ヘヴンリィ・ザン・ヘヴン ~異世界転生&成長チート&美少女ハーレムで世界最強の聖剣使いに成り上がる物語~
2章29話 再会約束のパーティー(2)
「レアさん」
「? えっと……、イヴちゃん、でしたっけ?」
「わかる、わかるよ。すごくわかるよ」
「えっ? あぁ、おにぃがウザイってこ――」
「――レアさんもお兄ちゃん好き好き大好き同盟の一員なんだね!」
「~~~~~~ッッ!? は、ッッ、ハァ~~~~~~ッッ!? ち、っっっ、ちちち! 違うし! 違うし! ありえないし! なななななっっ、な、ッッッ、なに! い、っ、言っているわけ!? どこをどう見たらそんなふうに思うわけ!?」
「はい、イヴちゃん、そのぐらいにしておきましょうね?」
「うん、お姉ちゃん。うぅ、せっかく仲間が見付かったと思ったのに……」
マリアに回収されてイヴはロイの近くに立たされた。そしてその横で、マリアはしっかり、イヴが次に移動しても制御できるように構えておく。まさかイヴが【光化瞬動】を使うわけがない、と、信じて。
余談ではあるが、レナードはレアによって、彼女に対してギクシャクしてしまい、レアはイヴのせいで、レナードの顔を直視できないほど恥ずかしくなってしまっていた。どうやらもう、勝手に傍観していたのは自分たちではあるのだが、それでも自分たちのターンに入っても問題はなさそうだった。
「ティナちゃん」
「は、はい!」
「まずは、ありがとう。大切なおじいちゃんの形見を、ボクたちに貸してくれて。まぁ、少しビックリしちゃったけどね。ティナちゃんのおじいちゃんが元特務十二星座部隊の御方だったなんて」
「す、っ、みません……。自、分、に、自、信……が……なくて……。比べられ……るの、が……怖く、て……」
ティナの祖父がアリシアの先代の【金牛】であること。
すでにロイたちはそれを教えられていた。故人のアーティファクトを拝借するのだから、許可をいただく際、遺族について多少なりとも知るのは当然ではあるが。
「ううん、怒ってないし、むしろ、ボクたちの方こそ謝らなくちゃいけないし、少なくともボクはそう思う」
「むっ、それ、っ、て……、前回と……」
一瞬、ティナの顔が不機嫌そうになる。まるでロイのことを叱るようなジト目で上目遣いをしてみせた。
しかし、彼女の言いたいことを先回りして、ロイはゆっくり、首を横に振ると――、
「前回の謝罪とは別の謝罪だよ。どうやら、ボクと謝罪は腐れ縁ってことらしいね。いろんなことに罪の意識を覚えちゃうから、謝る回数もそれに比例しちゃう、ってことかもしれないけど」
「それで、謝罪、って……」
「戦争に勝つためには必要なことだとは思うけど、それでも、祖父の形見を一般市民の女の子から奪うんだ。一時的なもので、対価もきちんと払われるとはいえ、それでも、ありがとうの次にはゴメンなさいを言っておきたいかな、って」
わずかにロイの顔に陰りが生まれた。可能なら、一般人の所有物なんて借りたくないし、それがまだ酒も飲めない女の子の祖父の形見なんて、なおさら許せないし、そもそも、戦争なんてしなくてすむなら、そっちの方がいい、と、言いたげに。
それを危ぶみ、ティナは彼に確認しておくべきことを確認しようとする。彼の誠意を知るために。
「先輩……、約束……を……覚えて……く、れてい、ま、すよね……?」
「うん、今度こそ、ボクは自分の足で戦場から帰ってくるよ」
「――――っ」
「ティナちゃん、言ってくれたからね。約束を、口癖で終わらせないでください。成長したと自分で思うのなら、それを行動で証明してください。って。守ってみせるよ、キミと約束したことは、全部」
「~~~~っっ、はい!」
ネコ耳をピクピクさせて、シッポを穏やかにフリフリ揺らすティナ。
これはティナ、かなり満足したな、と、確信すると、次にタイミングを見計らっていたリタが――、
「センパイ! いや、センパイだけじゃなく、イヴや、他のみんなも聞いてほしい!」
「? どうし……た、の、リ、タちゃ、ん?」
「アタシはずっと考えていた! センパイたちが無事に帰ってくる可能性を少しでも上げるため、アタシにはなにができるんだろう、って!」
「話が長くなりそうな予感がするんだよ……」
「そして無事に帰ってきたら、アタシやティナやヴィキーは、そのことをきちんと祝わなくちゃいけないんじゃないか、って!」
「おっと、ですが早速、話の結論が見えてきましたね……」
「人も、エルフも、クーシーやケットシーだって、苦難の向こうに幸せが見えると頑張れる! 国民全員、誰しも幸せを感じる食べ物とは、なにか!? ヴィキーっ、答えは――」
「――焼肉、ですわね♪」
「そのとおり! と、いうわけで! みんなが帰ってきたらみんなで焼肉パーティーだ! そして、欠席はもちろん、今回は遅刻も認めない! 以上!」
にひっ、と、リタは元気よくシッポをパタパタさせながら言い切った。
「リタちゃん、前回のパーティーで味を占めたね♪ また国王陛下からお肉がもらえるとは限らないよ? シィは出席するけど」
「向こうに着いたら痩せると思うし、私も出席で」
「わたしもだよ! 一度、光で焼いたお肉とか食べてみたいんだよ」
「わたしもですね。お外でお肉をいただきながら飲むお酒は格別ですし」
「会場はわたくしが用意して差し上げますわ! そして、会場を用意した者が欠席するわけにはいきませんわよね?」
「この不肖、クリスティーナ、当日は全力で皆さまのためにお肉を焼きまくります! 給仕はわたくしにお任せください!」
と、ここで復活したレナードがやってきて――、
「ロイ、今度こそテメェを酔わせて、そうだな、真っ赤な顔に落書きして写真撮ってやる。あぁ、そうだ。俺より先に潰れるのが怖ぇなら、欠席でもかまわねぇが?」
「フッ、さっきまで、妹に一杯食わされて赤面していたのは、どこのどなたですか? 先輩の方こそ、お酒なんて飲んだら全身の血液が顔に集中するのでは?」
「上等だ、参加費の他に酒を持参するぜ」
「望むところです。ボクも参加費の他にお酒を持ってきます」
「うわっ、やめてよ、おにぃ。おにぃが頭痛でダウンしたら、誰が世話すると思っているわけ?」
少し離れたところから、レアがレナードをジト目で睨む。
「あっ、そうだ。リタ、もしよかったらレアさんも――」
「バカ! ロイ、やめ――」
「いいに決まってんじゃん! 参加者が増えれば、それ以上にお肉も増える理論だ!」
「本当ですか、王子様!? ありがとうございま~す♡♡♡」
微妙に収集が付かなくなってきた別れの会。
少年少女たちの賑わいを微笑ましそうに眺めていたアリシア、シャーリー、エルヴィスの3人。アリシアはふと、親指と人差し指の先端をあわせた金貨のマークをエルヴィスに向ける。シャーリーは自分も肉が食べたいからだろうが、じっとエルヴィスから視線を逸らさずコクコクと頷くばかり。結果、エルヴィスは溜め息を吐いて肩をすくめると――、
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