した、ガムテープ。当然口を塞がれる。縛られている俺には抵抗できないからな。ちくせう。
俺の最後の記録として、頭のおかしい妹の料理をナレーションしよう。
まず、みかんは強力粉をボールに全部だし、洗剤と水をいれて、泡立て器でかき混ぜる。
ブクブクとやばい音がし始めたあと、たまごとカビキラーを投入……って、カビキラー!
ちょ、ま、何やっているんだよ、この妹は!
カビキラーなんて入れたら死ぬだろう!
「ん、どうしたの、マサ兄」
「んぅうううぅ」
「うふふふふ、そんなに楽しみなんだ、ふふふふふ」
こいつには伝わらねぇのかよ。洗剤とカビキラーだぞ。塩素ガス発生で大危険じゃねぇか。混ぜるな危険に何混ぜているんだよ!
「大丈夫! 中性洗剤だから」
そうじゃねぇよ。中性洗剤でも塩素は発生するんだよ。危険なんだよ。だから混ぜるな危険なんだろうが!
「うわぁ、なんか変な匂いし始めた。カビキラーは失敗かな。よし、醤油、みりんを入れて、上にすりおろし人参を投入! 臭いからちゃっちゃとオーブンにぶっ込んじゃえ」
やめろ、マジやめてくれ。
「あ、そういえば成分にもよるけど、カビキラーみたいなのを加熱したらやばいんだっけ。じゃあこれは失敗だね。捨てよ」
よかった、俺の寿命が少しだけ伸びだ。
「さて、作りな直さないと。カビキラーはやめて、新品強力粉、水、洗剤、たまごを良くかき混ぜて、オーブン投入。そんでもって、人参、玉ねぎ、長ネギは首に巻いて、牛肉も炒める。あとはオーブンにいれたものが完成すれば……。
あ、炒めたものを砂糖で固めないと、水に砂糖を入れて、ドロドロになるまで炒めて……」
うわぁ、もう見てらんねぇ。解説も苦しいよ。おれ、一体どうなるんだろう……誰か助けてくれ。
このあとも妹の暴走は止まらなかったが、最終的に出来たケーキは割と美味しかった。
というか、材料全部ダメにして、ファミマで買ったケーキを二人で美味しく食べただけなんだけどな。
まぁ、結果オーライっていうやつか。こいつには後で常識ってものを教えてやらないとな。とほほ。
突然始まった妹の料理教室。実に最悪だ。
何が最悪かって? そんなもん全部だよ。
妹が料理してくれるなんて羨ましいと思っているやつ。死んでしまえばいい。こいつの料理スキルはマイナス値なんだから。下手すりゃ死ぬぞ。
それでも構わないってやつ。いまの俺の現状を聞いてそんなこと言えるのか? 言えたら大したものだよ、ホント……。
いいか、よく聞け。朝、目を覚ましたら可愛らしいくまさんのシールが貼ってあるバールのようなもので頭を殴られて気絶。気が付くとリビングで、椅子に縛られていた。
そして目の前に、お菓子の材料とは思えないものを机に並べて「楽しい料理教室!」なんて叫ぶ妹の姿が見える。さぁ、これを聞いてまだ同じことが言えるか? 少なくとも俺は言えねぇ。このヤンデレ妹が。
「マサ兄~ なんて暗い顔しているのよ。可愛い妹が手作りお菓子を食べさせてあげるって言っているんだよ?」
「だったらまず縄を解け。俺は逃げる。まだ死にたくない」
「もう、照れちゃって! うふふふふ、美味しいお菓子を作るから待っててね」
こいつ、マジで話を聞かねぇな。一体何だよ。
「さ~て、今日は美味しいケーキを作ります。でも、その前に……着替えないと!」
「おい、ちょっと待て。何故ここで服を脱ぎ出す」
「なんでって、マサ兄に見てもらいたいからだけど?」
「うわぁ、キモ……変態だ……」
「褒め言葉として受け取っておこう」
ドヤ顔でそう言い切る俺の妹は頭が完全にイカレてやがる。
俺は見ないように目を閉じる。妹の着替えなんて見るわけにはいかない。変態のレッテルを貼らされる。
これが幼稚園児や小学校低学年ぐらいなら、妹の世話として一緒に風呂を入ることぐらいあるだろう。上手く服を着替えられない妹の世話とかよくしたさ。
だけどな……中学二年になってそれをやるか? 普通やらねぇだろう。マジなんなん、この妹は。頭おかしいんじゃねぇの。
ああ、俺は椅子に縛られて耳を塞げない。シュルリと服を脱ぐ音が勝手に聞こえてくる。最悪だ。
なんかゴソゴソと着替えの音が数分したあと「着替え終わったよ」と頭のおかしい妹に言われた。
なんだかんだいって家族だから、その言葉を信じて目を開ける。
うん、実に最悪な光景が見えてしまった。
何をトチ狂ったのか、学校指定のスクール水着にエプロンとか、誰チョイスだよ。
「ふふふふふ、マサ兄のベッドのしたに隠してある参考書では、こういうの好きなんだよね!」
原因、俺。プライバシーなんてものは家族にないらしい。泣きたい。
「さ~て、美味しいケーキを作ろうか!」
そういってみかんが机に並べている材料らしきものを手に付ける。置いてあるものは、強力粉、水、塩、だしの素、醤油、みりん、砂糖、白菜、玉ねぎ、水菜、えのき、長ネギ、人参、しいたけ、豆腐、たまご。
こいつはうどんでも作りたいんだろうか?
