テロリストが作った人体強化人間が異世界で暴れまくります

鈴木颯手

ベアード砦

    俺とレナードは野原を駆けて1時間もすると前線基地「ベアード砦」に到着した。石造りの塔を中心として中々のでかさである。
    「そういえば、何でウィルトニアさんはあんなところにいたんですか?」
    「レナードでいいわ。隣国のレオル帝国の帰り道で襲われたの」
    砦の中に入りながら言う。話によると、サジタリア王国の使者としてレナード以下20名がレオル帝国に入ったらしい。使者としての仕事も終わりその帰り道に、レオル帝国の兵に襲われたらしい。5000人近い軍勢だったそうで、あっという間に壊滅して残ったもので逃げていて先ほどの状況だったらしい。
    「ふ~ん。そういう状況だった訳か」
    「だからさっきは本当に危なかったのよ。あのとき助けてくれなきゃ今ごろ…、ああ、考えたくもない」
    レナードは身震いしながら言う。
   「でもそんな情報俺なんかに言っていいのか?」
    考えたらそうである。いくら命の恩人とはいえみずしらずの者に情報を与えるなどあり得ないことである。
    「まあ、そうなんだけど。私を助けてくれたじゃん。その恩返しよ」
    そういって彼女は笑う。…俺は天使を見た気がした。きっと名家の出なのだろう。お嫁さんにほしいな。    そんなことを思ってるとは露知らずにレナードは続ける。
    「それに話の続きがあるのよ」
    「続き?」
    彼女はいいっらそうにしていたが意を決したようで言う。
     「実はあのあと兵たちはゴブリン軍団に襲われていたのです。そのお陰で命拾いしましたが」
    「ゴブリン?」
    「はい、サジタリア王国とレオル帝国の間には魔王が作った国があるのです。住人も魔物なのですがその魔物がその辺の魔物とは比べ物にならないほど強力なのです」
    彼女曰く、5年前に突如として現れた魔王によって街1つと村数件が落とされたらしい。街を取り戻そうと何千もの人が向かったがすべて返り討ちにされたらしい。
    「それ以来人々は魔王領に近づくこともなくなりました」
    「魔王ってのはそんなに強いのか?」
    「はい。生き残った者の話によると指をならしただけで数人が木っ端微塵に吹き飛んだとか」
    は?何それ。チートすぎるじゃん。と俺は心の中で突っ込む。
    「最近は特に目立った動きはなくて平和だったんですが、この侵攻によって再び地獄が戻るかと思うと」
    「魔王のことはわかったがそれよりレオル帝国はどう動くと思う?」
    レナードは少し考え込んでから答える。
    「…恐らくこちらに侵攻するか、魔王に挑むかのどちらかでしょう」
    俺は少し考える。先程の話からして魔王に挑むのはない。ならばこちらへの侵攻か…。
    「俺的には軍を再編成してこちらに攻めてくると思う」
    「やはりうですか…」 
    「大丈夫だって。侵攻してきたら俺が守ってやるよ」
    他にいく宛もないし、しばらくいてもいいよな。
    「本当ですか!ありがとうございます!」
    こうして俺はベアード砦に住み着くことになった。

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