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魔帝國戦記~ムーアシア大陸編~

鈴木颯手

28・マーシャル連邦侵略戦争~ウィテリック・エニウェトク間の戦い5~

崖の上に布陣した両軍であったが先に動いたのは三都市連合軍であった。彼らの目的はあくまでウィテリックの奪還である。今ではほぼ不可能となりつつあるがそれでも目の前の敵に時間をかけている場合ではなかった。
その為最初から全力で行きギルを多少なりとも驚愕させていた。しかし、直ぐに立て直すと自軍に指示を出して迎え撃つように指示を出す。やがてエニウェトク軍は先方のゴブリンと激突して剣や槍での応酬が始まる。
最初の内はステータス面では完全に上のゴブリンが押していたがやがてエニウェトク軍の数に押されていき陣形は崩れだしゴブリンの数が減ってきていた。
「…これは予想以上ですね」
ギルは本陣にまで迫った敵を殺しながらそう呟く。周りでは休んでいた切込み部隊が暴れているため比較的にギルの周辺は安全だがそれも長くは続くかどうか分からないくらい押されていた。
「ギル様、ここは危険です。下がってください」
ゴブリンキングがそう言うがギルは下がる事は無くむしろ前へと足を進めた。
「敵の大将が出てきたぞ!あいつを狙え!」
それによってギルはあっという間に敵兵に囲まれるがギルは他の魔物と違い主である山本拓哉が自ら作った最高傑作である。その為、
「な、なに…!?」
「う、嘘だろ…?」
「け、剣が折れた!」
敵兵が付きだした槍は逆に折れ振り下ろした剣は真っ二つに折れてしまったのである。
「…その程度か?姉貴や我が主はもっと強いぞ?」
「ひ、ひぃいぃぃぃぃぃぃっ!!!!」
思わず一人の兵士が逃げ出していきさらにそれを見た兵士もつられて逃げ出したためエニウェトク軍は混乱してしまうのであった。
「…全く。私が最初から出ていればよかった話か」
ギルはそう呆れて言うと腕を前に出すと呟く。
爆炎エクスプロージョン
瞬間ギルの目の前で大規模な爆発が起きエニウェトク軍やゴブリンを巻き込みながら炎の渦を引き起こした。この炎を見て高い位置を保っていたエニウェトク軍の士気は完全に崩壊。我先にと逃げ出し始めたのである。それを見逃すほどギルは甘くはなかった。
「…凍結フリーズ落雷サンダー竜巻トルネード
ギルは更に立て続けに三つの魔法を行使して戦場に大規模な厄災をまき散らしたのである。この厄災をエニウェトク軍だけではなくゴブリン達も恐怖したが同時にギルへの忠誠心を極限まで引き上げエニウェトク軍はゴブリンの総大将に恐怖した。その恐怖は同時に士気の破壊へと繋がりエニウェトク軍は少しでも離れようとバラバラに逃亡を開始したのである。
「くそ!落ち着け!勝手に逃げるな!上官の指示を聞くのだ!」
そんな中ヨーゼフが必死に兵の立て直しを図ろうとするが彼の指示に従うものは少なく他の者たちはパニックを起こして厄災の中心地から逃げていた。
「…ヨーゼフ」
「!ヨハネス…」
そこへエニウェトク太守にして三都市連合軍総大将のヨハネス・ヴェリンガーが姿を現した。
「状況は?」
「最悪、を通り越して手遅れさ。現在まともに指示を出せているのがここにいる百と少し。他はみんなパニックを起こして組織立った行動なんて出来やしない。かくいう僕も今すぐにでも逃げ出したい気持ちでいっぱいだよ。それに、いつの間にかクサイエ軍はいなくなっているしね」
ヨーゼフは冗談のように言うが本心は今言ったとおりでありその証拠にヨーゼフは青白い顔をしていた。
「…そうか。ヨーゼフ、お前は戦線を離脱して生き残った者の回収を行え」
「…ヨハネスはどうするんだい?」
ヨーゼフはこれからヨハネスが何を行うのか察しつつも聞く。まるで止めるように。
「決まっているだろう。大将首を取るだけだ」
「…いくら君でもそれは無理だよ今は逃げるべきだ」
「不可能だ。今全員が逃げれば敵は追撃してくるだろう。それでは余計な被害が出るばかりだ。これ以上の被害は避けたい」
「…分かった。でも気を付けてね」
ヨーゼフは歯を食いしばりながら苦渋の決断を出し総勢約百を率いて戦線を離脱していった。ヨハネスはそれを見送るとヨーゼフとは反対方向、魔法を撃ちだしているギルの元へと向かうのであった。



















その頃クサイエ軍一万は離れた場所から様子を窺っていた。彼らが目にする場所はギルの魔法で地獄絵図と化した戦場であった。
「…やはり敵に回したくない相手であるな」
クサイエ太守フリードリヒ・ヴァイセンブルグは確信した声でそう呟く。彼の隣には一人の男が立っていた。
彼は山本拓哉の親衛隊の一員でありクサイエと山本拓哉の連絡係を務めていた。
「…それで?魔帝どのは本当にクサイエの町に危害を加えないのだな?」
フリードリヒは確認するように親衛隊隊員に聞く。
「勿論です。魔帝陛下も貴殿がこちら側についてくれるならお喜びになるでしょう」
親衛隊隊員はそう堂々と答えた。
山本拓哉はアルビーナに内緒でカントンとクサイエに親衛隊隊員を送っていた。内容は降伏勧告であり一定数の人間を差し出すことで攻めるようなことはしないというものであった。カントンの太守はホーランド、タラワが落とされたことに加えエンダーバリも陥落したことから降伏していたがクサイエが降伏する前に連合軍の話があった。この連合軍にクサイエが入っていることを知った山本拓哉は密かにクサイエに近づき内通することで降伏するなら何もしないという趣旨を送っていた。その為クサイエ軍は戦いでもマジュロ軍を壊滅させていたがそれ以外ではほとんど行動を起こさず投石機による攻撃も散発的にしていた。
フリードリヒは少し考えた後に言う。
「…分かった。魔帝陛下・・に降伏する。その条件であるエニウェトクの陥落も行おう」
「それは素晴らしい。陛下もさぞお喜びになるでしょう」
フリードリヒの答えに親衛隊隊員はますます笑みを深めるのであった。

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