ヘヴンリィ・ザン・ヘヴン ~異世界転生&成長チート&美少女ハーレムで世界最強の聖剣使いに成り上がる物語~

佐倉唄

2章20話 遅延限界のステータスオープン(4)



【 シーリーン・ピュアフーリー・ラ・ヴ・ハート 】


 魔力保有総量:B 魔力感覚数値:D
 演算処理速度:E 並列演算限界:E
 魔術出力限界:F 運用効率限界:F

 無属性魔術適性:5 炎属性魔術適性:2
 水属性魔術適性:4 風属性魔術適性:4
 雷属性魔術適性:2 土属性魔術適性:2
 光属性魔術適性:6 闇属性魔術適性:1
 時属性魔術適性:1 空属性魔術適性:1


 習得済み魔術

 第3階梯 : 【魔弾】 【強さを求める願い人】 【聖なる光の障壁】 【優しい光】

 第2階梯 : 【戦場索敵瞳】 【黒より黒い星の力】


「「「「「「「――――――」」」」」」」
「ご、ゴメンね、みんな……。シィ、才能なんて全然、なにひとつ持っていないけど……、それでも、足手まといには絶対にならないから。重力操作の魔術だって、一昨日、なんとか覚えてみせたし。――、――、って、あれ?」

 ほんの少しだけ泣きそうになったが、それでも気丈にシーリーンは笑みを浮かべてみせた。
 が、なぜか全員、シーリーンの謝罪に聞く耳を持たず、一様に彼女のステータスを穴が開きそうなほど見つめるばかり。

「シィ、これ、逆にすごいね……」
「っ、ろ、ロイくん……っ、そ、れって……」

 今度こそ本当に泣きそうになるシーリーン。
 当然だ。最愛の男の子に、遠回しに自分の才能をバカにされたように聞こえてしまったのだから。
 が、ロイはすぐに自分の失態に気付き――、

「あっ、シィ、ゴメン! 本当にゴメン! 言葉が足りていなかったけど、今のは皮肉じゃなくて、本心からすごいって思ったんだ!」
「ぐす、っ……、ど、どういうこと……?」

「回答――私めがラ・ヴ・ハート様と魔術に関して同一の条件で戦闘を迎えたら、スライムにもジェレミアのヤツにも、恐らくほぼ確実に負ける。と、いうより、なんでこれしか魔術を使えないのに勝ててしまうのか意味不明なレベル。アリシア様は?」
「私も同様です。この魔術しか使えないのに今、こうして次の任務に臨めるぐらいピンピンしているのは、ハッキリ言って驚異的です。怖い言葉を使わせていただきますが、普通ならとっくの昔に死んでいます」

「そういえば、なんでシーリーンさんとの入団試験で、ジェレミアは幻影魔術にこだわったのかな? シーリーンさん、だいぶ運がよかったと思うけど……自分しか使えない魔術に対する優越感の誇示? それとも自信過剰?」
「それは違うよ、イヴちゃん」

「えっ?」
「こだわるにはこだわるだけの理由がある。少なくともシィはそう考えている。例えば【雷穿の槍】は攻撃力も強いし、速度も雷速。でも、どうしても点の攻撃になってしまうよね? 対して、【炎斬の剣】は線の攻撃で【風打の槌】は面の攻撃。じゃあ【幻域ファントム・ヴェルト】はどうかというと――」

「オレの星面波動と同じく立体の攻撃、だな。しかも、視界に入れて詠唱を終わらせるだけで相手を倒せる完全な初見殺しだ」
「つまり、発動すれば絶対に当たって、絶対に相手を気絶できる魔術ってことだね。実際、シィだって最終的にはキャストされちゃったし。まぁ、要するに、ジェレミアさんも気付いていたと思うの。逃亡する相手には【魔弾】なんかよりも、本当の本当に【幻域】の方が効果的だって。もちろん、そういうシチュエーションを作ったのはシィだけど♪」

 えへへ、と、シーリーンは可愛らしくはにかんでみせる。
 が、ここにいた全員、彼女の機転の良さに言葉を失っていた。

「あ、あれ? シィ、なにかおかしなことを言っちゃった!?」
「だ、大丈夫よ、シィ。なにも間違ったこと、言っていないから」

「明らかに魔術師よりも軍師向きの女の子なんだよ……」
「参謀には戦果を大なり小なり挙げないと昇格できない。非常にもどかしいですね……」

「生まれて初めて、コネで誰かを七星団の上層部にねじ込みたいと思いましたわ……」
「それは少し言い過ぎだと思うが……、とはいえ少なくとも、俺が戦場でシーリーンみたいなヤツと会ったら、一目散に逃げるだろうな。使える魔術の種類がわかっていないならなおさらだ」

「そ、そんな! みんな、シィのこと持ち上げすぎだと思う! 変に自信過剰になっても、戦場でしくじっちゃうだけだから! ――コホン、あのね? シィはただ、自力で勝てないから、周囲のモノを利用しているだけなの。特別すごいことなんて、本当になにもしていないんだよ?」
「いやいやいやいや! シーリーンさん、いいですか? 周囲のモノを利用するというのは、あなたが思っている以上にすごいことです! 日常生活の中の話なら普通にわかりますが、格上相手との魔術戦闘の最中に即興でなんて……。そもそも、シャーリーさんとベティさんにも、それは評価対象だって入団試験の時、一度言われたはずでは!?」

「は、はい……、でっ、ですが、お言葉ですが! 評価対象であることはシィにも理解できましたが、程度の差こそあれ、似たようなことは誰にでもできる、と、シィは考え、自分を戒めることに成功した次第です!」
「頭痛――誰にでもできるわけがない……。人員、作戦考案と準備の時間、あとは最低限の材料があれば、まだ話は変わってくるが、なんでスライムのあれとジェレミアのあれを、自分以外にも思い付くと思うのか……」

「やはりイジメはよくないな。自分に対する過大評価も戦場ではマイナス要素だが、かといって、ここまでくると謙遜も懸念事項になってしまう」

「ま、まぁ! あれだよね、シィ? 戦場術策の仕掛けをみんなはすごいと思っていても、シィはそれに妥協せず、こうして重力操作を使えるようになったんだよね?」
「うん! みんなに比べたらまだまだだけど、シィもこれからもっと頑張るからね♡」

 自分も自分で大概、固定観念に囚われている自覚があったが、ひとまず、自分のことを棚に上げて、ロイはシーリーンが本来褒めてほしかったポイントに話を繋げてみせる。
 もちろん、シーリーンは最愛のロイに褒められてすごくすごく嬉しそうに、隣に座っていた彼の腕に抱き着いた。

 あまりにも嬉しそうだったので、彼女の頭を撫でてあげるロイ。
 シーリーンは幸せすぎて「えへへへ♡♡♡」と、ついついにやけてしまう。

「さて、だいぶ長くなってしまいましたが、これにて会議を終了したいと思います。最後に質問はありますか?」
「…………あっ」

 と、ロイの腕に抱き着いていたシーリーンが声を漏らす。
 そしてロイから離れておずおずと挙手すると――、

「あのぉ……」
「はい、シーリーンさん、どうぞ?」

「ど、っ、どんなに初歩的な質問をしても、そのぉ……」
「えぇ、怒りません。むしろ疑問に感じていることを放置する方が問題です」

 ニッコリ優しく微笑んでみせるアリシア。
 彼女の微笑みを見て、シーリーンは一度、大きく深呼吸して少しでも緊張をほぐすと――、

「――聖剣と魔剣、それと、アーティファクトの違いって、な、っ、なんです、か?」


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