魔帝國戦記~ムーアシア大陸編~
※12・マーシャル連邦侵略戦争2~ハッドウ王国と蜘蛛の都市、酒池肉林~
「何?ウィティリックとの連絡が途絶えただと?」
ハッドウ王国国王ディートヘルム・ツー・ハッドウは部下からの報告に眉をひそめた。ディートヘルムはハッドウ王国の歴史でも一二を争う謀略家でありいずれはマーシャル連邦をも取り込もうと準備を行ってきた。ウィティリックもその一つで彼の都市はマーシャル王国所属でありながら裏ではハッドウ王国と密約を交わしておりハッドウ王国の潜在的な見方となっていた。そんな都市から連絡が途切れたことが信じられなかったのである。
「偵察にはむかわせたのであろう?」
「勿論でございます。しかし、誰一人として戻って来ておらず情報の掴みようがない状況です」
部下の報告にディートヘルムはさらに眉を顰める。偵察が戻らないと言う事は買収されたか途中で賊にでも襲われたか、もしくは都市のものによって殺されたのどれかであった。
「恐らく何か強大な勢力を持つ国がこの大陸に来たのかもしれないな。どちらにせよ、状況を確認するためにも軍を送るとするか。すぐに出せる軍勢はどのくらいだ、エゴン?」
ディートヘルムは近くにいる宰相のエゴン・ツー・バシュに尋ねる。エゴンは皺でいっぱいになった顔を触りながら彼の問いに答える。
「今日中なら百…、三日頂けるなら五百は集められます」
「ならば五日でそれ以上の兵を集めるように。この際金に糸目はつけん。分かったな?」
「了解しました。それではすぐに取り掛からせてもらいます」
エゴンはそれだけ言うと部屋を後にした。一人になったディートヘルムは椅子に座り一息つき呟いた。
「これは吉と出るか凶と出るか…。いや、ハッドウ王国の繁栄の足掛かりとなろう」
ゴブリンキングがウィティリックを落としたその二日後にマーシャル連邦を形成するギルバート王国の都市ホーランドに到着した。
蟻蜘蛛は見つからないように夜に都市へと近づきマーシャル連邦の首都を落とした時と同じく糸を使い城壁を難なく登り監視の兵士を殺したり糸でグルグル巻きにしたりして無力化していった。そんな彼らが異変に気付いたのは一人を取り逃がした事が原因であった。
「敵襲ぅ!敵襲だぁ!誰か来てくれぇ!」
こう叫ばれてはしょうがないので蟻蜘蛛は城壁部分を占領すると扉を粘着性の糸で通れないように封鎖して逃げられないようにした。これは人間の力では一生取れないほど強力な粘着力を有しており一度振れればおしまいであった。勿論火には弱いが周りの火は決してあるため除去するのに時間がかかるようになっていた。蟻蜘蛛たちはその隙を逃さず鎧を着た者、護衛に囲まれている者、武器を持った者を優先的に排除していく。やがて日が昇る頃には都市の中身は蜘蛛の糸で蓋がされある程度の光以外は通さないようになっていた。そしてその糸には街の太守や兵士、有力な商人が生き絶えた状態でぶら下がっておりその姿は巨大な蜘蛛の巣をイメージさせるものであった。
町の住人は怯えつつも街から出られないようにされているため自分の家に籠って出て行かないようにしており中には木の棒などで武装する者もいたが即刻蟻蜘蛛により無力化され天井につるされる死体の仲間入りをするのであった。
そんな街に向けて女王と自身の主、山本拓哉の言葉を伝えるためにアルビーナは天井から大きな声で叫ぶ。
「我々は魔帝國!この異形の者を率いる國である!諸君らは現時刻をもって我が主魔帝陛下の傘下となる。諸君らは反乱を起こしたり街から出なければ自由にしてよい!食料も滞りなく配給しよう!ただし!もしも反乱を起こすのであればその時はここにぶら下がる死体の仲間になってもらうだけである!」
この宣言に住民は憤るも敵の戦力が分からないため起こしようがなく恐怖で家から出ることが出来な日々が続くのであった。
『そう言うわけでこちらは蜘蛛の町と化しているけどこれはこれで面白いわ』
「それは良かったな、姉貴」
姉であるアルビーナからのテレパシーにギルは表情を緩める。アルビーナあらゆることに無関心となった彼に表情を出させることが出来る二人のうちの一人だ。アルビーナと話す時は魔人になる前の状態に戻った様な感じを起こさせた。
『そっちはどうなっているの?確かゴブリンの監視役でしょ?』
「毎日が酒池肉林の大乱交さ」
ギルは呆れながらアルビーナに答える。実際、彼の目の前でゴブリンと人間の女が性交しているのだから。
ゴブリンキングによって落ちたウィティリックの町は交代しながら街の外に少数の部隊を送り監視をさせて他は人間の女をすべて集めて大乱交が行われていた。ウィティリック陥落から早三日が過ぎていたがゴブリンは今尚増え続けていた。それでもゴブリンの統制がきちんと取れているのはゴブリンキングがしっかりと指揮を取っているからであった。因みに町の男達は逃げられないように手足を折って主のいるマーシャル連邦の首都に送っていた。その為現在この街にいるのはゴブリンとその相手をさせられている女、そしてギルのみであった。
「ゴブリンキングはここで数を増やしてからハッドウ王国に攻め込むと言っていたからこちらが動くのはまだ先になりそうだよ」
『お互いに大変ね。まあ、頑張って行きましょう』
その言葉を最後にアルビーナからのテレパシーは切れた。ギルはそれを確認すると表情を無表情に戻してウィティリックの事後処理を行うためにその場を後にした。