俺ならまず、強力粉と水と塩あたりを使ってうどんをつくる。
んでもって、だしの素、醤油、みりん、砂糖あたりですき焼きのつゆを作るかな。あとはほかの具材と一緒に煮込んで、すき焼き風鍋うどんが完成だ。すき焼きみたいにたまごをかき混ぜて、うどんとか具材をつけて食べると結構美味しい。うどんは冷凍ものでいいし、つゆもすき焼きの素みたいなやつがあるから割と簡単に作れる料理だ。ただ煮込むだけだけど。
さて、みかんの奴は、この材料を使ってどうやってケーキを作ろうと考えているのか。俺にはさっぱりわからねぇ。
「さて、まずはこれを使わないとね。じゃじゃ~ん、洗剤」
「ふざけんな! 殺す気か!」
「ふざけてないよ。ほら、海外じゃ洗剤で野菜を洗ったりするよね」
「ああうん、たしかに野菜ぐらいならあるかもな」
「うん、だからまず、強力粉に洗剤と水を……」
「ちょっと待て、強力粉に洗剤って……」
「ちょっと気が散るから黙って!」
「うるせぇ、命の危機何だよ!」
「っち、これは使いたくなかったけど」
どこからか取り出した、ガムテープ。当然口を塞がれる。縛られている俺には抵抗できないからな。ちくせう。
俺の最後の記録として、頭のおかしい妹の料理をナレーションしよう。
まず、みかんは強力粉をボールに全部だし、洗剤と水をいれて、泡立て器でかき混ぜる。
ブクブクとやばい音がし始めたあと、たまごとカビキラーを投入……って、カビキラー!
ちょ、ま、何やっているんだよ、この妹は!
カビキラーなんて入れたら死ぬだろう!
「ん、どうしたの、マサ兄」
「んぅうううぅ」
「うふふふふ、そんなに楽しみなんだ、ふふふふふ」
こいつには伝わらねぇのかよ。洗剤とカビキラーだぞ。塩素ガス発生で大危険じゃねぇか。混ぜるな危険に何混ぜているんだよ!
「大丈夫! 中性洗剤だから」
そうじゃねぇよ。中性洗剤でも塩素は発生するんだよ。危険なんだよ。だから混ぜるな危険なんだろうが!
「うわぁ、なんか変な匂いし始めた。カビキラーは失敗かな。よし、醤油、みりんを入れて、上にすりおろし人参を投入! 臭いからちゃっちゃとオーブンにぶっ込んじゃえ」
やめろ、マジやめてくれ。
「あ、そういえば成分にもよるけど、カビキラーみたいなのを加熱したらやばいんだっけ。じゃあこれは失敗だね。捨てよ」
よかった、俺の寿命が少しだけ伸びだ。
「さて、作りな直さないと。カビキラーはやめて、新品強力粉、水、洗剤、たまごを良くかき混ぜて、オーブン投入。そんでもって、人参、玉ねぎ、長ネギは首に巻いて、牛肉も炒める。あとはオーブンにいれたものが完成すれば……。
あ、炒めたものを砂糖で固めないと、水に砂糖を入れて、ドロドロになるまで炒めて……」
うわぁ、もう見てらんねぇ。解説も苦しいよ。おれ、一体どうなるんだろう……誰か助けてくれ。
このあとも妹の暴走は止まらなかったが、最終的に出来たケーキは割と美味しかった。
というか、材料全部ダメにして、ファミマで買ったケーキを二人で美味しく食べただけなんだけどな。
まぁ、結果オーライっていうやつか。こいつには後で常識ってものを教えてやらないとな。とほほ。
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