魔帝國戦記~ムーアシア大陸編~

鈴木颯手

15・マーシャル連邦侵略戦争~追撃による追撃~

「こんな所にいたのか。随分手間をかけさせてくれたな」
ギルは手間をかけさせたハッドウ王国に怒り杖を掲げて魔法を放っていく。
現在王都強襲部隊はもぬけの殻となった王都を過ぎ去り敵を追いかけていた。そして敵に追いつくと上空から一斉に襲い掛かったのである。兵士たちは上空から襲い掛かってくるキメラ達に防戦すら危うく一人、また一人と殺されて行き町民にも被害が出ていた。
更にはギルが魔法を放ち町民たちの周りに土の壁を作り逃げられないようにしていたため被害は増えていくばかりであった。
「さて、次の標的は…っと」
ギルは次の標的を探していると死体を重ねて防壁を作る場所があった。そこでは老人が指揮を取り兵士のみならず町民も死体を積み重ねたり槍を持って敵に備えていた。
「よいか!生き残るためにも急いで防壁を作れ!例え親類でも死体なら使うように!」
ハッドウ王国宰相のエゴンは心を鬼にして少しでも生き残れる確率を上げるために防御陣地を構築していくがその様子はギルに丸わかりであった。
「無駄な事を…。死ぬのが遅くなるか早くなる勘違いしかないのに…」
ギルは呆れながらも魔法を発動して死体の防御陣地ごとエゴン達を氷漬けにしてしまう。結果、エゴンは自分が死んだことに気付かないうちに氷漬けで一生を終えるのであった。
さらに、エゴンの死が呼び水となり彼らは全滅するまで統制が取れなくなり混乱するのであった。その為全滅させることは一時間もかからずに完了した。ギルは地獄絵図と化した壁の中に降り立つとある程度生き残らせていた女性を気絶させていく。この女性たちはゴブリンの増殖の為に役立ってもらうために殺さなかったのだ。
しばらくすると王都を通り越してきたゴブリン軍と合流し、一部のゴブリンに女性をウィティリックまで運ばせると再び敵を追って進軍を開始した。ギルは再び強襲部隊を率いてハッドウ王国最後の都市である国境都市へと向かっていく。
「いいか!敵は俺達の接近に気付いていない可能性がある今こそ一気呵成に攻め入るぞ!」
ギルの掛け声に強襲部隊は雄たけびを上げる。やがて国境都市が見えて来てギルは強襲部隊へと指示を出した。


















「よいか!敵はすぐにでも攻めてくる可能性がある!少しでも国境都市の防備を固めよ!」
王都から国境都市へと向かった者の中で唯一の生存者であるディートヘルムは国境都市に着くや否や兵を招集して敵の攻撃に備えさせた。しかし、いきなりの事であったのと真夜中という事もあって兵の集まりは予想以上に悪くそれがディートヘルムを焦らせていた。
「陛下、本当に敵は直ぐに出も来るのですか?いくら何でもウィティリックからここまでは直ぐに来れる距離ではありませんよ?」
国境都市の太守はそのようにディートヘルムに言うも聞き入れずに集めるように言っていた。そして太守はため息をつくと答えた。
「分かりました。兵の招集は私が行いますので陛下はお休みになって下さい。陛下はかなりお疲れの様ですから」
国境都市の太守にそう言われては自覚があるディートヘルムは強く言う事が出来ず押し切られる形で太守に一任した。その太守はディートヘルムの眠る寝室を出ると部下に伝えた。
「兵の招集は明日から行う」
「よろしいのですか?陛下の命に背く事になりますが」
「何、心配はいらん。どんな軍勢でも早くとも明日の昼まではここには来ないだろう。それよりも宰相殿たちの方が早く着くだろうから門はあけておいて迎え入れられる準備だけを怠らないように」
「…分かりました」
部下は太守の命を守るべくその場を後にした。太守は暫く考えていたがやがて呟く。
「全く、軍の理を知らぬ陛下には呆れてものも言えないな」
太守はディートヘルムの話していた異形の化け物を錯覚と決めつけて相手にはしなかった。
それが破滅をもたらすとも知らないで。


















国境都市の太守の命により門は開けられ壁や門の周辺には松明が付けられた。
その扉の近くを一人の兵士が見張っていた。
「ふう、今日も暇な見張り番だと思っていたんだけどな」
見張りは文句を言いながら見張るが何も見えずため息をつくと上空を見る。上空には星がチラチラと見えるが月は隠れておりいつもより薄暗くなっていた。
その時上空で何か動く者が見えた。
「ん?何だ?見間違いか?」
見張りが目を擦り再び見た頃には見えなくなっており見間違いと済ました時であった。
門の近くにいた見張り番に上空から何かが落ちていき落ちてきた者、ゴブリンは一気に振り上げた棍棒を見張りの頭に叩きつけたのである。落下の速度とゴブリンの筋力もあり見張り番たちは頭を潰されるだけではなく上半身も潰され無残な死体へと姿を変えたのである。
更にゴブリンは門周辺を確保するとその防衛に勤め本隊が来るまでの時間を稼ぐのであった。
その動きに国境都市が気付いたのは見張り番の交代の時の一時間近くたった時であった。国境都市に警報の鐘が鳴り響き国境都市の目を一気に覚ますのであった。

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