シロトクロ

むぎ

第2話 変化

ユウ「…………」
レン「…………」

ユウの母「ユウ…」
レンの母「お医者さんは熱中症だって言ってたけど……」
レンの父「母さん、お医者さんを信じて今はレンとユウ君が目覚めるのを……」
レンの母「だって……もう1週間も……意識が戻らないのよ……!!」
ユウの父「くっ………」

あの異変からもう1週間が経っていた。
爆発は確実に起きたのだが空き地はあの日の朝と何も変わらない状態でそこにあった。

ガラガラッ

生徒A「お花持ってきました…」
ユウの母「トモカちゃん、ありがとう…」

多田ただ トモカ
ユウの幼馴染であり彼女。

トモカ「本当に熱中症なんですかね…」
レンの父「トモカちゃん…」
トモカ「ユウとレンの他にも居るんです…」
レンの母「居るってどういうこと?トモカちゃん」
トモカ「20人近く、1週間学校を休んでて…」
ユウの父「にじゅっ…20人近く!?」

ユウとレンの通う学校では確かに、20人近くの生徒が謎の熱中症で倒れていた。

トモカ「同じ日にそんなに大勢が熱中症で倒れるってなんか不思議じゃないですか…?」
ユウの母「でも、あの日はたしかものすごく気温高かったから……」

確かにあの日の気温は高く、全国で熱中症で倒れる人が多かったのだ。
普通に考えたら何も不思議な事ではなかった。

トモカ「でも、なんか胸騒ぎがして……」

その時だった。

ユウ「んっ…」
レン「うーん……」

一同「!?」

2人は目を覚ました。

ユウ「はっ!!」
レン「!!ここは!?」

トモカ「ユウ!!!」

トモカがユウに抱きついた。

ユウ「痛い痛い!!え?トモカ?それに父ちゃんと母ちゃん!?」
レン「え?病院?はっ!!体は!?どこも吹っ飛んでないのか!?」
レンの父「馬鹿野郎!心配かけやがって!!」
レンの母「良かった……あなた達、空き地で熱中症になって倒れてたのよ……」


ユウ「熱中症!?」
レン「いやいや…爆発に巻き込まれて……」
ユウの母「まだ混乱してるのね…目が覚めたばっかりなんだからもう少しゆっくりしなさい」

ユウとレンは理解出来なかった。
たしかにあの日、何かの声を聞き、体を掴まれ爆発に巻き込まれたのだ。

でも、何故か熱中症ということで入院していたのだから。

トモカ「目が覚めて……本当に良かった……」
ユウ「泣くなよトモカ」
レン「おいおい、隣でそんな熱いの見せつけられたら本当に熱中症になりそうだわ…」

一方その頃……

???「あとはヤツらが覚醒するのを待つのみ」
???「早く拝みたいものだな我らの意思を継ぐ者達を」
???「黒闇くろおに達を」


それから3日経った後、ユウとレンは退院した。

ユウ「くぅーーー。病院での生活は退屈だったな」
レン「ほんとだよな。ところでさ…」
ユウ「分かってる。行こう、あの空き地に」
レン「てかよー、リンは無事だったのかな?」
ユウ「俺らが入院してる病院にリンの名前はなかった。あいつは巻き込まれなかったって事だろ」

音村おとむら リン
あの日、空き地でユウとレンに声をかけ走ってきた生徒。

ユウ「とりあえず、空き地行くぞ!」
レン「おう!」

2人は空き地へと走り出した。


ユウ「はぁ…はぁ…やっぱ10日も運動してねーと…体力が……」
レン「きっついな……お前の走りに付いてくの……」

そして空き地へと着いた2人が目にした物は………


ユウ「なんだよ…これ…」
レン「嘘だろ……」
2人「何も……何も変わってねーじゃねーか!!」

そこにあったのはいつもと変わらない普通のただの空き地だった。

ユウ「穴がない!」
レン「それに爆発したはずなのにその形跡すら……」
ユウ「何も無かったのか!?」
レン「いや、そんなことはねーって!」
ユウ「でもよ、あの距離で爆発したのに俺ら無傷なんだぜ?」
レン「たしかに…」
ユウ「本当に熱中症だったのか?幻覚でも…見てたっていうのか?」

あの日から10日。
この町はいつもと変わらない。
いや、本当に変わらないのか。

この時はまだ誰も気付かなかった。

確実に運命が変わりつつあることに。



つづく………

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