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魔帝國戦記~ムーアシア大陸編~

鈴木颯手

13・マーシャル連邦侵略戦争~第二次ウィティリック攻防戦~

「ギル殿、ハッドウ王国ノ方カラ武装集団オオヨソ八百ヲ超エル数ガ近ヅイテ来テイマス。如何シマスカ?」
ウィティリック陥落から九日目の昼、ギルが気にいった女の相手をしているとゴブリンキングがやって来てこう言った。その報告にハッドウ王国の兵士か、と思い臨戦態勢をとるように命令する。
「現在のこちらの数は?」
「ゴブリンガ約二千、キメラハ数ニ変ワリハ無イノデ約百程デス」
「この数なら特に問題はなさそうだな。このまま攻め込むか。その準備もする様に。俺も直ぐに行く」
「了解シマシタ」




















「ふむ、やはり門は閉まっているか」
騎乗したディートヘルムはウィティリックの都市を見てそう呟く。現在彼は八百五十の兵を率いて来ていた。この数はハッドウ王国王都ベールナのほぼ総数でありその数を五日で集めることが出来た宰相のエゴンの実力が伺えた。
「やはり反乱か?それとも第三勢力に占領されているのか…どれだと思う?バルドゥルよ」
ディートヘルムは将軍のバルドゥルに意見を聞く。バルドゥルは立派な顎髭を撫でながら思案する。
「ウィティリックが裏切るとは思えないので恐らく第三勢力によるものと思われます。まあ、そんなことは俺にとってはどうでもいいことですね。俺がやるのは固く閉じられた扉をこじ開けてウィティリックにハッドウ王国の旗を掲げることです」
バルドゥルの言葉にディートヘルムは満足げに頷く。
「うむ、流石は我が王国最強の将軍であるな。ならば早速やれるか?」
「ご命令があれば即座に」
ディートヘルムの言葉にバルドゥルは即答する。
「よし、バルドゥルよ!即座にウィティリックへ攻め入り見事我が手へとウィティリックを取り戻せ!」
「了解しました。…歩兵前進!」
ディートヘルムの命を受けたバルドゥルはすぐさま歩兵を向かわせる。後は敵の出方を見る様にしたがバルドゥルの予想は大きく外れた。現在率いている兵だけでは街全体を壁に囲まれたウィティリックを落とせるとは思えなかった。敵もそう考えて亀のように閉じ籠ると思っていたのだ。
しかし、ウィティリックは門を開けて来たのだ。バルドゥルは騎兵でも出てくるものと予想するもこれもまた大きく外れた。出て来たのは人間より一回り小さく全身が緑色の異形の化け物であったのだ。異形の化け物は雄たけびを上げながら歩兵へと突進していく。その数は少なく見積もっても自身が率いる兵よりも多かった。
それでも敵の実力を見るために歩兵をそのまま当てさせた。異形の化け物と接触した歩兵は槍を突き刺していくがそれに構わず異形の化け物は突っ込んでいき手に持ったこん棒で歩兵の頭を兜ごと叩き割っていく。
中には異形の化け物を殺すことが出来たものもいたがあまりにも少数な上にその者達も敵の数には勝てず屍を晒していった。
それを見たバルドゥルの行動は早かった。先ずは突撃した歩兵三百を切り捨て残りで国王であるディートヘルムを逃がす事にした。
「国王陛下、申し訳ありませんがこの戦いは負けました。急いで王都までお引きください。最悪の場合プローア王国の国境都市まで逃げる事を覚悟して下さい。我々がここを防ぎます」
「…分かった。後は頼む」
ディートヘルムは少し考えてから頷き王都に向けて馬を走らせた。それを確認したバルドゥルは歩兵に大声で告げる。
「よいか!我々はここで国王陛下が逃げる時間を稼ぐ!それが完了次第我々もここを引く!総員準備せよ!」
「「「「「おう!」」」」」
兵たちはバルドゥルの指示に従い陣形を組んでいくが完了するのと前衛の歩兵が全滅するのは同じタイミングであった。異形の化け物達は標的をバルドゥル達に変えて突撃して来る。
「弓隊!放て!」
バルドゥルはその突撃に合わせて後方から弓を放たせるがやはり効果は薄く倒れたものはいなかった。それでも敵の戦力を削ぐ為に弓を放たせ続け前衛に盾を構えさせる。
遂に前衛に異形の化け物が襲い掛かるが盾に籠り敵の攻撃を防いでいきその後ろから槍兵が敵に槍を突いて行く。流石に異形の化け物も攻めきれないのか屍の山を築いていく。しかし、それでも敵の数には耐え切れず遂に一人の盾兵が力尽き倒れたことでそこから穴が広がるように崩れていった。この穴はほぼ塞げる音は出来ないだろう。崩れるのが早いか遅いかのどちらかになる事は確実であった。
「…このままでは陛下が逃げる時間が稼げないな。何とか時間を稼がねば…」
そこへバルドゥルは異形の化け物の中に他の者とは違う存在を見つける。他の化け物たちは皮の腰巻をしている程度であったがきちんと服を着ており鉈に似た武器を持っていた。更に遠くて声は聞こえないが周りに指示を出している様であった。バルドゥルはそれを司令官と見てからはさらに行動が早かった。
自分の馬を走らせると一気に歩兵と化け物が交戦している上空を飛び抜け一気に敵の司令官に迫った。敵もこちらに気付いたらしく周りはやりをこちらに向け司令官も鉈に似た武器を構えた。
「ハッドウ王国の為に!死んでもらう!」
バルドゥルは槍を構えると敵に一気に突き刺した。

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