異世界転生~神に気に入られた彼はミリタリーで異世界に日の丸を掲げる~
第四十話 滅亡
Taruto Side
もう、パララルカ王国は終わりだね。僕は総督府の一室に設けられた自室の窓から外の様子を眺める。総督府のある王都は頑丈な城壁で囲まれた都市の中にあるけどどうやら頑丈だと思っていたけど実際は違ったみたいだ。何しろ、城門の付近が吹き飛んでいる。
僕たちをアルバ島から追い出した国、確か日本帝国だったかな?その軍勢が南部のウモーを陥落させた二日後、この王都に到着した。そして、その翌日に日本帝国軍の攻撃が始まった。この王都の城壁にはバリスタや投石機が配置されていたけど何が起きたのか分からないけど次々と破壊されていったよ。
その後、巨大な爆発音が何回も響き城門は破壊された……、らしい。僕の部屋からでは何が起きているのか分からないからね。
「殿下! 急いで王都から逃げましょう!」
「南門は破壊されましたが北門と西門は無事です! そこから脱出しましょう!」
僕のお世話をしてくれている侍女たちがそう言っているけど僕は逃げるつもりはなかった。今更、僕に何か出来るとは思えないからね。アルバ島から逃れてここまでやってきたけど僕には実権はなくて宰相が好き勝手に統治を行うのを見ている事しか出来なかった。こんな事なら兄上の代わりに死んでいればとも思ってしまう。
第二王子メンキは大兄上のフェルデナントと同じくらい優秀だった。僕より四つ年上の21歳だけど多分すぐにでも国王になってもやっていける位の実力はあった。だけど、アルバ島の王都に日本帝国が攻撃してきた時に死んでしまった。しかも目の前で。
対する僕はあまり能力が高いとは思っていない。17歳と若造という事もあるけどね。だけどもし十歳歳をとっていてもこの状況を打開できる事は出来なかったと思う。そんな僕だからね、最後くらいは王族として潔くしていたい。
「悪いけど、僕は残るよ。きっと父上もあのままなら逃げる事は出来ないだろうし……。僕は王族としての務めを果たそうと思っている」
「殿下……」
「こんな事しか今の僕にはできないからね。でも、君たちは逃げるといいよ。僕に付き合う必要はないから」
「いえ! 殿下が残るのであれば私は残ります!」
「私もです! 幼い頃より殿下の傍で仕えていた者として最後までご一緒させていただきます」
「二人とも……。ありがとう」
ああ、本当に僕は周りに恵まれていたんだな。厳しくも優しく、愛情をくれた両親。王太子としての役目を全うしながらも僕を気遣ってくれた大兄上。何時も僕の傍にいて常に僕の目標となっていた兄上。そして、そんな僕たちを優しく見守り、世話をしてくれた侍女たち。こういう時になって初めて自覚出来るんだね。もっと早く知りたかったな……。
そうやって感慨深い思いに浸っていると悲鳴や雄叫びが近くまで聞こえてきた。そろそろ敵兵が総督府に雪崩れ込んでくるかもしれないな。
「……二人とも、降伏するけどもし僕は殺されても彼らに従ってね」
「分かりました」
「勿論です」
「……それじゃ、行こうか」
僕はそう言うと窓からちらりと見えた敵兵に投降するべく部屋から外に出た。
Melhem Side
おのれぇ……!なぜこのような事になっているのだ!ワシは宰相だぞ!?パララルカ王国の宰相だぞ!陛下より全権委任状を譲り受けこの国を反映させる偉大な人物となる者だぞ!
「宰相! 急いでください!」
「うるさい! そのくらい分かっている! 指図をするな!」
ワシは険しい表情で言ってくる騎士にそう怒鳴った。全く、これだから無能は嫌いなんだ。ワシに対する言葉遣いがなっておらん!
しかし、日本帝国と名乗る敵はなんと野蛮な国なんだ。我らのアルバ島統一事業を潰すだけに飽き足らずに我らをアルバ島から追い出し、このような辺境の地にまで攻めてくるとは……!だが、ワシの威光を以て必ずや貴様等を滅ぼしてくれる!その時は男は奴隷に、女は……美人ならワシの下で泣かせてやろうぞ。ブスなら騎士たちにくれてやるわ!
「っ! 敵だ!」
「パララルカ王国の騎士だ! 撃てぇ!」
ぐっ!まさかここまで追いかけてこようとは。もうすぐで西門なのにここで死んでたまるか!騎士たちに迎撃させワシは逃げないと……。
「! 一人逃げるぞ! 足を撃て!」
「ぶはははっ!! そんな棒で何が……!」
日本帝国の兵士が棒をこちらに向けてきたがそれで一体何が出来るのやらと思っていると急にワシの足に激痛が走り思わず倒れてしまう。足を見てみれば何やら穴が開き血が噴き出している。
まさか、あの棒か?あの棒でこれが起きたのか?あり得ない、あり得ないぞ!
……ああ、思い出した。あれはガルムンド帝国が使っている”銃”と言う武器ではないか。弓の下位互換と言われていたあれだがガルムンド帝国はあれを研究する事で世界最強の国家へとなりあがった。まさか日本帝国も持っているとは!
「大人しくしろ!」
「ふざけるな! ワシを誰だと思っている!? パララルカ王国の宰相だぞ!」
「! それなら好都合だ! 戦犯として裁けるからな!」
そう言うと兵士はワシの体を拘束していく。必死にもがくが全然緩まない。くそ!何故だ!なぜこんな事に……!
