異世界転生~神に気に入られた彼はミリタリーで異世界に日の丸を掲げる~
第二十四話 王子
??? Side
崩壊する王都から逃げ延びた俺は父とは離れ妹と侍女の二人を連れて船に乗っていた。王都に一番近い東部の町から出ていた聖オクシデント法王国に向かう定期便に身分を隠して乗り込んだ。定期便というよりはアルバ島から逃れる者達を乗せた船だがな。とは言えこれで一息つけそうだ。敵、日本帝国がどんな国かは知らないがさすがに民間人を乗せた船までは襲うまい。まぁ、襲われた時には逃げられる準備を十分にしておくがな。
「リリー、カルナ。二人とももう大丈夫だ」
「……ぷはぁ、死ぬかと思った」
「大丈夫ですか? 王女様」
俺の言葉を聞き同行していた一人、この国の唯一の王女のリリーが顔に被っていた皮膚を取る。その結果、浅黒い肌からシミ一つない白い肌となった。侍女のカルナも同じようなもので王族に仕える侍女にふさわしい容姿が現れた。
「二人とも、俺達はこのまま聖オクシデント法王国に向かい身分を隠しながら潜伏する」
「えー? お父様と一緒に大陸領に行かないの?」
「行く訳ねぇだろ、馬鹿。今の状況を考えれば分かるだろうが」
おっと、ついつい本音が出てしまった。余裕がないと素の口調が出てしまうのは治さないと、いや王族じゃなくなるのだから直す必要はないのか?
「日本帝国は確実に俺達を潰しに来た。ならば大陸領にも攻めてくるだろう。王都を破壊したあの船をみただろ? あんなのがある限り大陸領だろうと危険には変わりない」
「それならこっちも危ないんじゃない?」
「リリー様、流石にそれをやるのは国家とは呼べません」
「カルナの言う通りだ。奴らは帝国を名乗っている以上国としての理性は持っていると判断するべきだ。出なけりゃ俺たちよりも先にシードラ王国が滅亡している」
聖オクシデント法王国は最近じゃガルムンド帝国相手に連戦連敗らしいが直ぐに滅びる訳ではない。もし滅びそうになった時は更に西へと逃げればいい。どちらにしろ、パララルカ王国の再建は不可能だろう。
「リリー、逃げる時にも言ったが俺達はパララルカ王国から離れた以上王族という地位は失ったに等しい。これからは自分たちで出来る事はしないといけない。その覚悟はあるな?」
「勿論だよ。フー兄さまについていくって決めたんだもん。そのくらいは覚悟しているよ!」
「私も同じ気持ちにございます。フェルデナント殿下の侍女として私は殿下についていく所存です」
「……二人とも、ありがとう」
第二王子のジスターや第三王子のタルトには悪いがパララルカ王国の王族の血筋を残すためにも、囮となってもらうからな。それがパララルカ王国の王太子にして第一王子であるフェルデナントの役目だと思っているからな。
Taruto Side
父上と一緒に大陸領に逃げて来たけど失敗だったかな?
「だから! 我々は直ぐにでもアルバ島に攻め入り国土を奪還するべきなのだ!」
「ふざけるな! 貴様等のような敗残兵がこちらに逃げてきている以上そんな事をすれば余計な混乱を起こすだけだ! 何故それが分からないのだ!」
今後の事を話し合うために行われている会議にて二人の男が言い争いをずっと続けている。それこそ、会議が始まってからずっとと思うほどに。
片方、宰相は直ぐに大陸領の兵を連れてアルバ島に向かうべきと話しているがそれはできないと言っているのがこの大陸領のトップの地位にいるブヘン総督だ。総督はこの大陸領の現状を分かりやすく説明しているにもかかわらず話を聞いていなかったと思えるほど同じ話を宰相は繰り返していた。
総督によるとこの大陸領には約100万の人口がいる。軍隊は約3万と言った所らしい。軍船は100~200、馬は1000頭ほど。剣などの近接武器は潤沢に、弓矢やバリスタなどの飛び道具はほどほどにしかないらしい。これでも大陸領の兵士に行き届けるには充分だが敗残兵がアルバ島から来ている以上そちらの兵士に渡す分は全くと言っていい程足りていないらしい。敗残兵とて武器を持ち、装備をしっかりとした状態で向かっているわけではない。大半が着の身着のままの状態だ。武器なんて持っていない者ばかりだ。
それにも関わらず、宰相は兵を連れて攻めようと意見している。流石に呆れを感じさせるけど宰相は保守的な上に軍事に関しては全くの無知だ。加えて自分に都合の良い様に受け取る癖があり先ほどの総督の説明も「自分が手柄を上げる事が気に入らない総督が難しい事を言ってやめさせようとしているに違いない。加えて、これだけの知識を持っているんだぞアピールをしたいのかもしれん」とでも思っているのだろうな。
はぁ、僕の言葉じゃ総督はともかく宰相は止まらないだろうな。唯一黙らせる事が出来そうな父上は未だに放心状態で使い物にならない。他の参加者は総督派と宰相派に分かれて言い争いをしている。この様子を見ていると今まではこんな非常事態に直面してこなかったからこそ上手く行っていたんだなと察してしまう。いずれにしろ、このままの状況が続くのならパララルカ王国は滅んでしまうだろうな。その場合、僕や父上はどうなってしまうのやら。
やれやれ、せめて宰相が都合よく解釈する癖がなければこんな不毛な争いをしないで済んでいるかもしれないな。
崩壊する王都から逃げ延びた俺は父とは離れ妹と侍女の二人を連れて船に乗っていた。王都に一番近い東部の町から出ていた聖オクシデント法王国に向かう定期便に身分を隠して乗り込んだ。定期便というよりはアルバ島から逃れる者達を乗せた船だがな。とは言えこれで一息つけそうだ。敵、日本帝国がどんな国かは知らないがさすがに民間人を乗せた船までは襲うまい。まぁ、襲われた時には逃げられる準備を十分にしておくがな。
「リリー、カルナ。二人とももう大丈夫だ」
「……ぷはぁ、死ぬかと思った」
「大丈夫ですか? 王女様」
俺の言葉を聞き同行していた一人、この国の唯一の王女のリリーが顔に被っていた皮膚を取る。その結果、浅黒い肌からシミ一つない白い肌となった。侍女のカルナも同じようなもので王族に仕える侍女にふさわしい容姿が現れた。
「二人とも、俺達はこのまま聖オクシデント法王国に向かい身分を隠しながら潜伏する」
「えー? お父様と一緒に大陸領に行かないの?」
「行く訳ねぇだろ、馬鹿。今の状況を考えれば分かるだろうが」
おっと、ついつい本音が出てしまった。余裕がないと素の口調が出てしまうのは治さないと、いや王族じゃなくなるのだから直す必要はないのか?
