甘々イチゴと滑らかカスタード

mimi

4話「サンドウィッチ1/2」

「今日のお昼はゲストに鞠音ちゃんを呼びました!」
「どーもー。ご無沙汰です!」
「....」
(どういう事 ︎話しやすいんじゃないの?心開いたの古橋さんだけなんじゃ。)
(きっと心開いてくれるはずだよ!ただ気難しいとこあるだけ。多分。)
(多分とはこれまたザックリしてますな!)
(うぅぅ。頑張るっきゃない!)

「スミレちゃん!お昼何食べる?」
「パスタ。」
「パスタもあるんだ!一口ちょーだい。」
「良いけど。」
「やったー!」
「鞠音ちゃんは何食べる?」
「私はサンドウィッチ!」
「...先に買って席にいるから。」
「古橋さん、私帰ってもいいかな。」

「いただきます!」
「そ、そう言えば昨日鞠音ちゃん帰り遅かったよねー。部活でもしてるの?」
「それが雑用頼まれちゃってB棟の机出しをやる羽目になってさー。」
「だる〜。」
「学級委員って辛いわ〜。」
「学級委員やってるんだー!」
「お陰で部活サボれるんだけどね。」

「何部?」
「園芸部、うちの学校入部が義務だからね、まぁ楽しくないわけじゃないけど!」
「義務。迷うなー。」
「た、確か加藤さんはテニス部だよねー。」
「名前だけ。」
「へー!名前だけでもいいの?」
「多少出てないといけないけど。」
「そっかー。それじゃあ放課後に部活見学でもしようかな。2人とも時間ある?」
「私はへーき。」
「私は無理。」

「スミレちゃん。」
「作業まだ残ってるから。」
「そっか。」
(これは2人で行くしかないね。)
(うん。次誘おう。)
キーンコーンカーン
「帰ろっか。」
また、時間合えばいいな。

「それじゃあ部活見学行きますかー!」
「うん。運動部の方はだいたい見終わってるから文化系の方見よ?」
「加藤さんと見に行ったんだっけ?文系も結構多いんだよね。」
「そうなの?」
「昔運動部に絶対はいらないぞ!って思った先輩たちがいろんな部活を作ったものだよ。先生たちの反論で何個か部活は減ったんだけどそれでもなかなか減らなくてね〜。」
「幽霊部員だったらまずいの?」
「まあ中には本気で部活する人もいるけど半分はダラダラしてるかな。下宿してるとこの手伝いが大変なら緩いとこでも大丈夫なんじゃない?」

そうこうしているうちにA棟の一番上に着いた。
「ということで。ここは天文学部です!」
「お邪魔しまーす。」
「いらっしゃい。」
「見学に来ました!」
「おー!珍しいね、その子って転校生?」
「そうだよ!」
「入って入って!」
「うちの部は元々観測とかがメインだったんだけど連年好きな子が居なくなっちゃって、大半が幽霊部員になっちゃったんだけど一応に研究はしてるよ?」
「はあ。」
「その成果として!こっち来て〜。」

部長さんらしき人物が隣の部屋に案内する。その部屋の中には部屋一杯に広がっているドームが置かれていた。
「中に入って。」
「お邪魔しまーす。」
「こほん。それでは行きます!3、2、1!」

合図に合わせて丸い個体が光りながらゆっくり一定方向に回り出した。
「上を見上げてごらん?」
いくつもの光の点がゆっくり回っている。
「これは学校の屋上から見た星座だよ。あれはオリオン座。結構わかりやすいでしょ?であれが北斗七星冬の星座だけじゃなくて夏の星座も作っててー。」
「あー話が長くなりそうなんでそろそろ他の部活行きまーす。」
「またおいで〜。」

「結構ロマンチックな部だったね。」
「この次は吹奏楽部。けど今揉め事が起きてるらしいんだけどー。」
「だからなんであの子がソロ弾くのよ!?最後なんだよ?コンクール!!!」
「そーかもしれないけど、優秀賞取れれば次があるんだしそこまで怒らなくてもいいじゃん。」
「だからってあの子に任せろって言うの!?私は絶対いや。」
突如として修羅場が行われている。

