リバース・シリーズ

シオン@makia-to

第7話 調査

迎えには先に出たロイゼンさんと白ひげの長いオヤジさん。そしてイヴと召使い数名がいた。



「国王様……。あれがこの度の遺跡を攻略しイヴ王女を救った『エリュ・シオン』殿でございます。」

ロイゼンさんはどうやら俺の本名は出さないでくれたらしい。
そして白ひげオヤジは俺たち2人に近づいてきた。

「この度は色々とありがとう…!娘を救ってくれたこと。そして長年の夢であった遺跡の攻略。
なんとお礼をしていいか……」
「お礼なんていいですよ。俺も冒険者として興味ありましたし…それに勝手に城の中に入ったのでこれでおあいこということで。」
「そんなことを気にして……謙虚なのだな?だがこちらにはまだ恩がある…。【色欲の騎士団】の件についてだ。」

あっ、忘れてた……

「まぁここではなんだ。応接室にて話をしよう。
無論……婚約についてもだ。」
「……わかりました。」

しぶしぶ了承した





___________応接室にて

城の中を通り5分……
赤いモダンな椅子が印象的な応接室に俺とロイゼンさん、カーナ……そして国王がいた。
イヴについては席を外してもらっている。

「まず、最初に娘の婚約についてだ。」
「はい。」
「経緯は聞いた…。無論娘は婚約する気満々だ。
だがまだ君の意見を聞いていない。君は娘を幸せにできるか?」

難しい質問だった。
俺の優柔不断が悪いのだがまぁ、答えはもう出てた。

「国王様……いえ。  クルシオ・イグニス国王陛下。
私には娘様を幸せにすることはできません。」

はっきり言った。

「なるほど……。その理由を聞いても?」
「もちろんです。私は心に決めた想い人がいます。
今でも私は彼女の事を忘れられないのです。
そんな状態で婚約なんてすればいずれ歪みを生み
イヴ王女に申し訳が立たない。それに俺はただの冒険者です。スリルと自由を求めてこれをしています。
イヴ王女にはこれからも俺より素敵なお相手が見つかるでしょう。
ですから……このお話は白紙にしていただきたいのです。」
「……なるほどな。」

国王は数秒考えてこう言った。

「君は娘の婚約を受けたと聞いておるのだが…?」
「確かにあの時は俺の不甲斐なさでイヴ王女の圧に圧倒され返事をしてしまいました。」
「確かにイヴは圧がすごいからな…。その気持ちは分かる。」
「お分かりいただけましたようで……」
「……わかった。この件は白紙にしよう…。イヴを悲しませることになるがな…」
「悲しみはないでしょう。私は記憶操作できる魔法が使えます…。何を言いたいかお分かりでしょう…」
「なるほどな…。確かにそれならイヴを悲しませずに済むが……。君はいいのか?」
「構いません。元々俺達は交わるような関係ではなかったのですから」
「わかった。君がいいのならそれでよい。」

……………………………………
……………………



「では次に色欲の騎士団についてお話を…」
「ええ、そうですね。」

沈黙のさなかロイゼンさんの助け舟が出た

「単刀直入に言いましょう。恐らく彼女らは精神系の呪いを受けているものと思います。」
「呪い……か。」
「ええ。そしてそれは俺以外に解くことは出来ない呪いと思います。」
「なぜだ?」
「屈強な騎士団の一角全員を相手に呪いを発動できる魔術師は余程の手練でしょう。並の術者では解呪には至らないと思います。」
「それは一理あるな…」
「この件に関してはイヴ王女に俺が一任する許可を頂きました。それはロイゼンさんも確認済みと思います。」
「ええ、しかとこの耳で。」
「そこまで話は進んでいたのか……」
「ええまぁ。勝手な進行で申し訳ありません。」
「よかろう。色欲の騎士団については君に一任しよう」
「ありがとうございます。」
「では最後に遺跡の暗号解読について聞かせてくれ。」
「えぇ。遺跡の暗号は俺の故郷の文字とよく似ていました。そのため解読が出来ました。」
「なるほどな。ではシオン殿……これを。」

そう言って国王は俺に遺跡での戦利品を全てよこした

「我らにはこれらの解読は不可能だ。たから君に譲ろうと思う。」
「なっ……!?それは主とそこの執事が我から受取ったものだ!もとよりその所有権はその2人にある…!」

静かにしていたカーナが口を開いた。

「カーナ……?」

俺はカーナを宥めることにした。

「国王陛下……。今のことは不問にしていただけませんか?」
「あ、あぁ。でもそこの者は?」
「こっちは俺と召喚契約を結んだ【大地の遺跡】の守護者   大神こと  カーナ  です。」
「カーナだ。我はお前のことはあまり好かん…!」
「な、カーナ!?」
「よい。カーナ殿よ。我の勝手を許してほしい。」
「謝るのであれば許そう」

なんか上下関係が…………

「まぁ、話は終わりということで…」
「シオン殿…!色欲の騎士団が元に戻った際は宴を開くつもりだ。君もそこに参列してもらえないか?」
「…少しだけ考えさせていただきます。」


そうして俺らは部屋を出た。



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