家族に愛されすぎて困ってます!

甘草 秋

40話 第三の選択肢


「泉......泉......」

 どっかで聞いたことあるようなないような。
 確かテレビで............

「泉総理大臣......?そうだ!総理大臣と同じ名字だ!......え、てことは......」

 総理大臣と同じ名字、家の前に停まっていた高そうな白いリムジン、そして今まで触れなかったけど少女の後ろにはタキシードを着て、黒のサングラスをつけたボディガードみたいな人がいる。誰もがこの人はお金持ちだと認識するだろう。つまり、こいつはお金持ちの家で育っている。
 てことはやっぱり......

「ごめんね春ちゃん、今まで黙ってたけど......私のお父さんは総理大臣なの」
「......really?あ、ほ、本当に?」

 驚きのあまり英語で返事をしてしまった。いかんいかん。
 しっかし、俺のおじいちゃんは総理大臣だったのか......。

「お爺様はお父様が過労で亡くなった日に総理大臣に就任したんです。お爺様は私達二人を預かろうとしました。......ですが、就任したてで仕事は大忙し、二人の子供の面倒もあまり見れませんでした。だから、私だけを引き取り、お兄様は近衛家に行ったんです」
「なるほど。そういうことだったのか......」
「そして、私とお兄様が離れ離れになった日が今日なんです」
「そうなの?」

 10年前のこの日に、俺は泉家の長男ではなく、近衛家の長男として暮らし始めたわけか。

「それに、10年前に約束したんですよ」
「約束?」
「10年後には、泉家で暮らし始めると」
「ぇ............」
「春ちゃん......」

 つまり、あの日から10年経った今、俺は泉  春鷹としてまた新たな人生を歩むのか?

「お兄様は、今日から私と暮らすんです♡」
「............嫌」
「はい?」
「......嫌嫌嫌!私は春ちゃんともっと暮らしたい!」
「往生際が悪いですね。約束を破るなんて」
「約束なんてどうでもいい!私は春ちゃんと、離れたくない......」
「呆れますね。......さぁお兄様、早く行きましょ♪」
「えっと......」
「ごめんね春ちゃん。今まで黙ってて、本当にごめんなさい。いつかは話そうと思ってたの、でもなかなか言い出せなくて......」
「もうやめてください。お兄様の本当の家族はあなたではなく私です。家に帰りましょお兄様♪」
「血が繋がってなくても、春ちゃんは私たちの家族だよ!」
「春くん......」
「春、妹ではなく私のところへ来なさい」
「たーくんの事大好きだから、もっと一緒にいたい」
「お兄ちゃんいなくなったら真子家出する!」
「......」

 本当の家族である泉家。
 血は繋がっていないけれど、10年も一緒に暮らしてきた近衛家。
 くそっ......どっちを選べばいいんだ......!
 両方拾う唯一の選択肢は何だ?
 選択肢a、bではなくcを選ぶんだ。第三の選択肢を......!
 頭をフル回転する。同時に目も回りそうだ。くそっ......くそっ......。

「お兄様は私と暮らすんです!」
「私たちとよ!」
「「ムムムッ!」」
「ーーあっ!!!」

 あったぞ、第三の選択肢が。
 これで解決だ!

「どうしたの春ちゃん?」
「お兄様?」

 俺は二酸化炭素を放出し、酸素を取り入れた。

「ーーみんなで一緒に暮らせばいいんだ!!」
「「..................」」
「......あ?」
「......は?」
「......え?」

 それが春鷹の思いついた第三の選択肢だった。





 みなさん、あけましておめでとうございます!今年もよろしくお願いします!
 いやーやっと新年の挨拶が言えました。お久しぶりです、甘草 秋です。投稿遅れて、本当にすいませんでした。まぁ、色々と、忙しくて、あの、はい。というわけで第40話です。いかがだったでしょうか?満足して頂いたら幸いです。
 2019年も投稿を頑張っていくのでみなさんの温かい応援をよろしくお願いします。

ではまた。


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コメント

  • レモンティー(*´∀`*)

    今年も新作をまったり待ちますね!

    2
  • ペンギン

    スゴく良かったです!

    2
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