貴族に転生したけど追放されたのでスローライフを目指して自前のチートで無双します

guju

ミュンヘン戦争⑤

 一応指揮官らしき人物を捕獲したことだし、もう一度戦況を見て行けることならネメスに拷問を頼むとしようか。スーリヤよりも悪魔のネメスの方が拷問には向いてるだろうしな。

「炎の翼」

 魔法を発動し、天空へと飛ぶ。一面を見渡せるくらいまで上昇して止まった。

「スーリヤも参戦してるのか」

 真っ先に目に入ってきたのは、神々しい天使の翼を羽ばたかせながら縦横無尽に戦場を飛びまわり、まるで天使とはかけはなれた悪魔のような形相で敵を切り伏せるスーリヤの姿だ。

「うわっ、今オーガの頭を握りつぶしたぞあいつ……」

 ありゃ怒らせると俺の命まで危ないかもな……。にしても、ネメスは何とも動きが悪いな。

 スーリヤの派手な立ち回りとはうって変わって、静かな戦闘をしている。いつもなら大きな腕で薙ぎ倒したり、猛スピードで首を叩き潰す悪魔の象徴みたいなあいつが……。

 すこし調子が悪いのだろうか。それとも疲れているだけか……?これならスーリヤに天使を呼ばせて、ネメスには拷問に回ってもらった方が良さそうだな。

 休憩も兼ねて、屋敷に戻ってもらおう。

<ネメス>
<主様、どうかされましたか?>
<指揮官らしき人間を捕らえた>

 ネメスは動きをとめない。戦を続けながら念話に反応しているようだ。

<それで、お前にはそいつの拷問を頼みたい。色々と情報を取ってくれ>
<かしこまりました>

 ネメスは近くにいた敵を素早く片付け、転移魔法で戦場から姿を消した。

 よし、次はスーリヤだな。彼女には天使を少し回してもらう。

<スーリヤ、聞こえるか? >

 俺はスーリヤに念話を送る。

<ご主人様、なんでしょうか? >
<戦力が欲しい>

 俺はオーガの顔を踏み潰したスーリヤを横目に要件を伝えた。

<分かりました。でしたら、5英傑の1人を筆頭に5000の軍で宜しいでしょうか? >

 うわっ、次は弾き飛ばしたぞあいつ……。あんなに美しい見た目をしておいて、あんなにグロテスクなことを。

<ご主人様? >
<あ、あぁ……いやすまん。それで頼む>
<了解です。5分ほどでこちらに来るでしょう。兵士への伝言はお任せ下さいね>
<助かる。じゃあな>

 俺はスーリヤとの会話を切り上げ、さらに前へと進むことにした。あわよくば本陣でも潰せたらなと思ってな。

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