クラス転移で仲間外れ?僕だけ◯◯◯!

TNKt_k

228話 第六回パーティー内女子会

「これから第6回パーティー内女子会を開始します。」

「あの……これは一体?」

いつものように話し合いの開始宣言をするとスィヨンさんから疑問の声が上がりました。

「私達のパーティーは、男性が一人に対して女性が多かったり、その中で私と……その……美月様が……付き合ってる……っていう特殊なパーティーなので男性の居ない場を作り意見を交わすことを目的として会議です。」

あぁ~!!
恥ずかしい。
こんな……仲間の前でそんなことを言って……。

「そういうものなのか?」

実際のところパーティー内で男女の仲になったりして、嫉妬の末にパーティー崩壊と言うのはよく聞く話です。
だから基本的に男女混合でのパーティーというのは少ないのです。
あるとすれば、よほど年期の入ったパーティーとか、恋愛要素の湧かない程の仲だったりする場合が多いです。
まあ、氏族単位で戦いを行う獣人であるスィヨンさんからしてみれば、分からない感覚なのかもしれない。

「はい。それで今回の議題はやはりスィヨンさん貴女のことです。」

「わたしか!まあ新参者だから分らん事も多いだろうからな。」

すこしスィヨンさんの顔に陰りが見えた気がした。
しかし、今しか聞けないといけないことがあります。

「いえ!そのようなことはどうでもいいのです!……………一番重要なことは……貴女が美月様のことをどう思っているかということです!!」

目の前のスィヨンさん目が点になったのが見えた。


《スィヨン視点》

今なんて聞かれたのだ?
アナタガビツキサマノコトヲドウオモッテイルカトイウコトデス………………貴女が…………美月様のことを………どう思っているか…………ということです………………。
頭の中で何度考えても同じ言葉にしか思えない。

今日突然呼ばれた女だけの会合、この人達のリーダーの美月殿は敵であったレッドオーガの主を見逃したりと甘いところがある。まあそのお陰で敵対していた我々猫人族のタミスの民は生き残ることが出来たわけだが…………。
だから美月殿の居ないこの場に呼ばれた理由は獣人族である私へ何らかの警告なんだろう。と思っていたのですけど、予想に反して聞こえてきたのは一人の男のことをどう思っているかという質問。
周りを見ても、魔物の少女である二キス殿も、精霊の少女であるヒスイ殿も表面上は平静を装っているが、気が気でないといった様相でこちらを見ている。
その他は我関せずなスライムのラズリ殿、あきれたような表情のエミリア殿がいる。

「はぁ~、すいませんねこの人達恋愛脳なんですよ。それさえなければ強くて真面目で尊敬できるとこばかりなんですがね………………。」

エミリア殿は哀愁を漂わせた表情で天井を見上げてます。

「それでスィヨンさん!どうなんですか?」

少し照れたような表情のリリア殿にせっつかれて考える。
どう思っているか…か……………。
さっきも考えたように甘ちゃんではあると思う。
美月殿は元々レッドオーガ達を全滅させる気ではあったんだろう。
仮に彼らのボズがローズのように話ができる個体でなかった場合はおそらくレッドオーガ達を見逃すことなく倒していたはずだ。
つまり相手が話をできる。それだけの理由で敵だった相手と対話しようと思うのはやはり甘い考えとしか思えない。
しかし、その甘さを強引になんとかできる程度の強さを持っている。
そしてその後、ローズ達レッドオーガを生かす為、様々な方法を模索したというのは多分すごいことなんだろう。
私は考えることは苦手だからどのくらい凄いのかは分からないが、敵であるレッドオーガ達を仲間として引き込むなんて考えは思い浮かばなかっただろう。
私も初めは人間だからという理由で美月殿を嫌っていたが、ローズにも甘かったように我々にも普通に接する彼を見て少しは信用してやってもいいかなとは思った。だからこそ妹のことを頼んだし、私も付いてきた。
おまけに冒険者ギルドでは食糧問題の解決しうる方法を提案していた。

「総合的に評価するなら甘いところがある人間ではあると思うが、強引解決できる力、柔軟な発想、かなり優秀な人間だと思ってる。少なくとも今はセレン聖教国の糞どもと同じ人間とは見ていない。」

「美月様が素晴らしいのは当然です!あと言っておきますが美月様はのでは無く、ですから!」

「そうです!あの優しさこそがマスターの魅力の一部!二キスもあの優しさによってマスターの使役獣になることが出来ましたから!」

「あ、あぁ……………。」

私の言った欠点を食い気味に否定されたため、漏れるように声を零してしまった。

「ってそうではありません!私が聞きたかったのは!……………先日言っていたではないですか………その…………数日前に大樹海でガレンディアに着いてくるという話のときに「勿論必要ならば私の体を好きにしていただいて構いません。」と言っていたではないですか?…………あれはどういった意味なのか気になりまして。」

リリア殿は顔を真っ赤にしながら聞いてきた。
ふむ。リリア殿と美月殿は付き合っているようだし、あまりよくない提案だったか?人間たちは雄雌おすめす一人ずつで一組の番いを作るというし………強い男には沢山の妻がいる我々の種族ではあまりない考え方ではあるが風のうわさ位には聞いたことがある………………。
まあ、あの段階では二人の関係も知らなかったし仕方ないことだろう。


コメント

  • 磯部 磯兵衛

    作者さん頑張って下さい

    1
コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品