「おのれぇっ! 絶対に許さんぞ!」
「こら! 大人しくしろ!」
必死に抵抗するワシだが何も出来ずに連れて行かれる事となった。何故だ、何故こんな事に……。
もう、パララルカ王国は終わりだね。僕は総督府の一室に設けられた自室の窓から外の様子を眺める。総督府のある王都は頑丈な城壁で囲まれた都市の中にあるけどどうやら頑丈だと思っていたけど実際は違ったみたいだ。何しろ、城門の付近が吹き飛んでいる。
僕たちをアルバ島から追い出した国、確か日本帝国だったかな?その軍勢が南部のウモーを陥落させた二日後、この王都に到着した。そして、その翌日に日本帝国軍の攻撃が始まった。この王都の城壁にはバリスタや投石機が配置されていたけど何が起きたのか分からないけど次々と破壊されていったよ。
その後、巨大な爆発音が何回も響き城門は破壊された……、らしい。僕の部屋からでは何が起きているのか分からないからね。
「殿下! 急いで王都から逃げましょう!」
「南門は破壊されましたが北門と西門は無事です! そこから脱出しましょう!」
僕のお世話をしてくれている侍女たちがそう言っているけど僕は逃げるつもりはなかった。今更、僕に何か出来るとは思えないからね。アルバ島から逃れてここまでやってきたけど僕には実権はなくて宰相が好き勝手に統治を行うのを見ている事しか出来なかった。こんな事なら兄上の代わりに死んでいればとも思ってしまう。
第二王子メンキは大兄上のフェルデナントと同じくらい優秀だった。僕より四つ年上の21歳だけど多分すぐにでも国王になってもやっていける位の実力はあった。だけど、アルバ島の王都に日本帝国が攻撃してきた時に死んでしまった。しかも目の前で。
対する僕はあまり能力が高いとは思っていない。17歳と若造という事もあるけどね。だけどもし十歳歳をとっていてもこの状況を打開できる事は出来なかったと思う。そんな僕だからね、最後くらいは王族として潔くしていたい。
「悪いけど、僕は残るよ。きっと父上もあのままなら逃げる事は出来ないだろうし……。僕は王族としての務めを果たそうと思っている」
「殿下……」
「こんな事しか今の僕にはできないからね。でも、君たちは逃げるといいよ。僕に付き合う必要はないから」
「いえ! 殿下が残るのであれば私は残ります!」
「私もです! 幼い頃より殿下の傍で仕えていた者として最後までご一緒させていただきます」
「二人とも……。ありがとう」
ああ、本当に僕は周りに恵まれていたんだな。厳しくも優しく、愛情をくれた両親。王太子としての役目を全うしながらも僕を気遣ってくれた大兄上。何時も僕の傍にいて常に僕の目標となっていた兄上。そして、そんな僕たちを優しく見守り、世話をしてくれた侍女たち。こういう時になって初めて自覚出来るんだね。もっと早く知りたかったな……。
そうやって感慨深い思いに浸っていると悲鳴や雄叫びが近くまで聞こえてきた。そろそろ敵兵が総督府に雪崩れ込んでくるかもしれないな。
「……二人とも、降伏するけどもし僕は殺されても彼らに従ってね」
「分かりました」
「勿論です」
「……それじゃ、行こうか」
僕はそう言うと窓からちらりと見えた敵兵に投降するべく部屋から外に出た。
Melhem Side
おのれぇ……!なぜこのような事になっているのだ!ワシは宰相だぞ!?パララルカ王国の宰相だぞ!陛下より全権委任状を譲り受けこの国を反映させる偉大な人物となる者だぞ!
「宰相! 急いでください!」
「うるさい! そのくらい分かっている! 指図をするな!」
ワシは険しい表情で言ってくる騎士にそう怒鳴った。全く、これだから無能は嫌いなんだ。ワシに対する言葉遣いがなっておらん!
しかし、日本帝国と名乗る敵はなんと野蛮な国なんだ。我らのアルバ島統一事業を潰すだけに飽き足らずに我らをアルバ島から追い出し、このような辺境の地にまで攻めてくるとは……!だが、ワシの威光を以て必ずや貴様等を滅ぼしてくれる!その時は男は奴隷に、女は……美人ならワシの下で泣かせてやろうぞ。ブスなら騎士たちにくれてやるわ!
「っ! 敵だ!」
「パララルカ王国の騎士だ! 撃てぇ!」
ぐっ!まさかここまで追いかけてこようとは。もうすぐで西門なのにここで死んでたまるか!騎士たちに迎撃させワシは逃げないと……。
「! 一人逃げるぞ! 足を撃て!」
「ぶはははっ!! そんな棒で何が……!」
日本帝国の兵士が棒をこちらに向けてきたがそれで一体何が出来るのやらと思っていると急にワシの足に激痛が走り思わず倒れてしまう。足を見てみれば何やら穴が開き血が噴き出している。
まさか、あの棒か?あの棒でこれが起きたのか?あり得ない、あり得ないぞ!
……ああ、思い出した。あれはガルムンド帝国が使っている”銃”と言う武器ではないか。弓の下位互換と言われていたあれだがガルムンド帝国はあれを研究する事で世界最強の国家へとなりあがった。まさか日本帝国も持っているとは!
「大人しくしろ!」
「ふざけるな! ワシを誰だと思っている!? パララルカ王国の宰相だぞ!」
「! それなら好都合だ! 戦犯として裁けるからな!」
そう言うと兵士はワシの体を拘束していく。必死にもがくが全然緩まない。くそ!何故だ!なぜこんな事に……!
「おのれぇっ! 絶対に許さんぞ!」
「こら! 大人しくしろ!」
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