未来国家建国記
004
集合がかかったあとはちょっとした軍人からの話がありスタート配置に着くことになった。俺が気にしていたフードの軍人はその話した軍人以外と一緒にもう既に警戒エリアの観察に回っているらしい。
スタートの場所には少量の食料と水、腰にかけれる救急道具があった。
この大日本主義国は領土が結構沈んでおり立ち入り禁止エリアの3分の1は湖となっている。危険エリアでもそこかしこに池がありどれも綺麗な水に見えるが飲めるかどうかはプロでも見極めるのが大変らしく学生にはこうやって水が支給される。
俺たちは救命具と500mlの水を1本ずつ腰につけスタート端から走る。
スタート位置からは好きにしてよくしばらくしてからスタートするも良し、すぐもよし、食べ飲みしてから行くもよしだ。
俺たちは危険エリアギリギリのラインまで行くとリーシャを木の上に乗せ探知能力を広げてエルメイを探す。
「北東900m先に一体」
リーシャが木の上に座りながら北東の方に顔を向け俺たちの目では何も見えないところに目を向けながら言う。
探知能力とは千里眼のようなものでその探知できる範囲は千里眼のようにいいものではなく才能と訓練によるがリーシャはだいぶ広いので困ることは無い。
「900か、だいぶ近いな。第何位だ?」
良や、ハズナ、リーシャにとって900mとは少し走ればつく距離ですぐそこに考えられる。ここの学生ならばそうだろう
「ん〜、秘宝級の第四位、かな?」
リーシャは自信なさげに言うが秘宝級と断言出来るだけでも学生にしたら優秀すぎる。それなのに何位まで分かったら訓練を積まずともプロになれる。
「第四位ならいらないわ。六位を探しましょ」
「うん、もっと広げてみるね」
キュュュンンーーーと微かに過渡が響く。能力を強めた証拠だ。
「いた。」
「どこだ?」
良がリーシャが向いた方を向いて注意深く見るが全く見えないため何キロも先であろう。
「5kmと、600mぐらい。このまままっすぐ北に」
「5.6km、10分ぐらいかな?」
ハズナが時間を簡単に割り出す。多分ハズナの事だから地形のことも入れてるだろう。
「よし、時間はいいな。リーシャ、第何位だ?」
リーシャはこちらを向いてニヤリと笑うとグッと親指を立てた。
「第六位だよ!」
「よし!行こう!」
俺とハズナがすぐに走り出そうと構える。
「識別信号と接続するよ!」
リーシャにはピンという音が聞こえると共に2人が走り出す。すぐに2人は見えなくなるがリーシャは左目で2人を追い、右目でエルメイを見る。
そのエルメイは蟷螂のような形をしているが後ろの尾は蜥蜴の尾のような形をしており羽は蟷螂の羽だが出しっぱなしで口からは虫にはありえないだ液がダラダラと出ている。
「ほんと気持ち悪い。私なら、無理。」
その姿をいち早く見たリーシャは眉を寄せてぎゅっと体をだく。
ハズナと良は1km先で勢いを殺すと付近の匂いを体に付けていく。
良はお尻部分に付けていた組立式の遠距離銃を組み立てる。この銃は自分の能力に合わせた弾丸を吹く。もし自分が力不足で能力が操れなくなった場合は自分も攻撃してしまう可能性もある。ガチャッと音を立ててスコープを覗き込むと相手を探す。
『良、もうちょっと左向いてみて』
いきなり頭の中にリーシャの声が響くが良とハズナは驚きもせずにその声に従う。
「お、みっけ。」
相手を見つけた良は嫌そうに眉を寄せる。それもそうであろうあんな気持ち悪いものを見たら誰でも目をせ向けたくなると言うものだ。
「ん?どうしたの?」
まだ今回戦うエルメイを見ていないハズナは眉を寄せた良を不思議そうに見て、頭の中でリーシャ問いかける。
『んー、言われるより見た方が早いからスコープ覗いて見て。』
歯切れの悪いリーシャの言葉にハズナはハテナを浮かべながら良に銃を借りる。
「え、う、わぁ〜。きも。」
うげ〜といいながらベロを出し相手を観察する。良もその姿を見ながら苦笑して短銃を調整する。
「多分蟷螂を基調としてるから狙うなら腹部分だね。でも、蜥蜴の尾だから鱗がどこまで硬いか微妙だね。」
良の声は苦笑しているような雰囲気を出しながらも声は真剣で手元はサクサクと動いている。
「頭狙ってもなかなか脳はゆさぶれないし.....先に足をちょんぎった方g...目が合った!!!」
スコープからエルメイを除いていたハズナがバッといきなり後に下がり警戒態勢をしいる。良も調整済みの短銃をすぐにホルスターに2つほど直すとハズナが投げて寄越した遠距離銃を受け取ると急いで構えスコープを覗き込む。
蟷螂はガッツリとこちらを見ているが動く気配は無い。むしろしばらく見るとフィッと顔を逸らし余裕そうに背中を見せている。
