魔帝國戦記~ムーアシア大陸編~

鈴木颯手

00・プロローグ

「君は面白いね。笑いすぎてお腹が痛いよ」
「はぁ」
よくテレビで見るような法廷の中、裁判官が座る場所に座った少年の言葉に俺は曖昧な返事をした。何故こんな返事なのかと言うと気付けば俺はこの場所に来ていたからだ。
俺は自分でも分かるほどにサディストだ。同年代の女子を痛め付けることに快感を強く感じた。無論、無理やり暴力を振るったりはしなかった。…そう言うシチュエーションは行ったことはあるが。そんなことをし続ければ保護者や教師に何か言われそうだが成績優秀、運動もそこそこ出来、顔も整っていたため半ば見逃されていた。
しかし、世の中そうはうまく回ってはいにいようで何時ものように同意してくれた女子を暗くなったこともあり送っていたんだが急に背中に激痛と熱が走り立っていられなくなった。見上げてみればそこには今悲鳴をあげて恐怖で顔を強ばらせる女子の元カレ負け犬が手に血がベットリとついたナイフを握っていた。つまり俺はこいつ負け犬に刺されたと言うことだ。それを確認すると俺は意識を失い目を覚ませばここにいたわけだ。
しかし、ここは本当に何処なんだろうな?
「ここは人間で言うところの死後の世界だ。そして今君は地獄に行くのか天国に行くのか決めるところだよ」
と、思っていたら裁判長の席に座って居る少年がいきなり心を読んできた。何者なんだ?少なくとも人間ではないだろうなぁ。
「その通り。僕は死んでここに来た魂を天国と地獄に分ける者だよ。君たちで言うところの閻魔大王だね」
「…成程。俺は死んだからここにきて今まさに地獄か天国かを決められているわけですね」
「察しがよくて助かるよいちいち説明するのは疲れるからね」
少年改め閻魔大王は疲れた様に言っている。余程前に来た誰かに説明で手を焼いたのであろうな。でもそうなると俺は地獄行きは決まっているだろうな。人のために何かした事なんてないしむしろ同意の上とは言え彼女に暴力をふるったり傷つけていたりしたんだからな。
「それなんだけどね、君。転生って興味ある?」
転生?それはよく在る異世界に行ったり過去の世界に言ったりするヤツですか?
「そうだよ。さっきも言ったけど僕は君を気にいったからね。ここで地獄に行かせるのは惜しいと思っていたんだよ」
「地獄行きは決まっているんですね」
「でも別に転生しなくてもいいよ?地獄や天国は昔とは違って厳しい罰はないし。多少の罰を受けてもらうだけだから」
「そうですか…。分かりました。転生させてください」
「いいよー。特典とかはいる?多少色を付けてあげるよ?」
「それじゃ、遺伝子操作の技術が欲しいです」
昔から憧れてはいたのだが死骸がどうしても駄目だった。傷つけることは出来てもそれは命に別状はない状態までしか出来なかった。それでも充分快感は得ていたが。
「…成程、自分で魔物を作ってみたかったのかぁ。丁度良かったね」
…どうやら閻魔大王は記憶も読み取れるみたいだな。確かに色んなゲームに出てくる魔物を見ては改良してみたいと思っていた。いつかオリジナルの魔物を制作してみたいと。その為にも次は重要だ。
「他にもいいですか?」
「勿論」
「なら、俺の性格を変えてください」
「?何でだい?」
「今の状態ではとてもではないですが満足に作れるとは思っていません。なので性格を適した形に変えて欲しいのです」
「…分かった。他に何か必要な物はあるかい?」
「いえ、これがあれば後は大丈夫です」
「そうか。なら僕からのプレゼントで何かつけておくよ。…そうだ!早速魔物を作ってみないかい?」
「いいんですか?」
「特典に慣れるためにもね。やっておいて損はないと思うよ?」
「…分かりました。ならばさっそく性格を変えてください」
「オッケー。ならばここで君とは言ったんお別れだね。次に会う時には変わっていると思うよ」
そう閻魔大王が言うと眠くなって来てやがて崩れるように俺は眠りについた。

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