異種深愛物語

出会い

  この世界には、人間以外に沢山の種族がいる。
異族、魔族、獣人そしてエルフ。特に、魔族と異族は、いろんな種族を襲うため、嫌われ、人間から討伐されたりする。そして、獣人は人の奴隷として連れてこられたり、人間の街で商売したりと、現代に馴染んでいる種族だ。最後に、エルフは森の奥に住んでおり、人間とは仲が悪く、過去にも何度か戦争を起こしている。

ある日、人族のユウトは、森に来ていた。そもそも、ユウトの家は森にある。ユウトの先祖は人族でありながら、人に嫌われ、人里を離れて生活していた。しかし、つい2年前に両親が他界し、18歳で自給自足の生活を余儀なくされている。その日も、狩のため森の奥まで来ていた。目の前に、鹿のような生き物がいる。ユウトはそいつ目掛けて、弓を構えた。そして次の瞬間

「キャーーーーーーーーー!!!」

と突如悲鳴が聞こえた。
そのせいで、鹿が逃げてしまった。ユウトは、ガッカリしながらも悲鳴の聞こえた方へ向かった。そこには、ボロボロで倒れている女の人と、魔族のオークがいた。

オークとは、良くファンタジーアニメなんかに出てくるような奴で、緑の豚?みたいな奴が倒れてる女の人に襲いかかっている。
女の人は気絶しているみたいだ。ユウトは、オークの頭目掛けて矢を放った。しかし、矢は外れてしまった。矢は外れてしまったが、オークの注意を引くことに成功した。

「おい、豚野郎。お前の相手は俺だ!」

ユウトはそう言いながら、腰にさしている短刀に手を置いた。そして、オーク目掛けて走った。すると、オークは

「グォーーーーーーーー!」

と叫びながら、手に持っていたブレードを振り上げた。しかし、時すでに遅し、ユウトはその時点でオーク懐に入り、オークの首を切り落としていたのだ。音も無くオークの頭が地面に落ちた。

「汚ねぇな」

そう言いながら、女の人に近づいた。
ユウトは絶句した。女の人の顔を確かめようと近づいてみると、耳が尖っているのだ。

「エ、エルフか…」

そう、そこに倒れていたのは、エルフだったのだ。
綺麗な青い髪の毛で、体もか細く、スラッとした体型だった。
ユウトが、初めてみるエルフに気を取られていると、

「ん…んん……へ?」

と言いながら目を覚ましたのだ。

「ここは……ッ!?人間!?」

「あぁ、悲鳴が聞こえたから。何事かと思って来てみたら、襲われていたから。」

「た、助けて欲しいとは言っていません!」

エルフはそう言いながら、立とうとするが、

「くっ!?」

ズキッと足から痛みが走った。

「俺の家に来な。そこで応急措置してあげるから。」

ユウトはそう言いながら、エルフの肩を持った。

「触らないでください!貴方達人間はあたし達を奴隷にするんでしょ?」

と、ユウトの介護を断った。

「その足じゃ無理だ。何もしない。付いて来てくれ。」

ユウトはそう言いながら、今度こそエルフの肩を持った。

「名前は?」

「スリーティアです。」

「分かった。スリーティア、なんでオークに襲われてたの?」

ユウトがそう聞くと、

「薬草が切れていたので、薬草を取りに行ったら、道に迷ってしまい、そこをオークに襲われました。」

スリーティアは、家に着くまでの間これまでの経緯をユウトに説明した。そして家に着き、傷の治療を行い、解熱剤などの軽い薬を飲ませた。

「はい、終了。もう帰っても大丈夫だよー」

「えっ?いいんですか?」

「うん。大丈夫だよ。」

とユウトが言った瞬間、スリーティアが笑顔で

「優しいんですね。私が聞いて育った人間とは全く違います。

「人がみんな、下衆ばっかりではないんだよ。」

とユウトは笑いかけた。すると、スリーティアが

「その、まだ痛むので今日はここに泊まってもよろしいですか?」

とユウトに問いかけた。ユウトは

「別に構わない」

と返すと、

「ありがとうございます」

と笑顔で返した。

(かわいい…)

と思ってしまった。

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