クラス転移で仲間外れ?僕だけ◯◯◯!

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245話 去

酒盛りをした翌日三人は大樹海に戻っていった。
僕らはギルドに行き、フイルミナさん達【先見の瞳】に報酬を追加込みで支払い街の鍛治屋を巡った。
目的は勿論、スィヨンさん、ソミアちゃん、チャロちゃんの三人に贈るアクセサリー・防具の制作依頼をするためだ。

「ふぅ。ここもダメか………。」

本日五軒目の鍛治屋を出てため息をつく。

「まあ、ここでは需要が無いですし、そこまで高位の技術があればもっと都市部や、辺境の魔物が多い所に越すでしょう。仕方ないですね。」

リリアは昨日の酔いっぷりが嘘かのように元気そう。
こっちは初めての二日酔いを経験している所なのに………。

「それならダレン王都まで行きますか?王都というからにはそれなりの物流と職人がいると思いますし………。」

エミリアさんの言うとおり、確かにそれが一番無難かもしれない。
そう考えているとリリアが躊躇いながら提案してくる。

「美月様………………この際、もっと高い技術を持った職人を探してみませんか?そしてついでに私達の武器も新調してみるというのはどうでしょう。」

「それって何か当てがあるってこと?」

「私も元は魔法格闘師で武器を必要としなかったですし、若手で短剣使いだったときも安物ばかりで当て無いですが、東大陸でも有数の鍛治師達が集う街には心当たりがあります。冒険者ギルドの総本山、フエデリア帝国です。」

なるほど………いつまでもこの街に滞在してるわけにもいかないし丁度良い機会かもしれない。
でも確かフエデリア帝国って確かリリアの故郷だったよな。
前から何度も考えてるが、断片的に聞いている昔話を聞く限りあまり良い思い出も多くなさそうなんだよなぁ……………。
以前、リリアより強い人間に出会って冒険者を諦めて、そうしたら仲間もいなくなってしまった。といっていた気がする。

「そんな心配そうな顔をしなくとも大丈夫です。何度も言ってますが昔の話ですよ。…………思うところはありますが、今の私はあの頃とは違いますので……。それにそろそろレレアの墓にもお参りしたいですしね。」

「そうか………ならいいかもな。そろそろガイドミルにも戻らないといけないし、良いきっかけだ。明日辺りからこの街を出るか?他のみんなはこの街にまだ何か用事があったりする?」

他のみんなが異論なければ明日に街を出よう。

「私はなんもないわ。」

「ニキスもマスターについていくだけです。」

「私もこれといって特に用事は無いです。」

皆異論は無さそうだ。
そう言えばエミリアさんは一応暫定的に僕らに付いてきているっていうていだったけどガイドミル王国側に行って良いんだろうか? 
一緒に付いてきてくれる分には楽しいし嬉しい所では有るんだけど………。

「エミリアさんはここから西大陸側にいく選択肢もあると思うんだけど良いの?正直こっちの大陸でいるよりあっちの方が安全だと思うけど?」

エミリアさんはガイドミル王国的には死んだことになっている人物。
平穏な生活を望むなら敢えてガイドミル王国の方に向かう理由もない。

「そうですね…………。まだ色々決めかねているというか……一度は自由に国を捨てて生きてみようとは思ったものの、本当にそれで良いのか気になってまして………。もう少し皆さんに付いていって色々感じてみたいんです。」

「そうですか。それなら一緒に行きましょう。」

「ニキスも一緒に来てくれるのは嬉しいです!」

「それなら街を出る挨拶に行きますか。お世話になった人も多いですし。」

鍛治屋巡りを打ち切り早速、別れの挨拶にいく。
まずは冒険者ギルドに向かう。
すると酒場にはフイルミナさんとテッシィさんと蜘蛛亜人のサリアさんがいた。
丁度良かった。フイルミナさん達【先見の瞳】の人達にも挨拶に行こうと思ってたんだ。

「おー。お疲れさん。おっ、そう言えば報酬の件助かったぜ。」

「お疲れ様です。………結構疲れ溜まってそうですね。」

久しぶりに見たフイルミナさん達の姿は、目に隈があったりして疲れがたまっているように見える。

「まあな。向こうから直接手を出してくることは無いだろうが、何があるかわからんからな。相手のご機嫌取りになりそうなクエストを沢山やってたのさ。こんだけやればオルトロスの連中も私達を目の敵にはしてこないだろう。」

「あんまりにも大変ならこの際オルトロスそのものを潰すのもありだと思いますけど?力は貸しますよ?僕らの責任ですし。」

もうこの街を出るつもりだったが、フイルミナさん達が不安な状況で出ていく訳にもいかないし。

「良いんだよ。オルトロスを無理矢理潰しても変わりが新たにオルトロスに変わる裏組織が現れるだけ。むしろ新たに現れる裏の人間たちの争いで今以上に荒れた街になる。それぐらいなら彼等を受け入れるべきさ。一応彼等オルトロス達には彼等なりのルールがある。平和のためにはある程度、裏の人間達も許容しないといけないということだ。まあ、今回の件で奴等も不用意に明らかな犯罪行為は控えるだろう。」

なるほど、あいつらは人の人生を食い物にする糞野郎だと思ってたがあんな奴等でも存在することで、犯罪行為の抑制担っているということか。
皮肉なもんだ。

そう言えば、この前捕まえた人拐い達は結局死罪にはならず、奴隷落ちと成り、オークションに掛けられたと聞く。
奴隷落ちは人拐いをした人間達の刑としては些か優しいものらしい。
何らかの力が働いたのも明白らしい。
恐らく買い手はオルトロスの人間なんだろう。
奴隷となった彼等をオルトロスは以前と同じように部下として扱うのか、それとも奴隷のように扱うのかはわからないが。

「そうですか。裏の世界にも色んな秩序やバランスがあるんですね。」

「まあ、こっから先は私らの話さ。美月達が気にすることじゃないよ。ってそれはともかく何か用事があったんだろ?」

あ、そう言えば別れの挨拶だったな。

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