180話 街外見回り

「じゃあ俺らは街の東側を見回るから、お前らは西側を頼むぞ！じゃあな。」

「了解気を付けなよ。」

「お前らこそな！」

まあ、街の外の見回りくらいなら大した危険も無いだろうがな。

「それにしても、ゴブリンの群れの残党がいるかもしれないからパトロールですか………。流石Gランククエストですね。」

「まあ、良いじゃないか？ただ見回ってるだけでお金も貰えるわけだし。」

「そうですが、日当30シルバーですよ？私達と彼等で別けると私達の日当すべてで宿代1部屋＋料理1人分でお金がなくなってしまいますよ？」

「それなんだけど、僕らはお金が有るから良いけど、他の新米冒険者はどうするの？」

気になるなぁ。
このクエストはともかくとしてもGランククエストのクエスト報酬より宿代の方が明らかに高いもんな。

「新米の冒険者はご飯なし＋大部屋(見ず知らずの人達と十人以上)で3シルバー位の宿に止まり、ご飯は自分で調達という感じです。」

「うわぁ…。」

嫌だなそれ………。
ヘテラちゃんも金のことに厳しくなるわな。

「あともう一つ気になるのはあの子達が見回っている方には大樹海があるので一応魔物も出現しやすくはあるんですよね。」

「そう言えば、ヘンリーさんやビルさんも大樹海が危ないか言ってたけど、レン君達じゃ危ないの？」

「基本的にはあそこに住む魔物が樹海から出てくることは少ないですが、森の反対側で大きな戦争があるわけですからね………。生存競争に敗れた魔物が樹海から出てくる可能性が無いとは言えません。生存競争に敗れた魔物ならせいぜいD～Cランククラスの魔物ではないでしょうか？」

「D～Cてことはそこそこ強いのかな？因みにダンジョンの時のアイスゴーレムはどのくらいなの？」

「そうですねぇ………ダンジョンの魔物で意志が無かったことを込みにしてDランクですかね。」

あれでDか………結構強かったイメージあるからな。
勇義とかでも苦戦してたからな。
新米冒険者のレン君達には荷が重いだろう。
まあ、滅多に無いことなんだろうし大丈夫だろう。
…………もしかしてフラグたてたか？
いやいや、ゲームやアニメの異世界転生の先輩からやるべき事を参考にするのはいいが同一視は良くないな。
この世界は現実で、あくまでもゲームやアニメは仮想の物。
そこを履き違えることは良くない結果に繋がる気がする。
フラグなんてものはゲームやアニメのみの都合のいいご都合主義、現実世界のここでそんな事は起きるわけがない。

ーー2日後ーー

と思った僕が間違いだったのだろうか？
目の前にはゴ・ブ・リ・ン・ら・し・き・生・き・物・がいる。
ゴブリンなら問題ない。
僕らは当然としてレン君達でもレベルが低ければ問題ないだろう。
だが、目の前にいるのはゴ・ブ・リ・ン・ら・し・き・生・き・物・。
体の節々から昆虫節のような触手？のようなものが出ている。

「これ気持ち悪いんだけど！！殺すよ！？」

ヒスイが殺そうとしている。
まあ、良いか別に強そうでもないし。
適当に[高位鑑定]するとレベル7のゴブリンと出た。

「ちょっと待ってください！」

珍しくリリアさんが慌てている。

「な、なによ？」

「これは人型の魔物に寄生する植物パ・ラ・サ・イ・ト・ポ・イ・ズ・ン・プ・ラ・ン・ト・ではないですか？」

なんだそれ？

「聞いたことがあります。パラサイトポイズンプラントは仲間意識の強い人型の魔物に寄生することで寄生された魔物に仲間がいても安易に寄生主を排除されないようにする植物とか？そして何より厄介なのは、自らと宿主を殺されないように体内に猛毒を宿していることらしいです。」

「はい。そしてその毒が大地に撒き散らさせると酷く大地を汚染します。この土地は農業等で栄えた地、大地が汚染するのは不味いです。」

それはよろしくないなぁ。
責任問題とかあるし………。
とはいえ放置していて誰かが間違えて攻撃しても大問題だし。

「なあヒスイ。お前あいつの親戚だろ？なんとかならないのか？」

世界樹の精霊なら植物だし、あいつも植物系の寄生種だしなんとかなるだろ？

「ふざけないでよ輝夜！あんなんと同類なわけないでしよ！そもそも私が操作できる植物はただの植物、魔物の植物なんて操作出来ないわ。そもそも植物系の魔物は知能が低いし会話も通じないわよ！」