音楽室の中でキレているのが1人止めに掛かるのが1人。そして廊下の壁に隠れてるのが複数名。その中の1人が泣いている。
あーあ。
「ほか回ろうか。」
「そーだね。」
「まあこの時期先輩の引退が多いから修羅場も多いって言うか。取り敢えずちゃんと活動してるとこだけ行こうか。」

「あ!ここ良さそう。料理部。ここはよくいい匂いがするんだよねー。」
「お邪魔しまーす。」
「見学に来ました。」
「転校生?先生呼んでくるねー。」
「ありがと〜ございます。」
待つ事2分。
「一さん〜。いらっしゃい。」
出て来たのは結城先生だった。
「お邪魔します。」
「今冷やしてたとこだから試食しましょ?」
「いいんですか!?」

「今日作ったのはミルクレープ。」
「いただきまーす。」
もちもちのクレープ生地にしつこくないふわふわの生クリーム。バターが多めのクレープが生クリームの油分を隠してるのだろうか。ん?ほのかな酸味を感じる。
「あの〜。これレモンとか入れてます?」
「バレていたのね。隠し味程度に入れたのによくわかったわね。」

「ほんとだー。」
「なんとなく。」
「良いわね〜。これは良い人材になりそうだわ!コンクールで優勝もできそう。」
「お店もあるのでゆるい部活しかできないですよっ!」
あ。
「お店?」

「下宿してるとこのバイトです。」
「お店やってるのね〜。いつやってるの?今度行ってみたいわ〜。」
どーしよ。スミレちゃん的に隠してた方がいいのかな?
「まだ全然未定なんですけどー。」
「また今度教えてね。」
「あはは。」
スミレちゃんごめんよー。
「そろそろ帰らなきゃなんで失礼します!」
「はーい。」

「結構しっかりした部だったねー。」
「うん。先生がいないと調理室は使えないからねー。」
「際ですか。」
「で、話変わるんだけど。」
そういうと鞠音ちゃんは私に顔を近づけてくる。
「加藤さん家のお店って何?」

しまった!
「えー。何って言われても。」
「私と古橋さんの仲じゃん。」
「スミレちゃんの沽券にかかることなので!ほんと!!!私の家が無くなっちゃうから勘弁!!!」
「ったく。しょうがないなー。今回は聞かなかったことにしようぞ!でも、いつか教えてよ。」
「うん。」
「そーと決まれば帰りますかー。今日もお店の手伝いなんでしょ?」

「まぁね。どーせまた雑用なんだろうけど。クタクタだよー。」
「なんか、お疲れ。」
「そういえば鞠音ちゃんは家どこ?遠くないなら今度遊ぼー!」
「あぁ家?駅の向こう、確かあっち!」
指した場所はなんと木が生い茂っている山。
「うちは農家でさ、あの山が自分家。」

「規模でかいね。」
「昔からの地主だから。」
「自転車?」
「迎えが来てるんだけど乗ってく?」
「いいの!?」
「うん。そろそろ来るはず。」
そうすると黒リムジンとまではいかないけどピカピカのまるで洗車されたままみたいなハイブリッド車が止まった。
「おかえりなさいませ、鞠音さん。」

車から出て来たのは二十後半ぐらいの少し大人っぽいお兄さん。正しくイケメンのお兄さん。いったいどんな関係が??
「ただいま。この子のお家まで乗せてっていい?」
「構いません。お乗りください。」
からのニコ!うわーこの人顔に自信あるタイプだー!
「もしかして鞠音ちゃんってお嬢様?だったりするの?」

びっくりする鞠音ちゃんにクスッと苦笑いのお兄さん。
ビンゴ?
「まぁ、そんな感じ。」
「運転してるお兄さんは?」
「私のお世話係の人で杉沢廉さん。」
お世話係とはこれまた大変な仕事を選んだものだ。
「お疲れ様です。」
「はい?」

やはり学校から家への道はそんなに遠くなかった。
「着きました。」
帰ってきて一番に思ったのは、
「何これ?」
なんというか。キッチンに当たる場所から黒い煙が。

「古橋さん、火事?消防に電話!」
「大丈夫!ちょっと見て来る。」
確か今日は夕方から千代子さんが来る予定だ。車もある。」
玄関を開けると煙が濃い。その中でハンカチで口を押さえている千代子さん。
「千代子さん!一体これどーなってるんですか!?」
「加藤さんが今度こそ料理するって。」
「それって。」

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