クラス転移で仲間外れ?僕だけ◯◯◯!
240話 終幕
スィヨンさんは一瞬混乱したように周りを見渡すとエミリアさんの方を見ている。
………なんかの作戦なんだろうな。
あんまり二人の方を見ていると相手に勘づかれるかもしれない。
適当に相手と話して誤魔化すか。
「なぁ、何のためにこんな人拐いなんてしたんだ?大樹海の獣人なんてリスクが高過ぎるだろ?相手は普通の人間遥かに強いだろ?」
「ふっ!世の中にはいろんな需要があるもんなんだよ。年端もいいかない獣人のガキを無理矢理捕まえて、怯えてるところを犯してえ。とか言う馬鹿みたいな要求をしてくる貴族がいるんだよ。この国に転がってる獣人奴隷は捕まってからこれまで地獄を見てるだろうからな…………。戦いもせずブクブク肥った貴族なんかに簡単には怯えねぇ。ともなれば拐いに行くしかねぇだろ。…………本当はこんな下らんことの為に俺らが出っ張ることはねぇんだが、その貴族とのコネクションは重要だったからな。その結果がこれじゃ割りに合わねぇがな。」
なるほど…………。
どこの国でも腐った人間はいるんだな。
吐き気がするよ。
「そんな事はどうでもいい。さっさと引け。」
相手の男は僕らが引かないことに苛立っているようだ。
エミリアさんの準備は整ってるか?
《美月…………エミリアから伝言………「ソミアさんが入れ替わったら速攻を仕掛けてください。」…………だって。》
《了解。》
なんとか準備は終わったのかね?
エミリアさんとスィヨンさんが目で合図をしている。
「[ポジションチェンジ]。」
突然、エミリアさんが魔法を発動させた。
その瞬間エミリアさんの足元に居たラズリが消える。
この魔法[ポジションチェンジ]の効果は自分以外の人間同士の位置を入れ換える効果。
戦闘において言えばかなりの強魔法。
もし、前衛が抜かれて後衛を攻撃されそうになっても前衛の人間と入れ替えれば万事解決してしまう。
しかし、その高すぎる効果の代償ゆえか、発動条件も厳しいらしく、それぞれの距離が離れすぎていないこと、入れ換える二人を術師が同時に視界内におさめておくこと、あと入れ換える者のうちの片方に触れている必要がある等、沢山ある。
この中でも一番厄介な条件は入れ換える二人が一定以上の友好度がなければ発動しないと言うこと。因みに大体、友好度がかなり仲の良い友達位なら発動するらしい。
なので、敵と味方の位置を入れ換えていきなり攻撃!とか、敵地潜入!とかは出来ないのだ。
だからこの場でソミアちゃんと初対面の僕らは当然ラズリとも面識はない。
だから[ポジションチェンジ]をしてもソミアちゃんを取り戻せない訳なんだけど…………。
エミリアさんの魔法によりラズリが消えた。
そして、その場に表れたのはスィヨンさん?
「!?お、おい。なんのつもりだ!このガキを殺すぞ!」
相手の男は慌てたようにソミアちゃんに突き立てていたナイフに力をいれようとする。
「もう遅いです![ポジションチェンジ]!」
スィヨンさんがエミリアさんの近くに表れた瞬間、再び消える。
そして、次の瞬間その場に表れたのはソミアちゃんだ。
なるほど………!
この場にいる人間の中でソミアちゃんと面識があるのはスィヨンさんだけだ。
そして、スィヨンさんは姉。
当然仲は良い筈、それなら[ポジションチェンジ]も発動可能。
だが、高位の魔法は魔力を溜めたりする必要があってあんな一瞬で連続して発動は出来なかった筈だけど?
ってそんなことより早く速攻を仕掛けないとな。
ソミアちゃんがエミリアさんのもとに来たと言うことは、人拐いの男の元にはスィヨンさんがいる。
それならいくら人拐いの男が実力者とはいえ、簡単に拘束できないし、人質に出来るわけがない。
「離せクソ男!」
「っ!!一体どんな魔法だよクソが!」
早速、スィヨンさんが相手の拘束を抜け戦闘体制に入ってる。
だけど、これ以上時間を使わせると次は何をするかわからない。
速攻で決めさせてもらう。
「[状態異常妄想(敏捷値上昇レベル2)]………………スィヨンさん避けて!……[鉄装脚][旋風脚]!」
一瞬で相手の懐に入る。
「なに!?」
人拐いの男はガードするが、そのカードの上からぶち蹴る!
男はカードした腕に刃物を仕込んでいたらしいが鉄を纏っているから関係ない。
数十m飛んでいった。
直ぐに追撃できるように追いかける。
男は血塗れな状態だが、何らかの魔道具の効果か体が白いオーラのようなものに覆われて一瞬で怪我が完治した。
「クソが!化け物め!」
男は一瞬僕を睨んだものの、背を向け逃走する。
追いかける。
僕と人拐いの男では基礎ステータスが違いすぎる。
単なる追いかけっこなら敏捷値が全てだ。
一瞬で男に追い付くが、その瞬間男の体が空中に浮かび上がる。
「てめぇらの性で麻痺の魔剣に、完治の指輪まで失うことになるとはな。空歩ブーツがなけりゃ死んでたぜ。幾らてめぇが強くてもここまではこれねぇだろ?あばよ!」
「[エアロダッシュ]!」
僕は空中を駈け、男を追いかける。
「嘘だろ!」
もう逃がさない。
「[飛び蹴り]!」
男は僕の蹴りをくらい地面に叩き落とされる
さっきの急速な回復が魔道具の効果ならもう回復は出来ない筈。
地面に降り立つと男は気絶して倒れ付していた。
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コメント
読書好きTT
リリア可愛いヽ(*´∀`)ノ
二キスの画像も欲しいですね(^∇^)