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魔帝國戦記~ムーアシア大陸編~

鈴木颯手

23・マーシャル連邦侵略戦争~布陣~

「現在我が軍はゴブリン軍五千。対する敵は三都市合わせて四万。まともにぶつかっては確実に負ける」
ウィテリック内でギルはゴブリンキング、ボブゴブリン達と作戦会議を行っていた。彼らが囲んでいるのはマーシャル連邦が所持していた地図にゴブリン達が実際に目で見て付け足した立体模型である。その立体模型にはウィテリックに先を向ける一つの駒が置いてありギルはそれを指さしながら説明している。
「報告によれば敵の兵の内一部だけ士気が低いところがあった。恐らく徴収された民間兵だと思われる。そいつらが足を引っ張り行軍はかなり遅くなっている。こちらが勝つには敵の指揮官を倒すかこういう士気の低いところを狙い陣形を崩させるくらいしかない。奇襲をしようにもウィテリック・エニウェトク間は平原が続いており身を隠せるような場所は森しかないがその森も街道から離れすぎており奇襲には向いていない。唯一高低差があるここも崖になっていて使えない。だが、ここは奇襲には使えないが陣を引くには使える」
ギルはそう言ってウィテリック寄りにある平原を指す。
「我々には籠城戦は出来ない。そもそもウィテリックは破壊の限りを尽くしているためベールナ方面ならともかく反対方向はボロボロだ。主の命令はウィテリックを死守すること。ならば敵を少しでも足止めする為にここに布陣する。何か意見はあるか?」
ギルはそう質問するがゴブリンキング達は答えない。少ししてからギルは言う。
「ならば急いでここへ布陣するぞ。今から行けば何とか間に合うだろうしな。いいな?」
ギルの言葉にゴブリンキング達は頷くのであった。

















三都市連合軍軍師となったヨーゼフは焦っていた。理由は連合軍の足の遅さである。エニウェトクを進軍してから既に三日近く経っていた。本来であれば既にウィテリックに到着していても可笑しくはなかったが未だ到着しておらず兵糧と時間を消費し続けていた。その理由は徴収した兵士にあった。
「なんでこんな所にいるんだよ…」
「聞いたか?三都市以外の都市は全て化け物に滅ぼされたらしいぞ。化け物は何十万もの大軍だとか」
「空を飛んで火を吐いて嵐を引き起こすと聞いたぞ」
「人間が大好物で滅びた都市の人間はみんな食べられちまったてよ」
「俺たちはそんなところに行くのか…」
「俺、まだ死にたくねえよ」
「俺もだ。早く家族連れて逃げたいよ…」
このような根も葉もない…とは言い切れない噂が広まりつつあった。この噂は徴収兵のみならず正規兵や純正規兵にも影響を与えておりそれがさらに足を遅くしていた。
「(彼らの言う事ももっともだ。敵がもし我々と同等、もしくはそれ以上だったら勝ち目は完全にない。最低でも四倍の兵力差がないと勝てるはずがない。それでも敵はそこまで増えていないと考え今を置いて勝機はないと考えての行動だったが…)」
ヨーゼフは不安を無理やり無視して士気が上がらない連合軍を見るのであったがここで連絡が入った。
「ヨーゼフ様!敵がこの先で布陣しております!」
「…敵の数は?」
「はっ!大よそ五千!」
その言葉にヨーゼフは安堵の息を吐く。恐れていたことが防がれたからである。ヨーゼフは早速行動を起こした。先ずは報告した兵の言葉を聞いた兵士たちに向かって叫んだ。
「連合軍の兵士たちよ!敵は愚かにも五千の兵で待ち構えているそうだ!敵は戦術のせの字も知らないらしい!対する我らは四万の軍勢!この時点で我らの勝ちは決まったようなものであるが更に総大将は英雄ハネス・ヴェリンガーである!我らに負ける要素などない!連合軍の兵士たちよ!敵に教えてやれ!我らの実力を!英雄の存在を!骨の髄まで刻み込んでやれ!」
「「「「「うおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっっ!!!!!」」」」」
ヨーゼフの言葉に先ほどまで沈み込んでいた兵士たちは士気を挙げ雄たけびを上げていた。しかし、それでも一部の兵士は不安を隠しきれていないようであったがヨーゼフに出来るのはここまでであった。
士気を上げた連合軍は進軍速度も上がり瞬く間に敵が布陣する平原へとたどり着いていた。
「…成程、敵は本当に戦術を知らないようだね。崖の上に本陣を敷いて先方を崖下に布陣させるように」
ヨーゼフは敵の配置位置を見てそう評すると驕ることもなく淡々と陣を敷いていく。いくら敵の数が少なくとも敵はマーシャル連邦のほとんどを滅ぼし残り三、四都市にまで追い込んでいる。決して油断してはいけない相手であった。
「ヨーゼフ様、陣が敷き終わりました」
暫くすると兵からの報告を受けヨーゼフは見ると手に持つ軍配を前方へと振り叫んだ。
「攻撃、開始!」
「「「「「うおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」」」」」
ヨーゼフの言葉を受け連合軍の兵士たちは雄たけびを上げて進軍した。ここにウィテリック・エニウェトク間の戦いが始まった瞬間であった。
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