警戒態勢を取っているハズナはチラチラと良を見て合図を待っているようだ。
「まてハズナ。あの蟷螂のエルメイはこっちを敵と認識してない。今飛び込んでも死に急ぐだけだ。」
良も警戒態勢は解かずに今にもエルメイに飛びかかりそうなハズナをなだめる。
『うん、それに蟷螂みたいな目があんな感じの昆虫はほとんどの方向からの攻撃が見える。唯一見えないのは背中からと思う。』
「なら今から行くのが先手か。ハズナ、いつも通りハズナが突っ込んでそれから....」
いきなり良の声が小さくなって眉に更に深いシワが刻まれる。
「ん?どうし「とべぇ!!!!」
ハズナも単純にただの条件反射で近くの木の天辺当たりまで飛び上がる。横を見ると良も驚いた顔をしている。
下には、さっきまで私たちがいた地面には先程スコープで見た1kmほど先にいたはずの蟷螂が鎌を地面に突き立てていた。
「なっ!?」
『予想以上に、早い。』
「GEGEGEGAGAGAーー!!!!!」
蟷螂が口元にある歯をガチガチと鳴らし鳴く。その音はギリギリと首を絞められているような音でガジガジという音がすぐに頭の中に住み着く。
「ハズナ!!!一旦距離をとる!蟷螂の後方に向かって全力だ!!!」
「り、了解!!」
空中滞在時間は約3秒その間に頭はフル回転しどうしたらいいかが浮かんでは消える。その浮かんできた案をすべて抹消するように良の声がするりと頭の中に上書きされ足元にあった木を蹴って蟷螂が来た方に走り出す。
良は何発か近距離用の銃で発砲するが予想以上に鎌が強くすべて鎌により遮られる。
「ヂィッ!!」
一発大きな舌打ちをすると能力の大半を銃に込めて蟷螂に撃ちハズナの向かった方に全力で駆ける。
『止まって!!』
リーシャの声で無我夢中で走っていた2人は足を止める。リーシャの声のおかげで理性を取り戻しバッと辺りを見回す。
そこは全く知らない場所で池などが周りには多く地面も先程よりはいくらか湿っているようだ。
「リーシャ、ここはどこだ。」
『危険エリアギリギリよ。あと1km向こうに行ったら立ち入り禁止エリアに入ってしまうわ』
リーシャの焦った声が脳内に響く。多分あの蟷螂のスピードが予想外でどう対策を練るか考えているのだろう。
「リーシャ、あいつは今どこ?」
ハズナの焦った声がリーシャに問いかける。それもそうだろう。先程のスピードで今突っ込んでこられたらいくら体術に優れたハズナでも対処のしょうがない。
『安心して。蟷螂はさっきの場所から北西に3kmほど進んだところにいる。
2人はさっきのところから7kmはよゆーで離れたからだいぶある。』
「そうか、なら少し休ませてくれ。」
そう言って良は近くの木の幹に体を預けドサリと音を立てて座り込む。先程の良の能力により蟷螂も結構な被害を受けたがこちらの損傷も激しい。良は能力の八割を使い切ってしまい発砲した左手は込めた能力が強すぎて自分までも巻き込んで手が血だらけになっている。
『ハズナ。今すぐ良の傷の応急処置をして、蟷螂が、風下に立ったから、こっちの匂いに感ずいたみたい。』
なんて運のいいやつ。たまたま北西に行ったらそっちは風下で匂いで特定するなんて。くそ。と吐き捨てるようにリーシャが言うと急いで2人に指示を出す。
『ハズナ急いで!蟷螂がこっちに来てる!』
ハズナは急いで応急処置で血を止めると2人でいつもの距離を取る。
「リーシャ、少しはあの蟷螂のエルメイのデータまとめれたか?」
良がスコープで蟷螂を探しながらリーシャに情報を求める
『うん。あいつはスピードは速いけどまっすぐしか移動できない鎌の攻撃範囲もすごく広いわけじゃないから横からの攻撃なら有効だと思う』
「わかった。なら私が横に回るから良は遠距離から「いや、左が思うように動かないから近ずいてからの近距離銃で行く。」」
「『え?』」
 良が先程開けた距離をゼロにしながら言う。ハズナもリーシャも予想外の言葉で自分の耳を疑う。
「な、なら私が真正面から突っ込むから良が横から....」
ハズナが慌ててさっきの作戦を練り直すが良は首を横に振る。
「俺が行っても八割がた能力を使い果たした俺じゃあの鱗には火力が全く足らない。それなら五体満足でまだまだ余力があるハズナが全力を撃った方が勝率は上がる。」
良は大丈夫。と言いながら自分の右手に銃を構える。3人とも負けるとは決して思ってはいない。ただこの相手は手こずるが自分たちの本気には適わない。そう思っていた。
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