リバース・シリーズ

シオン@makia-to

『王都とギルドと一師団 4話~5話』

「まずお聞きします。あれはどういうことですか?」

俺は馬車にゆられて王城へ向かっていた。
その馬車の中、さきほどの事件について俺はイヴ王女に説明を求めていた。

「…今から話すことは他言無用でお願いできますか?。」
「無論です。」
「あの騎士団『色欲の騎士団』は我が国を守るために結成された七師団の一つであることはすでにロイゼンの説明でおわかりになっていると思います。」
「えぇ…」
「その七師団の中でも女性しか入れない師団それがあの『色欲の騎士団』です。ですが最近…彼女達の様子が不可解だったのです。」
「不可解…?」
「いきなり遠征に行くなどと言い出したり、時にはほかの七師団の一つと決闘をしたり。挙句の果てには街の人々を奴隷のように自分の元で働かせたりなど…」

そりゃひでぇな。でもなにが不可解なのだろうか…?

「元々彼女達の騎士団は街の人々からの信頼も厚くまさに騎士団の鏡とも言うべき存在だったんです。」
「なるほど…。」

いきなりそんな騎士団が暴挙に出るなんておかしいな
さっき彼女の治療中に感じた事と関係が…
あとで調べてみるか。

「ではさっきの少年は…」
「おそらくあの少年の両親を彼女達が連れていったのでしょうね…」
「ーほかの六師団はどうしているのですか…」
「ほかの六師団のうち二師団は隣国のエルグランデに…残りの四師団は同じく先程のあなたのように暴挙とかした『色欲の騎士団』を止めたりしています。」

刹那…俺の脳内に1つのワードが浮かび上がった。

「イヴ…俺には魔法の知識がそこまで無い。でも
『呪い』って本当にあるものなのか?」
「え、えぇ。ほかにも呪縛などというものもあります」
「…………イヴ。この件   『色欲の騎士団』が暴挙とかした理由の調査。および解決法を俺に一任してくれないか…?」

もし、もし呪いなら…この手の異世界ものなら。
彼女たちにかけられたかもしれない呪いは並大抵の魔術師じゃ解呪できるわけない
俺がやるしか…ねぇな。

「どうにかできるのですか?」

とロイゼン

「できるかどうかは正直まだ断言できません。
ただもし俺の予測があっていれば彼女たちはいずれ国を滅ぼすかもしれない。思い過ごしならそれでいいのです。でも俺はさっき彼女を治療した時妙な感覚に襲われましたことが気になるのです。」

俺の言葉にロイゼンと顔を見合わすふたり。
そしてイヴが口を開いた。

「分かりました。この件、シオンに一任します。
どうか彼女たちを救えるのであれば救ってください。」

____________________________
_________________………………



「着きました。イグニス城です。」

5分ほどだろうか俺たちは遂にイグニス城へと到着した。

「ここが…イグニスの城か。」

ドアを開けると数名のメイドが列をなしてこう言った

「「「おかえりなさいませ。イヴ王女殿下  」」」
「ただ今戻りました。さっそくですがお父様はどこにいらっしゃるの?」

と1人のメイドが歩み寄ってくる。

「はい。国王様は現在自室で仕事に追われております。」
「ではお話があるので呼んできてください。」
「わかりました。ではイヴ様は自室にてお待ちください。」
「えぇ。そうさせてもらうわね。」

そうしてイヴは俺とロイゼンを置いて先へと行く。

「えっと…俺はどうしたらよいのでしょうかね。ロイゼンさん?」
「そうですね。さっそく遺跡に行ってみますか?」
「え、すぐ行けるんですか?それならすぐにでも」
「承知致しました」

そうしてロイゼンさんはメイドに指示を出し松明と方位磁針のようなものを持ってきた。

「では参りましょうか。遺跡はこの城のすぐ地下です。」






〜大地の遺跡〜

「すごく薄気味悪いですね…」
「えぇ。ここにはたまに魔物も湧くので騎士団の訓練場にもなっていますよ。」
「へぇ…」

俺はロイゼンに案内され城の地下にあるという遺跡に向かっていた。
てか城の真下に魔物湧くってのもどうかと思う

「ここは代々受け継がれてきた土地だったのですが、昔1人の魔術師が間違って城の地下に続く穴を開けてしまったのが原因でこの遺跡が発見されたのです。
それ以来…多くの宮廷魔道士が調査に赴きましたが成果は今でも得られずじまいのままです。」
「てことはかなり年月が?」
「ええ。今年で発見されてから340年になると聞いております。」

340年……すげぇな。

「シオン殿…着きました。」

ロイゼンの先。明かりで僅かに照らされた壁には話で聞いた通りの古代文字が描かれていた。
そこで俺は絶句した…似ているっていうレベルじゃない。まんま日本語じゃないか…!
 
