異世界転生~神に気に入られた彼はミリタリーで異世界に日の丸を掲げる~
第四十五話
Ryouta Side
俺は落ち着かない心と体で周囲をせわしなく動き回る。最初は政務を行おうとしたが気が散ってしまって出来なかった。だが、俺が感じているのは苛立ちではなく不安だ。
今は皇歴7年の年末。第一防衛線の構築が半分程完了しつつ漸くガルムンド帝国の国内にいた各国の使者が帰国を許されてきた時期。俺は遂に、遂に!この日を迎えたのだ!
そう!輝夜の出産日だ!
この日をどれほど待ち望んだ事か!この日の為に様々な妊婦用の道具や知識を得て、産婆さんや看護師を召喚して万全の状態を維持してきた。出産に適した器具と部屋を用意したが俺は産婆さんに追い出されてしまった。曰く、「男はこの場にいても意味がないので出ていてください」との事だ。
確かに、こういう時に男が出来る事は無い。傍にいてやる事も出来るかもしれないがそれだって妊婦の体調を見ないといけない。こういう時に何もできない、ただ待っている事しか出来ない状況というのは本当に辛い。
「閣下、少し落ち着かれては……」
「それが出来ると本気で思ってる?」
「……すいません。ちょっと難しいですよね」
なだめようとする、俺の傍にいた郷田政成に俺はそう言った。流石に彼も無理だと思った様で苦笑いを浮かべている。
全く、俺を落ち着かせようとしているのかもしれないが少しは考えて物事を言って欲しいな。流石の俺だって傷つく事はあるんだし。というか、このまま輝夜が死んじゃったりしないよな?最初はあちらの一目惚れだったかもしれないが夜を共にし、子供を作ったんだ。責任は取るつもりだし何より輝夜にはこの世界に来れた事、特典を貰えたことに感謝しているんだ。気づけば俺も惚れていたんだし輝夜を失いたくはない。あれ? そもそも神である輝夜が死ぬなんて事はあるのか? でもこうして妊娠しているんだしもしかしたら……」
「……閣下、途中から声が駄々洩れですよ」
「え!? マジか!」
どうやら、途中から声が漏れていたようだ。少し、落ち着かないといけないな。俺は深呼吸をするとソファに深々と座る。しかし、すぐに落ち着かなくなり貧乏揺すりや視線が周囲を向いて行ってしまう。
それから、約一時間後
―おぎゃぁっ! おぎゃぁっ!
―産まれましたよ、元気な男の子ですよ
「っ!」
「あ、閣下!」
俺は子供の泣き声と産婆さんの言葉に無意識のうちに立ち上がり輝夜の下に向かっていた。そして、部屋の扉を思いっきり開けて部屋に入る。部屋には汗をかき、肩で息をする輝夜の姿と生まれたばかりの赤子、産婆さんと看護師の姿があった。俺は真っ先に輝夜の下に駆け寄る。畳の上に敷かれた布団に横になった輝夜の顔を覗き込む。
「輝夜! 大丈夫か!?」
「戯け、お主は、慌て過ぎじゃよ……」
「輝夜……、良かった。本当に良かった……!」
俺は輝夜の手を握り締めた。自然と涙が出てくる。そんな俺に輝夜は苦笑いを浮かべていた。
「鹿島さん、少しだけですが赤ちゃんを抱いてみますか?」
「いいのか?」
「カンガルーケアの一環ですよ。輝夜さんは少し難しそうですしね」
「あ、ああ……」
俺は産婆さんから子供を受け取る。子供は暖かくとてもか弱く感じた。だが、それ以上に愛おしさがあふれ出てくる。俺が指を手に近づけるとキュッと握って来る。ああ、保健体育の授業で知ってはいたけど実際にこうしてその場面を経験する事になるなんてな。
「輝夜、俺達の子供。凄く可愛いよぉ……」
「何をいまさら言っておるんじゃ。お主との子じゃ。可愛いに決まっておろう?」
輝夜は未だ体力が戻らないのか布団に横になったままそう言ってくる。俺は未だ泣く子供を微笑みながら眺める。そして、俺は決めていた名を言った。
「俺たちの子供の名は春樹だ。本当は冬樹にしようかとも思ったけど春のような温かい人になってくれ」
「一生懸命考えた結果があったのぅ」
「ああ、本当だな!」
