シロトクロ

むぎ

第12話 新たな力の予感

日曜日。

ユウ「トモカ、そろそろ着くかな?」
トモカ「ごめーん!待った??」
ユウ「ううん!今来たとこ!」
トモカ「良かった!行こっか!」

久しぶりのデートにトモカはご機嫌だ。

ユウ「今日は一段と可愛いな。」
トモカ「う、うるさい……」
ユウ「ふふ(笑)」
トモカ「いいから早く歩くっ!!」
ユウ「はーい(笑)」

トモカ「ホント久しぶりのデートだね!」
ユウ「な!最近色々あったしな…」
トモカ「こうやって隣に居てくれるだけで安心する。」
ユウ「いつもありがとうな。」

トモカ「え?」
ユウ「なーんでもない。」
トモカ「ちょっと!なんて言ったのー!」

カランッ!

トモカ「!!なに!?」
ユウ「誰だ!」

そこにはゴブリンがいた…

ユウ「おいおい……こんな良いムードの時に……」
トモカ「ねぇ、ユウ。なんか変じゃない?」
ユウ「変?」

トモカの言う通りそのゴブリンは変だった。

ゴブリン「ガガガ…………テ」
ユウ「トモカ、安全な所に隠れてて」
トモカ「うん。ちゃんと無事戻ってきてね」
ユウ「安心しろ。」

ゴブリン「ガギガ……タ………テ」
ユウ「よく分からねーけどもうコアに飲み込まれてる以上…」
ゴブリン「タ……スケ……テ」

ユウ「!?」
ゴブリン「タ………スケ……テク…レ」
ユウ「まだ意識が残ってる!?」

シュタッ!

ギン「どうしたユウ!」
ユウ「ギン!こいつコアに飲み込まれてるが意識が残ってる!」
ギン「なんだと!ありえない!そんな事は!」

ゴブリン「タ……スケ……テ」
ギン「!!なんだと……こんな事初めてだ…」
ユウ「どうしたらいい…どうすれば助けてやれる……」
ギン「いや、待て…でも、そんなはずは……」

ユウ「どうした!何か心当たりがあるのか?」
ギン「あるっちゃあるが…だとしたら恐ろしい事が起きてることに…」

ゴブリン「タ…スケテ…クレ……ユ…ウ…」

ユウ「!!」
ギン「くっ…やはりそうなのか……!」
ユウ「何でこいつ俺の名前を…!ギンどういうことだ!」

ギン「こいつは…このゴブリンは……」
ゴブリン「ユ…ウ……」

ギン「キグナスだ!」
ユウ「!?」

ユウは理解ができなかった。
目の前に居るゴブリンがキグナスだと?
そんなはずはない。
あの男はハズレではなく自分と同じ適合者だったのだから。

ギン「前に聞いたことがあるんだ。稀に適合者がコアに飲み込まれると意識を持つゴブリンが生まれるって」
ユウ「適合者が飲み込まれるってそんな事ありえるのか?」
ギン「普通ならありえない。だが外部から闇を混ぜられたりすれば…」

ユウ「誰がそんな事を……」
ギン「おそらく、破壊神の意思を継ぐ者の力だ…」
ユウ「くそっ…あいつが……こんな姿に……」


キグナス「ユウ……タ……スケ……テクレ」
ユウ「くっ……敵だったとはいえ……助けてやりてたい…でも…どうしたらいい!!」

ギン「……倒すしか……」
ユウ「!!」
ギン「無理矢理混ぜられたんだ。救うには倒してやるしか……」
ユウ「分かってる…でも……」

キグナス「グァーー!!」
ギン「ユウ!早くしろ!これ以上苦しませる必要はないだろ!!」
ユウ「くっ……すまねぇキグナス…」

キグナス「マブ……ダ…チニ…」
ユウ「!キグナス…お前…」
キグナス「グギギッ……オレモ……シロダッタラ……オマエ……マブダ……グァァァァ!」

ユウ「キグナスッ!うわあああ!疾風拳しっぷうけんッ!」

ドゴッ!

キグナス「…………」
ユウ「くっ……」
ギン「おい!ユウ!しっかりしろ!」
ユウ「すまねぇ…」
キグナス「キエロ」
ユウ「!」

ドーンッ!

ユウ「ぐはッ!!」
ギン「ユウ!」

キグナス「フハハハハハハ!!!」
ユウ「おい……どうしたんだキグナス……」
ギン「完全に堕ちた……」
ユウ「しっかりしろよ…お前…」
キグナス「ジャマダ!」

ドンッ!
ユウ「ぐッ!」
ギン「ユウ!無駄だ!もうキグナスは完全に堕ちたッ!」
ユウ「うるせぇ……こいつとは敵同士だったけどよ……」

ギン「ユウ!キグナスは堕ちたんだ!飲み込まれたんじゃない!闇そのものになったんだッ!」
ユウ「くそっ…こいつは最後に言おうとしたんだ…もしシロなら…マブダチにって…!!」

ギン「だとしても、今お前が迷うことによって失うものを考えろッ!」
ユウ「くそっ…やるしかねぇのかよ…」
キグナス「キエロッ!」

ユウ「ぐあッ!くそっ……」
キグナス「ジャマダァァァッ!!!」

ドーンッ!!


アズマ「はぁ……まぁ、デビュー戦にはベストかもな」
???「あぁ。」
アズマ「シビレる戦い…見せてやろうぜ」


つづく………

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