ハッドウ王国国王ディートヘルム・ツー・ハッドウは部下からの報告に眉をひそめた。ディートヘルムはハッドウ王国の歴史でも一二を争う謀略家でありいずれはマーシャル連邦をも取り込もうと準備を行ってきた。ウィティリックもその一つで彼の都市はマーシャル王国所属でありながら裏ではハッドウ王国と密約を交わしておりハッドウ王国の潜在的な見方となっていた。そんな都市から連絡が途切れたことが信じられなかったのである。
「偵察にはむかわせたのであろう?」
「勿論でございます。しかし、誰一人として戻って来ておらず情報の掴みようがない状況です」
部下の報告にディートヘルムはさらに眉を顰める。偵察が戻らないと言う事は買収されたか途中で賊にでも襲われたか、もしくは都市のものによって殺されたのどれかであった。
「恐らく何か強大な勢力を持つ国がこの大陸に来たのかもしれないな。どちらにせよ、状況を確認するためにも軍を送るとするか。すぐに出せる軍勢はどのくらいだ、エゴン?」
ディートヘルムは近くにいる宰相のエゴン・ツー・バシュに尋ねる。エゴンは皺でいっぱいになった顔を触りながら彼の問いに答える。
「今日中なら百…、三日頂けるなら五百は集められます」
「ならば五日でそれ以上の兵を集めるように。この際金に糸目はつけん。分かったな?」
「了解しました。それではすぐに取り掛からせてもらいます」
エゴンはそれだけ言うと部屋を後にした。一人になったディートヘルムは椅子に座り一息つき呟いた。
「これは吉と出るか凶と出るか…。いや、ハッドウ王国の繁栄の足掛かりとなろう」
ゴブリンキングがウィティリックを落としたその二日後にマーシャル連邦を形成するギルバート王国の都市ホーランドに到着した。
蟻蜘蛛は見つからないように夜に都市へと近づきマーシャル連邦の首都を落とした時と同じく糸を使い城壁を難なく登り監視の兵士を殺したり糸でグルグル巻きにしたりして無力化していった。そんな彼らが異変に気付いたのは一人を取り逃がした事が原因であった。
「敵襲ぅ!敵襲だぁ!誰か来てくれぇ!」
こう叫ばれてはしょうがないので蟻蜘蛛は城壁部分を占領すると扉を粘着性の糸で通れないように封鎖して逃げられないようにした。これは人間の力では一生取れないほど強力な粘着力を有しており一度振れればおしまいであった。勿論火には弱いが周りの火は決してあるため除去するのに時間がかかるようになっていた。蟻蜘蛛たちはその隙を逃さず鎧を着た者、護衛に囲まれている者、武器を持った者を優先的に排除していく。やがて日が昇る頃には都市の中身は蜘蛛の糸で蓋がされある程度の光以外は通さないようになっていた。そしてその糸には街の太守や兵士、有力な商人が生き絶えた状態でぶら下がっておりその姿は巨大な蜘蛛の巣をイメージさせるものであった。
町の住人は怯えつつも街から出られないようにされているため自分の家に籠って出て行かないようにしており中には木の棒などで武装する者もいたが即刻蟻蜘蛛により無力化され天井につるされる死体の仲間入りをするのであった。
そんな街に向けて女王と自身の主、山本拓哉の言葉を伝えるためにアルビーナは天井から大きな声で叫ぶ。
「我々は魔帝國!この異形の者を率いる國である!諸君らは現時刻をもって我が主魔帝陛下の傘下となる。諸君らは反乱を起こしたり街から出なければ自由にしてよい!食料も滞りなく配給しよう!ただし!もしも反乱を起こすのであればその時はここにぶら下がる死体の仲間になってもらうだけである!」
この宣言に住民は憤るも敵の戦力が分からないため起こしようがなく恐怖で家から出ることが出来な日々が続くのであった。
『そう言うわけでこちらは蜘蛛の町と化しているけどこれはこれで面白いわ』
「それは良かったな、姉貴」
姉であるアルビーナからのテレパシーにギルは表情を緩める。アルビーナあらゆることに無関心となった彼に表情を出させることが出来る二人のうちの一人だ。アルビーナと話す時は魔人になる前の状態に戻った様な感じを起こさせた。
『そっちはどうなっているの?確かゴブリンの監視役でしょ?』
「毎日が酒池肉林の大乱交さ」
ギルは呆れながらアルビーナに答える。実際、彼の目の前でゴブリンと人間の女が性交しているのだから。
ゴブリンキングによって落ちたウィティリックの町は交代しながら街の外に少数の部隊を送り監視をさせて他は人間の女をすべて集めて大乱交が行われていた。ウィティリック陥落から早三日が過ぎていたがゴブリンは今尚増え続けていた。それでもゴブリンの統制がきちんと取れているのはゴブリンキングがしっかりと指揮を取っているからであった。因みに町の男達は逃げられないように手足を折って主のいるマーシャル連邦の首都に送っていた。その為現在この街にいるのはゴブリンとその相手をさせられている女、そしてギルのみであった。
「ゴブリンキングはここで数を増やしてからハッドウ王国に攻め込むと言っていたからこちらが動くのはまだ先になりそうだよ」
『お互いに大変ね。まあ、頑張って行きましょう』
その言葉を最後にアルビーナからのテレパシーは切れた。ギルはそれを確認すると表情を無表情に戻してウィティリックの事後処理を行うためにその場を後にした。
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