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異世界転生~神に気に入られた彼はミリタリーで異世界に日の丸を掲げる~

鈴木颯手

第三十五話 アルバ島沖海戦

No Side
 アルバ島の南西に位置する海にて総勢三十を超える大船団がアルバ島に向かっていた。船団は全てパララルカ王国の国旗が掲げられておりどこの国で、何の目的か情勢に詳しい物なら一発で分かるだろう。
 彼らパララルカ王国は大陸領に逃げた後、今後の方針を巡り宰相派と総督派で別れていたが未だ放心状態の国王より全権委任状を受けた宰相が最終的にこの争いに終止符をうった。しかし、それは新たな騒乱の始まりでもあり宰相は全権委任状を使い船の調達を開始した。時には国内で、時には国外で。ありとあらゆる方法で船を集めた宰相は三十隻の船団に3000以上の兵士を乗せアルバ島へと向かわせた。
 そんな大船団には宰相と争った総督も乗っていたが彼は副総督に降格し宰相の息の根がかかった男、リブーが新総督に就任した。

「……総督」
「何ですかな? ”副”総督殿?」

 態々”副”を強調していうあたりいい感情を持っていない事がうかがえた。しかし、そんな嫌味など屈しないとばかりに自身の懸念を話し始める。

「僅か3000で勝てるでしょうか? 敵の船はとても強大だと聞いていますが……」
「ああ、例の鉄の船ですか。あり得ませんよ。鉄の船が海に浮かぶわけがないでしょう? 混乱した市民たちによる狂言ですよ」
「ですがガルムンド帝国でも鉄の船があると聞きますが」
「”副”総督、ガルムンド帝国も我らを貶めるのに必死なのですよ。何しろ彼の国は我らに対して連戦連敗を喫しているのですから!」

 リブーは本気で言っており副総督は呆れた。彼はアルバ島が陥落するまで事実上大陸領のトップにいたのである。ガルムンド帝国の力は身をもって知っていた。

「(ガルムンド帝国に勝てたのは囮と奇襲といった搦め手のみを使い決して正面から戦わなかった事とアクラ将軍とその祖父であるドルガ殿が巧みに兵を指揮していたからだ。ガルムンド帝国とまともに戦えたわけではない)」

 現在、アクラは日本帝国の捕虜となりドルガに至っては行方不明であった。しかし、パララルカ王国側はアクラは死んだと思っていたしドルガも王都にいたためあの砲撃で死んだと思われていた。

「(日本帝国、直接戦った事はないがその強大さは分かっているつもりだ。少なくともこの船団では相手にならないだろう。運良く上陸できてもそこからどう戦う? 未だパララルカ王国を支持してくれる者はいるかもしれないが信用できるかは分からない。補給の問題もある。敵が噂通りに強ければ海上の補給路は潰される。……だが、今更過ぎるな。宰相が全権委任状を持って来る前に決着をつけるべきだったのだろう)」

 副総督がそう思った時、遂にアルバ島の陸地が見えてきた。日本帝国に悟られないように沿岸部を通り、ガルムンド帝国領に入る寸前でアルバ島へと向かう航路を取った為予定以上の日数が経過していた。
 そこでリブー新総督は喜々として話し出す。内容は今後の方針だ。

1.アルバ島に上陸し島の南部を一気呵成に奪還する。
2.奪還した事で我らを支持する国民たちを動員して十万を揃える。
3.その軍勢を持って北上、敵を倒す。
4.敵の王を殺し見せしめに略奪する。ついでにシードラ王国へも侵攻する。

 自信満々にリブーは言うがその言葉を聞いて兵士たちは一気に不安になる。どう考えても非現実的、戦術とも戦略とも言えないおざなりな指示。そして、やらなくていいはずのシードラ王国への侵攻。

「この男についていったら俺たちは死ぬ」

 それが兵たちの共通認識となった。そこで副総督は上陸時に敵の襲撃と思わせて殺す事も考え始めた時だった。突如爆発音が遠くから聞こえて来たかと思うと船団の周囲から水柱が走った。しかも時には船が爆発する事もあった。その光景に副総督は叫ぶ。

「敵の攻撃だ! 備えろ!」

 慌てて兵士たちが配置に付くが敵は何処からともなく攻撃を行ってきていた。副総督は敵船の攻撃と思い周囲を見回すが自軍の船以外には見当たらなかった。そこで漸く音の方角が島から来ていると理解した。

「まさか! 敵はこの距離から攻撃できるのか!?」

 更に悲劇は続く。ブゥンという音と共に十数機の戦闘機が襲来したのである。更に船団の後方より副総督が恐れていた鉄の船、戦艦大和を旗艦とする聯合艦隊が襲来した。空母を置いてきた聯合艦隊は戦艦1、巡洋艦1、駆逐艦2の計4隻で砲撃を開始した。
 四方八方から降り注ぐ砲弾に上空から放たれる機銃に次々と船は沈んでいく。副総督も傾き始めた船の上で苦笑いを浮かべる。

「は、はは。これが日本帝国か。俺達じゃどうあっても抗いようがないじゃないか」
「副総督! そんな事を言っている暇があるなら早く打開策を……!」
「うるさい! 元はと言えば貴様等のせいだろうが!」

 焦った様子のリブーの声に切れた副総督は剣を抜くとそのまま腹部に差し背中から貫通させた。唐突の事に驚き声が出ないリブーを蹴り飛ばすと副総督は戸惑う事もなく海へと落下していった。副総督の着水と共に戦艦大和の46センチ主砲が深々と突き刺さり総督及び副総督が乗っていた船は爆沈していった。

 アルバ島沖で行われたこの海戦でパララルカ王国は全ての船団を失い更に2000人以上の死者を出す事となった。生き残りは副総督以下全員が捕縛されアクラが収監されている牢獄に入れられる事が決定するのだった。







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