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魔帝國戦記~ムーアシア大陸編~

鈴木颯手

20・マーシャル連邦侵略戦争~ギルバート王国王都攻略~

「…もう一度説明をするわよ」
タラワの町の外で蟻蜘蛛達を率いるアルビーナは最終確認をしていた。蟻蜘蛛は女王の眷属召喚のみならず蟻蜘蛛同士の交尾によって爆発的にその数を増やしており一万近くまで増えていた。これは交尾をすると雌はその日のうちに孕み次の日には出産と言うゴブリンと似た方法で増えていたためである。また、ゴブリンとは違いずっと都市に籠っていたことと一度に十体以上産むためこれだけの数が揃ったのである。
また、蟻の性質なのか穴を掘ってそこで暮らす個体も出てきていた。アルビーナはタラワ攻略でこれを用いることとした。
「第一軍三千は私と一緒に壁を登って都市に入る。第二軍二千は地中から中に入って。入る時はいろいろなところから出るように成るべく固まらないように気を付けて。第三軍二千は四方にある扉の封鎖を行って。第四軍三千は敵の増援や脱走者が出ないよう見見張るように」
アルビーナの言葉に蟻蜘蛛達は頷く。それを見たアルビーナは満足そうに頷くと都市の方へと体を向けると静かに、しかしはっきりとした言葉でいう。
「前進」
そのアルビーナの言葉に四つの軍団はそれぞれの役割の行動に移る。第一軍は見つからないようにゆっくりと動きつつも都市に近づき第二軍は一匹が穴を掘り地中の中で枝分かれしながら都市に近づいていく。第三軍は五百ずつに別れ都市を大きく迂回する形で扉の前まで進んでいく。第四軍も約七百に別れて警戒を密にする。
かくしてそれぞれが自分の与えられた役割をこなしていきタラワ守備兵に気付かれることなく都市へと近づいて行った。
まず動いたのはアルビーナ率いる第一軍である。壁の元までアルビーナは蟻蜘蛛を置いて一気に壁を登り壁の上まで一気に登り切った。壁の上には運良く兵士はおらずアルビーナは蟻蜘蛛達に上ってくるように指示を出すとそのまま近くに兵士がいないか警戒する。暫くすると二人ほど男性の声が聞こえてくる。足音や声の大きさから察するにこちらへ向かってきているようであった。
「ふぁ、眠い…」
「おいおい、一応夜間の警戒なんだからもう少し緊張感持てよ」
「でもよ~、こんな内地に一体誰が攻めて来るって言うんだ?」
「首都では反乱もあったんだ。ここだって何時そうなるか分からないぞ。それにホーランドからの連絡が来なくなっているんだ。もしかしたら既にこの王都に敵が潜んでいるかもしれないぞ?」
「ははは、そりゃ面白いジョーkぐふ!?」
「あぎぃ!」
真剣な男に眠そうな男は答えることが出来ず倒れる。その首には蟻蜘蛛の爪が突き刺さっており真剣な男もろとも即死であった。
「…こっちにとっては冗談には聞こえないよ」
アルビーナは苦笑いしつつそう呟き扉の所にいると思われる第三軍の蟻蜘蛛に指示を出す。少しすると四方から騒ぎ声が聞こえてきた。恐らく蟻蜘蛛の扉封鎖が上手く行ったのであろう。そう感じたアルビーナは第一軍の蟻蜘蛛に指示を出す。
「よし!第一軍!派手に暴れるよ!行くよ!」
アルビーナはそう叫ぶと一気に壁の上から街へと飛び降りる。壁の高さは首都よりも低いがそれでもかなりの高さを持つがアルビーナには関係なかった。
半分ほどまで落ちると背中からアルビーナよりも大きい蝙蝠の羽が飛び出し一羽ばたきするとアルビーナの体は空中に静止し落下の衝撃から守ったのである。そんなアルビーナに続くように第一軍も飛び降りていくが体を蜘蛛の糸で縛り落下のダメージを受けないようにしていた。やがて第一軍は無事に街に入り破壊と拘束の嵐を振りまいていく。住民たちは抵抗する間もなく捕縛されるか殺されていく。中には包丁や木の棒、自前の槍を持って抵抗するものもいたが住民程度の攻撃で蟻蜘蛛が倒れるはずがなく呆気なく殺されていく。
「…全軍停止」
しかし、順調に街の中枢へ近づいていた時にそれは起きた。アルビーナは直感で危険を察知し第一軍に停止を命じる瞬間目の前に燃える樽が転がってきた。タラワの町は町の中心が急な上り坂となっているため一度転がりだした樽は一気に坂を下り下にいる蟻蜘蛛達に襲いかかってきたのである。
「これは…、結構厄介だけどこの位じゃ足止めにしかならないよ!」
アルビーナはそう叫ぶと樽を楽々超えて近づいていく。蟻蜘蛛達も屋根の上を走ったりアルビーナと同じように跳躍して少しづつ近づいて行った。そしてついにアルビーナが丘の上まで付くと近くにいた兵士の肩にかみつき一気に血をすいとった。兵士は声を上げる暇もなく全身の血を吸われしわだらけになって絶命した。
「ひ、ひぃ!」
「何なんだよこいつは!」
「…ふふ、次は誰かな?」
アルビーナは口元についた血を指でふき取りながら言う。その姿はこの世の物とは思えないほど美しかったが同時に兵士の恐怖をあおり決壊させるには十分な笑みであった。
「い、いやだ!死にたくない!」
一人の兵士がそう叫びながら反対側の坂を一気に降りていく。第一軍は一方から集中して通ったため反対側は未だ手つかずであったが扉は防がれているため都市から出ることは不可能だがそんなことをここの兵士が知る筈もなく今は一人が逃げたことでその現実が大きく残りの兵士に襲いかかった。
「…お、俺ももう嫌だ!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」
「化物だ!」
兵士たちはギルバート国王がいる城の防備を完全に放棄して反対側へと逃げていいた。それを見たアルビーナは追撃を加えずに城に討ち入った。アルビーナからしてみれば都市から兵が逃げる事は無いため今は国王の方を優先したのである。
城の中はかなり静かで人の気配はわずかに感じる程度でありここにいたと思われる人物たちは先ほどの兵士たちより先の方を走っていた。どうやら登り切ったあたりから逃げ出したらしい。
「全く、主君を置いて自分だけ逃げるなんて信じられないね。そんな奴らは後で殺すとしましょうか」
アルビーナは今後の予定を考えながら王の寝室と思われる場所に入る。そこはかなり豪華な作りでありこの部屋だけで大量の金が使われているのが理解できた。
アルビーナはその寝室のベッドで震えている男、恐らくギルバート王と思われる人物に話しかける。
「この都市は完全に包囲しました。逃げ場はありませんよ。今投降するなら命は助けますがどうしますか?」
「い、命を助けるなんて保証が何処にある!」
「断るならそれでもかまいませんよ?この都市で死んだ人が一人増えるだけですから。私は態々投降したらどうですかと言いに来ているんですよ?早く決めてくれますか」
そんなアルビーナの言葉にギルバート王は絶望した顔をして力なく垂れ込むのであった。

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