Agl極振りで魔弾飛び交う戦場を駆け抜ける!

SKaL

エリアボス(上)

ログイン初日からエリアボスに挑むこととなった俺とミリィだが街に戻っていないので装備は初期のままだし、アイテムの補充もしていないのだ。
初期の防具ではボスの攻撃を喰らえばHPの大半が削られるだろう。
攻撃に関しては一応、魔弾の[旋風弾]があるが元となった素材がゴブリンなのでゴブリンの進化版のようなこのボスには通用しないだろう。
どうやってボスを攻略するかを考えているとボスが雄たけびを上げながら突っ込んで来た。
ただのゴブリンに比べればかなり早いが十分に対応できる速さだ。


「ミリィ!挟み撃ちにするぞ!」

「了解ッス!」


再びボスが叫ぶと同時にいくつかの矢が飛んでくる。
挟み撃ちにしようと動き出していたので当たることはなかったが動いていなかったら当たってしまっていただろう。


「ボスが命令してるみてェだなァ」

「そうッスね。先に周りのゴブリンから倒した方がよさそうッスね」

「そォだな。任せてもいいかァ?」

「任せてくださいッス」


周りの雑魚はミリィに任せ俺はボスの相手をするために視線をボスに向ける。
さっきの速さからして不意打ちや予想外の攻撃にさえ気を付けておけばまずダメージを負うことはない。
問題はボスの持っている盾だ。
俺の銃であるサブマシンガンは連射の速度は速いが一発一発の威力は低い。
試しに盾に隠れ切れていない腕の部分を狙ってみるも防がれてしまう。
ミリィのアサルトライフルなら可能性はあっただろうが、ミリィのAglではボスの攻撃を避けるには少し不安が残るのだ。
あのボスを攻略するには盾を躱してから撃つ必要がある。


「ギリギリで攻撃を避けて回り込んでうつしかねェなァ」


こちらの攻撃を立てで防げることが分かったらしくボスが盾に身を隠すようにして再び突進してくる。
ギリギリまで引きつけ当たる直前にボスが盾を持っていない右側へ転がるように回避する。


「がら空きだァ!」

「ゴガァア!?」


マガジン内にある弾を全て撃ちきる。
ボスの右側から大量の赤いエフェクトが飛び散る。
当然ボスも黙ってやられている訳では無く振り向きざまに右手の剣で薙ぎ払ってきたがそれも何とかよけ次の攻撃に対応できるように体制を整えながらリロードするとミリィが雑魚を倒しきったらしく合流してきた。


「終わったッスよ、ラギさん」

「早ェな、盾持ちとかもいただろォ?」

「ボスの命令がないと連携は取れないみたいッスから余裕ッスよ。盾も弾かれるかなと思ったんっスけど普通に貫通したッス」


雑魚の装備が粗悪すぎたのか?それともアサルトライフルなら貫通するのだろうか?
もしミリィの攻撃が通るのなら攻略がかなり楽になるのだが・・・


「試しにボスを撃ってみてくれ。もし貫通するようなら次からは俺が雑魚の対応をした方が良さそォだ」

「分かったッスよ。」


そういって数発ボスに向けて撃つが残念ながら貫通することはなかった。
しかし、俺の銃よりかは威力が高いので攻撃を受けると移動が阻害されるようだ。
とりあえずミリィが合流してくれたので挟み撃ちで一気にボスのHPを削りにかかる。
一発の威力が俺よりも大きいミリィに援護してもらい、機動性のある俺がボスの近くで注意を引きながら隙をみて俺自身も攻撃をする。
これが一番よさそうだな。


「俺が近づいて隙を作るから盾が離れたタイミングで撃ってくれ」

「了解ッス」

「行くぞォ!」


今度は俺からボスに突っ込んでいきミリィに背中を向けさせるように動く。
背中を見せればミリィが撃ちダメージを与え、そちらを向けば今度は俺が撃ちダメージを与える。
パターンが出来上がり討伐も時間の問題かと思ったがボスがまた雄たけびをあげゴブリンを呼びそのまま俺たちに突っ込んで来たせいで対応する羽目になりボスと距離を取られる。
集まってきたゴブリンの数はさっきよりもかなり多く弓や盾を持った奴の数も増えている。


「流石にここまでいやがると一人で対処すんのは難しそォだなァ」

「そうっスね、ボスも自分の守りを固めて指揮に専念するみたいッスよ」

「あそこに突っ込むとなると今の装備じゃァ厳しィな」


盾持ちと棍棒や剣を持ったゴブリンを先頭に弓持ちのゴブリンが後ろから矢を射ながら少しずつ距離を詰めてくる。
まだ囲まれてはいないが囲まれるのも時間の問題だろう。
囲まれてしまえば弓を躱せなくなりジリ貧になってしまうのでその前に数を減らす必要がありそうだ。


「ついにこいつの出番みてェだなァ」

「さっきまで両手持ちしてなかったんスか?」

「両手で銃を持つと回復するのにもリロードにも時間がかかるからなれねェうちはやめとこォと思ってたんだがなァ」


もしボスの攻撃を喰らってしまったときにすぐ回復することもできないうえに、リロード時に攻撃を浮けてしまいやすくなるのであまりしたくはなかったがここまでの数となると少しでも火力が欲しい。
ミリィとうまく連携でリロードの隙も埋めることが出来れば大きなダメージを負うこともなく倒しきれるだろう。


「リロードする時はもう一方が牽制していけばいけそォだな」

「だといいんスけど・・・」

「どォかしたのか?」

「なんか嫌な予感がするんスよ。何故かは分からないんスけど・・・」

「勘ってとこか?とりあえず互いの隙を埋めつつ倒し行くぞ。確かに最初のエリアボスだとしても弱すぎる」


ミリィに言われるまで気が付かなかったが流石に順調すぎる。
ある程度の攻撃パターンがあるのは分かるが二人以上で確実にボスがハメ倒すことが出来るのは簡単すぎる。


「「「「ギャギャッ!」」」」

「来るッスよ!」

「ミリィは盾持ちを優先してくれェ!そいつらは俺だと数発撃たねェと倒せえェ」

「了解ッス!」











「「「ギャギャッ!」」」

「結構な数倒したはずなんだがなァ」

「まだまだいるッスね」


大きなダメージは負っていないが全くのノーダメージとはいかず何度か回復薬を使ったので残りが心もとなくなってきた。
かなりのゴブリンを倒したはずだがまだ残っているゴブリンはまだまだいる。

・・・いや、おかしい。

今残っているゴブリンの数と最初のゴブリンの数から俺たちが倒したであろうゴブリンの数を引いた残っているはずのゴブリンの数が明らかに釣り合っていない。
どんなに低く見積もっても半分近くのゴブリンは倒したはずだ。
残りのゴブリンは最初の7割近くだ。


「「ギャギャッ!」」

「っつ!あー!多すぎるッスよ!」

「「ギャッ!」」

「もう回復薬一個しか残ってないッスよ」

「ゴガァア!」

「「「ギャギャッ!」」」

・・・なるほど。
このボスの真骨頂はそういうことか。


「ミリィの嫌な予感が当たったみてェだな」

「何がッスか?」

「ボスを倒さねェことにはゴブリンが増え続けるみてェだぞ」


そうこのボスの厄介なところは”ゴブリンの召喚”だ。
そして十分な準備をしていない俺たちとの相性は最悪である。

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