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魔帝國戦記~ムーアシア大陸編~

鈴木颯手

19・マーシャル連邦侵略戦争~伝説と呑兵衛~

エニウェトクの様子は戻ってきたギルによって詳しく知ることが出来ていた。
「成程、今までの都市とは違い本格的な攻城戦となる訳か」
『はい、付近の村の者たちに聞いたところあそこにはエニウェトク太守ヨハネス・ヴェリンガーを筆頭に軍師ヨーゼフ・ヴィンクラー、将軍クラウス・ヴォーヴェライト、そして十万を超える人口と五千の常備兵によって守られているようです。恐らくマーシャル連邦でも最も多い数と思われます』
十万か。確かにきついな。今まで攻めた都市は人口が少なかった。いや、それが普通なのかもしれないが王都ですら一万程度、ウィテリックでも五千程度だった。確かにこれだけ少ないとプローア王国に負けても可笑しくはないな。
「ほかに情報は?」
『はい、これはエニウェトクとは関係ないのですがどうやらこの大陸には龍がいると言われているみたいです』
「龍?」
龍ってあれか?あの火を吐く翼の生えた馬鹿でかい爬虫類。
『マーシャル連邦ではあまり知られていないようですがプローア王国の先にある国ドラルムンド帝国では龍の伝説があるようです』
成程、ここはファンタジー。龍がいても可笑しくはないか。いや、魔物がいないのがおかしいのか?どちらにせよ今のところは重要度は低いが頭の片隅に入れておくか。
「面白い話だが今はエニウェトクの方を優先して調べてくれ。龍の話はマーシャル連邦を滅ぼしてからだ」
『了解しました。では私は引き続き情報収集とエニウェトクの監視に努めます。暫くは兵力をそろえないと近づいただけで全滅してしまいますから』
「分かった。攻城兵器はこちらで用意する。完成次第最優先で送ろう」
俺が目指すのはまずは投石機の開発だ。これは比較的簡単なのでそれが完了したら火薬の量産を目指す。いずれは大砲も作るが投石機から火薬を撃ちだすだけでも十分脅威となる。プローア王国は分からないがマーシャル連邦なら十分威力を発揮できるだろう。問題があるとすれば魔物ゴブリン達に扱えるかが不安ではあるが親衛隊の作成も行っているしいっそのこと親衛隊を城攻め専門にしてしまえばいいか。
『…ところで姉貴は順調なのですか?』
兵器とその運用について悩んでいるとギルがそのように聞いてきた。俺はほう、と思う。ギルは元は臆病な性格であったため魔人にする際に必要ないと思い消したのだが予想以上に感情が消失してしまったため今では俺の命令を黙々とこなす冷酷無比な奴となってしまった。ある意味戦力としては良いのだが関わりずらくて困っているんだよな。いずれその辺も改善するか。そんなギルだが姉であるアルビーナを思う気持ちは強く感情は失っても彼の心の中には残っているようだ。
「ああ、先程タラワ付近まで到着したという報告が来た。夜を待って一気に攻め落とすそうだ。重要拠点から落とすため何かしらの情報を期待できそうだ」
『そうですか…。分かりました。では私は戻りますのでこれで』
ギルの安堵した声を最後にテレパシーは切れるのであった。俺はそれを温かく聞いてから作業へと入っていった。



















マーシャル連邦の中の一国、ギルバート王国王都タラワでは夜は驚くほど静かであった。理由は自然の光が一切ないこの時間帯はたとえ王都であろうと飲み屋以外はほとんど寝静まっているからだ。
そんなタラワの夜の街にあるとある飲み屋では仕事が終わった男たちであふれていた。かなりの人間がいるためかなり暑苦しく皆一様に汗を大量にかいていたがいたがそんなことを気にするものはほとんどいなかった。そんな飲み屋ではある話題が上がっていた。
「おい、聞いたか!?首都からの商人が来なくなったんだってよ!」
「おうおう!俺も聞いたぜ!何でも来る商人もいないがそっちに行った商人も戻ってこないそうじゃねぇか!全く、物騒になってきたなこの国も!」
「さすがにこの辺に現れる事は無いだろうな!奪っても特産物なんて何もねぇしな!」
「「違ぇねぇ!」」
彼らが話している内容はここ最近起きている内容でタラワの北にある都市と連絡が付かなくなったのだ。人を派遣しても戻って来ずかといって誰か別の人物が来るわけでもない。
それならばと商人に頼んでも誰一人として戻ってこなかったため結局分からずじまいであった。
「しっかし、一体何があったんだろうな?」
「プローア王国ではないだろうしな。その場合は国境から真っ先に使いの物が来るだろうし…ま、そんなことを考えていてもしょうがないか」
「そうだな!酒は楽しく飲むのが一番だからな!」
彼らはそう笑って忙しく店内を駆け回る若い女の給仕に酒を注文していく。
そんな彼らは知らなかった。
店の外が騒がしくなっており店から出られないように薄い糸で防がれているのを。
彼らがそれを知るのは大分経ってからであった。

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