俺は子供をと輝夜を交互に見ながら皇歴7年の末に生まれた我が子、春樹の誕生を心から祝うのだった。
??? Side
どうやらこの国は面白いくらいに張りぼてのようだな。北部には帝都以外の都市はなくそこに行ってみても帝都とは思えない程簡素だ。精々地方都市と言った規模だった。
そんな日本帝国だが軍事に関してはとてもしっかりしている。急ピッチで軍事関連を整えてそれ以外は少しづつ整えていると言った印象が強い。
そんな帝都の一角、というよりも郊外に設けられた軍学校の入り口の受付にて私はいる。理由は単純でこの軍学校に入学するためだ。この軍学校は日本帝国の国民ならだれでも入れるようで中身がスカスカの日本帝国の中で唯一しっかりとした整備がされている場所だ。情報収集には打ってつけだ。
「お待たせいたしました。軍学校への入学を希望している方ですね?」
「ええ、可能でしょうか?」
「何か身分を確認できる物はありますか?」
「紹介状ならあります」
そう言って私が取り出したのは協力者に作ってもらった紹介状だ。とある都市の有力者の名前や私に関する身分などが書かれている。因みに私に関しては「某都市の有力者の私生児」となっている。日本帝国の調査能力を確認して、バレる事は無いと判断してこのような設定となった。
私が取り出した紹介状を受付の人はじっくりと眺めている。内心冷や冷やしながら様子を伺っていると、受付の人は笑みを浮かべた。
「……確認しました。では支給品をお渡ししますので奥の部屋へどうぞ」
「分かりました」
どうやら無事に通れたようだな。
私は受付の人の案内を受けながらそう考える。これから行うべきこと、調べるべき事はたくさんある。我が国の為、偉大なる太陽神の為に、貴様等の真の姿を見せてもらうぞ。
俺は落ち着かない心と体で周囲をせわしなく動き回る。最初は政務を行おうとしたが気が散ってしまって出来なかった。だが、俺が感じているのは苛立ちではなく不安だ。
今は皇歴7年の年末。第一防衛線の構築が半分程完了しつつ漸くガルムンド帝国の国内にいた各国の使者が帰国を許されてきた時期。俺は遂に、遂に!この日を迎えたのだ!
そう!輝夜の出産日だ!
この日をどれほど待ち望んだ事か!この日の為に様々な妊婦用の道具や知識を得て、産婆さんや看護師を召喚して万全の状態を維持してきた。出産に適した器具と部屋を用意したが俺は産婆さんに追い出されてしまった。曰く、「男はこの場にいても意味がないので出ていてください」との事だ。
確かに、こういう時に男が出来る事は無い。傍にいてやる事も出来るかもしれないがそれだって妊婦の体調を見ないといけない。こういう時に何もできない、ただ待っている事しか出来ない状況というのは本当に辛い。
「閣下、少し落ち着かれては……」
「それが出来ると本気で思ってる?」
「……すいません。ちょっと難しいですよね」
なだめようとする、俺の傍にいた郷田政成に俺はそう言った。流石に彼も無理だと思った様で苦笑いを浮かべている。
全く、俺を落ち着かせようとしているのかもしれないが少しは考えて物事を言って欲しいな。流石の俺だって傷つく事はあるんだし。というか、このまま輝夜が死んじゃったりしないよな?最初はあちらの一目惚れだったかもしれないが夜を共にし、子供を作ったんだ。責任は取るつもりだし何より輝夜にはこの世界に来れた事、特典を貰えたことに感謝しているんだ。気づけば俺も惚れていたんだし輝夜を失いたくはない。あれ? そもそも神である輝夜が死ぬなんて事はあるのか? でもこうして妊娠しているんだしもしかしたら……」
「……閣下、途中から声が駄々洩れですよ」
「え!? マジか!」
どうやら、途中から声が漏れていたようだ。少し、落ち着かないといけないな。俺は深呼吸をするとソファに深々と座る。しかし、すぐに落ち着かなくなり貧乏揺すりや視線が周囲を向いて行ってしまう。
それから、約一時間後
―おぎゃぁっ! おぎゃぁっ!