「日本帝国は確実に俺達を潰しに来た。ならば大陸領にも攻めてくるだろう。王都を破壊したあの船をみただろ? あんなのがある限り大陸領だろうと危険には変わりない」
「それならこっちも危ないんじゃない?」
「リリー様、流石にそれをやるのは国家とは呼べません」
「カルナの言う通りだ。奴らは帝国を名乗っている以上国としての理性は持っていると判断するべきだ。出なけりゃ俺たちよりも先にシードラ王国が滅亡している」
聖オクシデント法王国は最近じゃガルムンド帝国相手に連戦連敗らしいが直ぐに滅びる訳ではない。もし滅びそうになった時は更に西へと逃げればいい。どちらにしろ、パララルカ王国の再建は不可能だろう。
「リリー、逃げる時にも言ったが俺達はパララルカ王国から離れた以上王族という地位は失ったに等しい。これからは自分たちで出来る事はしないといけない。その覚悟はあるな?」
「勿論だよ。フー兄さまについていくって決めたんだもん。そのくらいは覚悟しているよ!」
「私も同じ気持ちにございます。フェルデナント殿下の侍女として私は殿下についていく所存です」
「……二人とも、ありがとう」
第二王子のジスターや第三王子のタルトには悪いがパララルカ王国の王族の血筋を残すためにも、囮となってもらうからな。それがパララルカ王国の王太子にして第一王子であるフェルデナントの役目だと思っているからな。
Taruto Side
父上と一緒に大陸領に逃げて来たけど失敗だったかな?
「だから! 我々は直ぐにでもアルバ島に攻め入り国土を奪還するべきなのだ!」
「ふざけるな! 貴様等のような敗残兵がこちらに逃げてきている以上そんな事をすれば余計な混乱を起こすだけだ! 何故それが分からないのだ!」
今後の事を話し合うために行われている会議にて二人の男が言い争いをずっと続けている。それこそ、会議が始まってからずっとと思うほどに。
片方、宰相は直ぐに大陸領の兵を連れてアルバ島に向かうべきと話しているがそれはできないと言っているのがこの大陸領のトップの地位にいるブヘン総督だ。総督はこの大陸領の現状を分かりやすく説明しているにもかかわらず話を聞いていなかったと思えるほど同じ話を宰相は繰り返していた。
総督によるとこの大陸領には約100万の人口がいる。軍隊は約3万と言った所らしい。軍船は100~200、馬は1000頭ほど。剣などの近接武器は潤沢に、弓矢やバリスタなどの飛び道具はほどほどにしかないらしい。これでも大陸領の兵士に行き届けるには充分だが敗残兵がアルバ島から来ている以上そちらの兵士に渡す分は全くと言っていい程足りていないらしい。敗残兵とて武器を持ち、装備をしっかりとした状態で向かっているわけではない。大半が着の身着のままの状態だ。武器なんて持っていない者ばかりだ。
それにも関わらず、宰相は兵を連れて攻めようと意見している。流石に呆れを感じさせるけど宰相は保守的な上に軍事に関しては全くの無知だ。加えて自分に都合の良い様に受け取る癖があり先ほどの総督の説明も「自分が手柄を上げる事が気に入らない総督が難しい事を言ってやめさせようとしているに違いない。加えて、これだけの知識を持っているんだぞアピールをしたいのかもしれん」とでも思っているのだろうな。
はぁ、僕の言葉じゃ総督はともかく宰相は止まらないだろうな。唯一黙らせる事が出来そうな父上は未だに放心状態で使い物にならない。他の参加者は総督派と宰相派に分かれて言い争いをしている。この様子を見ていると今まではこんな非常事態に直面してこなかったからこそ上手く行っていたんだなと察してしまう。いずれにしろ、このままの状況が続くのならパララルカ王国は滅んでしまうだろうな。その場合、僕や父上はどうなってしまうのやら。
やれやれ、せめて宰相が都合よく解釈する癖がなければこんな不毛な争いをしないで済んでいるかもしれないな。
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