クラス転移で仲間外れ?僕だけ◯◯◯!

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217話 閑話 勇者パーティー5

「ちょっと!供花ちゃん!それはもうちょっと待つって話じゃない!」

供花の双音ちゃんに対する言い方に夏蓮が反論する。

「いや、待ってもいいけど。暫くこの砂漠でレベル上げるんでしょ?さっきのロックアントでこの砂漠で出会うほぼ全ての魔物を倒した訳じゃない?由加が居る意味ないじゃない。それにここの魔物は[ティム]出来なそうなんでしょ?むしろ怪我するかもしれないから街に置いてきた方が良いでしょ?」

「それは………そうですけど………。」

双音曰く[ティム]のスキルは使い手の実力以外にも敵対しているかどうかや、[ティム]される側の魔物の強さ・気性・性質・友好性によっても変わってくるみたい。
この砂漠でであった魔物で[ティム]出来そうなのはデザートラビットという魔物だけで、砂に隠れて身を隠すという性質の魔物。
双音ちゃんはハイドフォックスという隠密系の魔物を[ティム]していて能力が被るし、戦闘能力が期待できるような魔物でもなかったから[ティム]はしなかったらしい。
つまりはこの砂漠で双音ちゃんが新たに魔物を[ティム]することは無いってことにはなる。

「でも、それじゃ双音ちゃんのレベルが上がらないじゃない!」

「レベル上がっても戦えないなら関係無いでしょ?」

「でもレベル差があったら後々戦闘系の魔物を[ティム]しても戦闘に参加できないじゃない。」

「そこまで由加一人に配慮する時間があるなら私達が強くなった方が早いでしょ!」

「さっきも双音ちゃんに助けてもらったんだがら私達が助ける番でしょ!?供花とは話が合わない!」

何でパーティーの仲を崩すような発言するんだろう?
皆で強くなっていけばいいのに!
どうせパーティー無いに自分の子分が居ないのが嫌で、一人で行動することが多かった双音ちゃんを虐めて楽しんでるんでしょ!

「ねぇ、拓哉!私いいこと思い付いたわ。私達がここでレベル上げてる間、由加は一人で[ティム]出来る魔物を探せば良いでしょ?由加もレベルは高いわけだしちょっとレベルが低い魔物位なら問題無いでしょ。むしろ私達と一緒に行動する方がよっぽど由加が危険だもの。」

勇義に「由加が怪我しちゃうかも」と言ってしまえば、勇義が別行動させると理解してて言ったな。

「うーん。確かに双音さんが早めに戦力になってくれるのは助かるし、何よりこのままじゃ怪我する可能性もあるよね?別行動をするのもありかもしれないね。」

ほらやっぱり!
ただでさえパーティーの連携メチャクチャ一歩手前みたいな感じなのにここで別行動なんかしたらパーティー崩壊しちゃう。
ちゃんと目先だけじゃなく、その後まで考えて行動してよ。
そんな状況に勇義に対して一番発言力のある夏蓮が説得に掛かる。
だけど、一度物事を決めた勇義はどんな正論があろうと、自分自身が正しいと考えることが多いから……。

「勇義君。双音ちゃんが一人で行動して万が一があったらどうするの?」

「冒険者を雇ってみたらどうかな?地元の魔物には詳しいだろうしかなり有効なんじゃない?」

「私達はこの世界でまともに一般の人と交流してないんだ?冒険者なんて雇えないよ。それに詐欺されたりしたらどうするの?」

「大丈夫。真摯にお願いすれば相手にも伝わるよ。」

そんなんだったら世界中平和だよぉ!!

「も、もういいよ。迷惑掛けたくないし、早く強くないから私行くね。」

勇義と供花があまりにも強く言うから、双音ちゃんが引いてしまった。
双音ちゃん一人でやっていけるわけもないのに…………。

「なら私も双音ちゃんと行くことにする。」

「えっ!」

「そうだよね沙耶ちゃん。私も行くことにする。別行動をとってもいいんでしょ?だったら私も一緒に行くことにする。」

「美樹ちゃんまで一緒に行かなくても。」

勇義が未練がましく夏蓮の事を呼び止める。
ここで思わぬ人から助け船が。

「良いじゃん拓也!双音のことが心配なんでしょ?だったら美樹ちゃんと沙耶が居れば安心じゃない。」

供花は自分の子分でもなく、あまり言うことを聞いてくれない私達を前から疎ましくしていたふしがあるから、渡りに船なんだろうと思う。
特に夏蓮はクラス一の美人で女の子からも男の子からも人気だから、チヤホヤされるのが好きな供花にとっては邪魔だったんだろうなぁ。

「じゃ、行きましょ双音ちゃん。」

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