魔帝國戦記~ムーアシア大陸編~

鈴木颯手

21・マーシャル連邦侵略戦争~マーシャル連邦の反撃~

「…この非常事態の中よく集まってくれた」
マーシャル連邦第二の都市エニウェトクにある地下施設で太守ハネス・ヴェリンガーはそのように集まった者たちに声をかけた。現在ここには三人の太守と六人の将軍、そして一人の軍師がいた。彼らは生き残ったマーシャル連邦の都市、エニウェトク、ラリック、クサイエの者であった。
「知っていると思うが我がマーシャル連邦は滅亡の危機に瀕している。一週間前ギルバート王国王都タラワが陥落した。それ以外にもここに集まった都市とギルバート王国国境にあるカントンとエンダーバリ以外の都市は落ちたと思われる。そのカントンとエンダーバリも唯一の道であるタラワが落ちたことによって状況を確認することも出来ていない」
「そうなるとカントンとエンダーバリは除外するしかありませんね。と言うことは残ったのはここに集まっている都市のみですか」
ハネスの言葉に相槌を打ったのはギルバート王国に属する都市クサイエの太守フリードリヒ・ヴァイセンブルグである。マーシャル連邦の都市の中でも唯一の二十代であり最年少であるがその観察力、洞察力は目を見張るものがあった。
「三都市合わせて総兵力一万。限界まで動員すれば三万は確実でしょうが…厳しいですな」
次に発言したのが残りの都市ラリックの将軍ルドガー・アーレントである。ラリック唯一の将軍であるが戦場ではプローア王国相手に果敢に立ち向かった猛将であった。今では七十以上の老体となってしまったが未だその闘気は健在であり老いを感じさせなかった。
「敵の総兵力は未だ知れていない。まともに戦ったやつがいないのが痛いな。戦った経験のあるものはこの中ではハネス殿の都市だけでしょうからな」
「こちらも遠方の敵に投石機をぶつけただけだ。大した事はしていないし数も千未満だったからな」
「ですが敵の死体の解剖をしていたと聞きましたよ?」
「それについては僕から説明するよ」
軍師ヨーゼフが口を開き説明する。
「結論から言ってかの死体から分かったのはほとんどない。人間ではないこと、人間とは比べ物にならないほど筋力があること、かなり精力が強いこと、この位かな」
「いえいえ、これだけでも十分な手柄ですよ」
軍師ヨーゼフの謙遜をフリードリヒがそう言う。
「兎に角敵はかなり強大の様だ。敵は奇襲を得意としていて壁を音も出さずに登りなので都市に籠るのは上策とは言えないね」
「ならば打って出るのか?それの方が危険であると思うが…」
「うん、分かっているよ。タラワが陥落していなかったら他にもやりようはあったと思うけどこうなってしまったらこちらは全てを失う覚悟で決戦に挑むしかないよ」
「…予想以上に悪いようだな」
ヨーゼフの言葉に太守たちは腕を組み悩む。現状では守ることすら難しい状態であるが出来る事なら守りつつ敵を退けたいというのが本音であったがそんなことは言っていられなった。
「…分かった。私は軍師殿の提案に乗ります」
「…しょうがないか」
「ならばすぐに準備をしないといけませんね」
覚悟を決めたルドガーは立ち上がるとヨーゼフに賛同すると答える。他の太守たちも賛同するように言う中地下施設の扉が勢いよく開き偵察兵が倒れるように入ってきた。
「はぁ、はぁ、…ぐっ!…ほ、…報告が…」
ずっと駆けてきたのか息も絶え絶えで話す偵察兵に兵士たちが水を持ってくる。偵察兵はその水を一気に飲むと落ち着いたのかはっきりと喋る。
「え、エンダーバリが陥落しました」
「…ほう、やはり異形の軍勢か?」
「恐らくそう思われます。残念ながら近づくことが出来なかったため大よそでしかありませんが」
「…分かった。ご苦労だった。休むと言い」
「はい、失礼します」
偵察兵は仲間に支えられて地下施設を後にした。偵察兵が去った後再び会議が再開される。
「敵の勢力範囲は着々と広がってきている。このまま行けば取り返しのつかないところまでくるだろう。いいかい、もう一度言うけど僕たちが行うのはあくまで敵がこれ以上僕たちの国を脅かさないようにすることだから。領地を取り戻すのは当分不可能に近いからね。それを理解してね」
「「「「おう」」」」
「それじゃあ、準備が出来次第ここに集まってね。それと悪いけど都市は放棄してね。全戦力を使う以上守るべきものは一か所にいた方がやりやすいからね」

















こうして山本拓哉に対抗するべくエニウェトク、ラリック、クサイエの三都市が連合軍を結成して準備を行う中山本拓哉は未だその動きには気づいておらず気付いた時には既に準備を完了し、四万と言う大軍勢でウィテリックへと出陣した後であった。
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