異世界日本の作り方

鈴木颯手

第参話 村

レナが住む地方は村々で争っているためすべての村は差異はあるが防衛設備が整っていた。
レナの住む村は村全体を石で作った防壁で覆っておりその上に迎撃設備がある作りであった。
そんな村は山賊に占領されている事もあり門に山賊二人がいるのみの状態であった。
その二人は火を焚いてそのまわりで愚痴をこぼしている。
「ったく、何でこんな事をしなくちゃいけないんだよ」
「喚くな。昨日は十分楽しんだだろうが」
山賊は二人一組六組を作り日替わりで見張りをしていた。
他のものは村長の家にいるか村の中で好き勝手やっているかであった。
「この村の連中は若い女がそろっていてよかったな」
「ああ、随分溜まっていたがすっげーでまくったしな」
「あの時は凄かったよな」
見張り二人は下品な話をして見張りを怠っていた。そのため後ろから近づく者に気が付かなかった。
「どうせこの辺は大した戦力なんてねぇから襲われることなんてねぇのにな」
「全くだ。俺も早く終わらせてやりテーよ。スベェはどいつで…」
男は最後まで言う事が出来なかった。突如口を抑えられ抵抗しようとした時には首をへし折られて絶命していた。
もう片方の男も別の人物によって即死していた。
「…これで大丈夫だ。今のうちに」
見張りを殺した暮仁と良太は近くに潜んでいるレナ、玲奈、健吾を呼ぶ。
火を消して見つかりづらくした暮仁は空いている門を気配を殺しつつ入る。中国軍から逃げるために時には殺し、時には気配を消して逃げた暮仁達からすればこのくらい簡単であった。
村の中は静まり返っておりところどころに建てられたかがり火によって近くだけ照らされていた。
暮仁達は事前に決めた様に二手に分かれて行動する。
レナと玲奈はレナの自宅まで行った。
レナは扉の前に立ってノックする。
「お父さん」
「レナ!?レナなのか!?」
扉が勢いよく開く。そこから一人の男が現れてレナを抱きしめた。
「良かった。無事でよかった」
「お父さん…」
レナの父親はレナを抱きしめて泣く。レナを思う気持ちがひしひしと伝わってくる。
「すいません。少し宜しいでしょうか?」
本当は間に入りたくなかったがこのままでは話が出来ないとレナの父に話しかける。
「君は?」
「えっとね、この人は玲奈さん。空腹で倒れていた私を助けてくれたの」
村では見かけない顔に思わず警戒するがレナの説明で恩人だと知り頭を下げる。
「どこのどなたかは存じませんが娘をすくっていただき感謝します」
「いえ、私たちもたまたま通りかかっただけですので」
「それでもありがとうございます」
レナの父親は全く頭を挙げようとはしない。このままでは話が進まないと困惑した時であった。
「村人ども!集まれ!」
野太い声が村中に響いた。
その声を聞いたレナは恐怖に顔を歪め父親は娘をかばうように抱きしめる。
「今のは?」
レナたちの様子に最悪の想定をしつつ聞く。レナの父親は悪魔の名前でも言うように答えた。
「この村を占領している山賊の、頭の声です」


















村を占領されている事もあり村人たちは逆らえず子供も含めて全員が村の広場に集められた。
村人は皆怯えた表情で山賊の頭に目を向ける。180を超える慎重に普通の男の太ももくらいはある腕。がっしりした胸厚は見ているだけでかなりの圧力を感じる。この頭の姿を見ればたった二十人の山賊が村を占領することが出来た事についても頷けるものがあった。
頭は村人を鋭い眼光で見て話す。
「安心しろ!貴様らにとって何も悪い話ではない!」
本人は普通に話しているかもしれないがその声は野生動物の方向よりも大きく聞く者を恐怖させる威力があった。
「我々は明日にはこの村を出る事にした!二度とここには近づかねえ!」
頭の言葉に村人は安堵の息を吐くが次の瞬間には絶望のどん底に叩き落された。
「よって村の若い女は全て貰っていく!例えガキだろうが連れて行く!」
「そ、そんな!?」
「そんな事をされたら村が滅びてしまう!」
「リンを渡さない!」
頭の一方的な内容に村人は批判するが今の状況では悪手でしかなかった。
「ほう、俺に逆らうか!よし!ならば全員殺して女は貰っていくしかねぇな!」
頭のその言葉に山賊たちは奇声を上げて村人に切りかかる。前方にいた村人は何も出来ずに殺される。その状況に村人は悲鳴を上げて逃げ回る。村のまとめ役だった村長がいなくなった今村人を統率するものはいない。皆好き勝手に逃げ回るだけだ。
「ほらほら!ちゃんとは知らないと追い付かれちまうぜ!?」
頭はそう言って近くにいた村人を自身の持つ巨剣で叩き潰すように切り殺す。
「レナ!急いで逃げるんだ!」
何とか広場を出ようとレナの父親はレナに言う。このままでは山賊に切り殺されてしまう可能性があった。
「で、でも…」
「レナ!早く!」
「逃がすと思うか?」
気付けばレナの父親の後ろには山賊が立っていた。レナの父親は恐怖に顔を歪めつつもレナを渡すまいと抱きしめる。
「若い女は皆捕まえさせてもらうぜ」
「お、お父さん!」
山賊は剣を振り上げレナの父親に振り下ろそうとした時、





































「させると思うか?」
山賊が吹き飛んだ。

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