『ど、どういう事だ…。日本語…。そりゃロイゼンさん達が読めるわけないよな。漢字だし…それに数字まで…一体誰が。ただの偶然か…それとも意図的なものなのか…』

「シオン殿…?もしかして読めるのですか!?」

「ここに眠るは古より眠る秘宝なり。
汝、秘宝を欲する者よ。
さぁ唱えるといい…【約束の言葉】を
さすれば扉は開かれる。
【約束の地】への扉は今、開かれる。」

そこで文字は切れていた。
ほかの肖像画にはドラゴンの絵や太陽が飲まれるような絵が描かれていた。

「ロイゼンさん。約束の地ってなんですか?」
「ーーー約束の地……それは今から約600年前…魔族との共生をしていた人々が住んでいた場所と伝えられております。その場所に行けば世界の全てが眠っているとされほとんどの冒険者の桃源郷となっていますがいまだに発見はされておらずただのおとぎ話として今に伝わっているのです。」

そういってロイゼンはさっきメイドさんから貰っていた方位磁針のようなものを俺に渡してきた。

「これはこの遺跡で発見されたコンパスのようなものです。私共にはこれの使い方がわかりません。
これはあなたにお預けします。 」
「これは……」

それはロイゼンの言う通りただのコンパスのようだった。だが少し違う気もする。
普通のコンパスは一定の向きを示すがこのコンパスは
指針がぶれていた。

『なんだ…これ? コンパスにしては少し違う。それに約束の言葉っていう表現も気になるな……』

「ロイゼンさん。もうひとつ、約束の言葉に聞き覚えありませんか?」
「約束の言葉…ですか?そうですね。この国に伝わる言葉はありますが…」
「なんて言葉なんですか?」

俺は問う

「LOVE&Peaceと伝えられています。残念ながら私にはその意味が全く理解出来ていません。」

『LOVE&Peace……愛と平和』

「LOVE&Peace…愛と平和を。」

口に出してみる。するとその石版がいきなり崩れ始めた。いや正確には消え始めたの方がしっくりくる。
そうしてしたへ続く1つの道が切り開かれた。

「ロイゼンさん。俺はこのまま下へ向かいます。」
「…お供しますよ。シオン殿」

そうして俺たちは下へと向かっていった。




どのくらい歩いただろうか終わりの見えない下へと続く階段。
俺たちはひたすら下へ下へと向かっていた。


「……………………………………」
「……………………………………………」

無言が続く。かれこれ30分ほどこの状態が続いていた。

「……………シオン殿。」
「あ、はいなんですか?」

口を紡いでいたロイゼンが話しだす。

「イヴ王女のこと。本当はあのような結婚の申し出を断りたいのではありませんか?」

いきなりだった

「え、いや……あの。」

俺はしどろもどろになってしまった。

「正直に言っていただいて結構ですよ。イヴ王女があのような気まぐれなことを言うのは珍しくないですし。」

そうなのか…!?じゃ、じゃあお言葉に甘えて

「え、えぇ。まぁ。できることであれば…というよりハッキリとお断りさせていただきたいです。」

俺はキッパリと言った。しどろもどろで応えれば相手に失礼だ。

「理由……があるのであればお聞かせいただきたいのですが。よろしいですか?」
「えぇ。   俺の故郷……そこには俺の恋人がいるんです。昔からの腐れ縁みたいなもので、先日お話した学園でもパートナーとして昔から常に2人で1人みたいな関係でした。」
「その恋人は……」
「えぇ。まだ生きていると思います。今は会うことはできないですが…。」
「そういう事でしたか……。」
「会えないのであればもう忘れてしまった方がいいのかも知れない。でも俺はどうしても忘れることができないんですよ。もしかしたらあいつは俺のことをまだ忘れていないのかもしれない。そんな状態でイヴ王女の結婚を受けてしまったら……なんだかあいつの事を裏切るような気がして。今回のこの件…ギルドカードの再発行手続きの書類を受け取ったら俺は周辺の街にでも逃げようかとも考えていたんです。」

ロイゼンは歩きながら無言で話の続きをうながす。

「でも俺はイヴ王女のあの笑顔を見た瞬間、イヴ王女に対してもなんだか申し訳なくなってしまって…
自分があの時にキッパリと断っておけばよかったのかもしれません。自業自得と言われればそれで終わりです。でも今のイヴ王女を見てると今更断るの事もできなくて……     ダメですね俺って。ほんと優柔不断で」

数秒の沈黙のあとロイゼンは口を開きこう言った。

「選べないのであればどちらも選ばなければいいのですよ。どちらも選ばなければあなたが悩む必要が無い。だが…もし。あなたがどちらかを選ぶことが出来たならそれは今のあなたが1番大切にしているものですよ。自分を責めることはやめなさい。あなたがやりたいようにやればいいのです。」

ロイゼンのその一言は正直、意外だった。

「ロイゼンさん……俺は、、、」
「さて、お喋りはここまでのようです。シオン殿。これをまた解読させていただけますかな?」

話してる間に俺たちはまた先程のような遺跡に着いた

「え、えぇ……」

そして俺は松明を受け取り正面にたつ。

「ここに来ることは死を意味する。死を覚悟しない者はただちに立ち去るがよい。
'だがこの先にあるのは古より伝えられた知識の数々…そして力だ。これを欲する者は死を超えし者なり」

意味がわからん。死を超えし者?
この先に行けば死ぬのにこの先にあるものを欲する者は死を超えたもの?
矛盾しているよな……

「ロイゼンさん……」
「いきませんか?私ももう昔の血が騒ぎます。冒険者としての…ね?」
「…。分かりました。行きましょう!この先にあると言われる古の秘宝へ」



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