家族に愛されすぎて困ってます!

甘草 秋

9話 許嫁


 親父の調教を受け終わり、やっとのことで朝食を食べる。

「はぁ〜。酷い目にあった......」

 親父に何をされたのか、その後パトカーが回っていた事は言わないでおこう。

「父さんの娘愛はどうかしてるよ......」

 俺が母さん達に愛され過ぎて困っているように、母さん達も親父に愛され過ぎて困っているのだ。
 ー少年時代
 俺が5歳ぐらいの時、親父に「お前に俺のハーレムは邪魔させん!」と言われたのを今でも覚えている。
 だから、姉達は親父を嫌い、俺に懐くのだ。

「お父さんがそういう感じだから、私達は嫌いなの!春くんを虐めないで!」

 瑠美姉が隣にいる俺を抱きしめ、かばいながら親父に言い放つ。

「そうよ!たーくんが可哀想!」
「そ、そんなぁ......」

 やめて!そんな事を言ったら俺は親父のサンドバックにされ、嫉妬とストレスで殴り殺される!

「フフッ......ふっはっはっ!」

 親父が不敵な笑みを浮かべ高笑いをする。

「春鷹。貴様の姉ハーレムも今日でおしまいだ!」
「はい......?」

ーピンポーンッ

 玄関の呼び鈴が鳴る。

「来たか......」

 親父は、誰が来ているのか分かっているみたいだ。
 親父は玄関に向かう。

「おい春鷹。一緒に来い」
「え?......あ、ああ、うん」

 誰なんだ?全く予想がつかない。

「誰が来てるんだ?」
「開ければ分かるさ」
「そ、そうか」

 家の玄関前で緊張感が漂う。
 母さん達も後ろで見守る。
 親父が玄関のドアを開ける。
 そこにいたのはー

「鷹君。久しぶり!」

 そこには、美少女がいた。
 髪は肩にかかるぐらいの長さで、真っ白な肌にすらっとした細い脚。でるとこは出て、引っ込むとのは引っ込んでいる。
 モデルと言われても納得がいく美少女だった。
 白いワンピースに麦わら帽子がとても似合うこの美少女。
 そして、俺には見覚えがあった。
 昔遊んだような記憶が......。
 小さい頃の夏に、一緒に遊んだ女の子。

「あー......ちゃん......?」
「!......覚えてて......くれてたんだ......!」

 一夏の間だけ一緒に遊んだ女の子。
 たちばな あいだった。

「本当にあーちゃんなんか!?」
「うん......!そうだよ、あーちゃんだよ。鷹君......!」
「ど、どうしてここに?」

 その質問に答えてくれたのは親父だった。

「愛君は........................お前の許嫁だ」






「えェェェエェェエ!!」

 今年一の驚きだった。

 
 

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