―産まれましたよ、元気な男の子ですよ
「っ!」
「あ、閣下!」
俺は子供の泣き声と産婆さんの言葉に無意識のうちに立ち上がり輝夜の下に向かっていた。そして、部屋の扉を思いっきり開けて部屋に入る。部屋には汗をかき、肩で息をする輝夜の姿と生まれたばかりの赤子、産婆さんと看護師の姿があった。俺は真っ先に輝夜の下に駆け寄る。畳の上に敷かれた布団に横になった輝夜の顔を覗き込む。
「輝夜! 大丈夫か!?」
「戯け、お主は、慌て過ぎじゃよ……」
「輝夜……、良かった。本当に良かった……!」
俺は輝夜の手を握り締めた。自然と涙が出てくる。そんな俺に輝夜は苦笑いを浮かべていた。
「鹿島さん、少しだけですが赤ちゃんを抱いてみますか?」
「いいのか?」
「カンガルーケアの一環ですよ。輝夜さんは少し難しそうですしね」
「あ、ああ……」
俺は産婆さんから子供を受け取る。子供は暖かくとてもか弱く感じた。だが、それ以上に愛おしさがあふれ出てくる。俺が指を手に近づけるとキュッと握って来る。ああ、保健体育の授業で知ってはいたけど実際にこうしてその場面を経験する事になるなんてな。
「輝夜、俺達の子供。凄く可愛いよぉ……」
「何をいまさら言っておるんじゃ。お主との子じゃ。可愛いに決まっておろう?」
輝夜は未だ体力が戻らないのか布団に横になったままそう言ってくる。俺は未だ泣く子供を微笑みながら眺める。そして、俺は決めていた名を言った。
「俺たちの子供の名は春樹だ。本当は冬樹にしようかとも思ったけど春のような温かい人になってくれ」
「一生懸命考えた結果があったのぅ」
「ああ、本当だな!」
俺は子供をと輝夜を交互に見ながら皇歴7年の末に生まれた我が子、春樹の誕生を心から祝うのだった。
??? Side
どうやらこの国は面白いくらいに張りぼてのようだな。北部には帝都以外の都市はなくそこに行ってみても帝都とは思えない程簡素だ。精々地方都市と言った規模だった。
そんな日本帝国だが軍事に関してはとてもしっかりしている。急ピッチで軍事関連を整えてそれ以外は少しづつ整えていると言った印象が強い。
そんな帝都の一角、というよりも郊外に設けられた軍学校の入り口の受付にて私はいる。理由は単純でこの軍学校に入学するためだ。この軍学校は日本帝国の国民ならだれでも入れるようで中身がスカスカの日本帝国の中で唯一しっかりとした整備がされている場所だ。情報収集には打ってつけだ。
「お待たせいたしました。軍学校への入学を希望している方ですね?」
「ええ、可能でしょうか?」
「何か身分を確認できる物はありますか?」
「紹介状ならあります」
そう言って私が取り出したのは協力者に作ってもらった紹介状だ。とある都市の有力者の名前や私に関する身分などが書かれている。因みに私に関しては「某都市の有力者の私生児」となっている。日本帝国の調査能力を確認して、バレる事は無いと判断してこのような設定となった。
私が取り出した紹介状を受付の人はじっくりと眺めている。内心冷や冷やしながら様子を伺っていると、受付の人は笑みを浮かべた。
「……確認しました。では支給品をお渡ししますので奥の部屋へどうぞ」
「分かりました」
どうやら無事に通れたようだな。
私は受付の人の案内を受けながらそう考える。これから行うべきこと、調べるべき事はたくさんある。我が国の為、偉大なる太陽神の為に、貴様等の真の姿を見せてもらうぞ。
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