ヘヴンリィ・ザン・ヘヴン ~異世界転生&成長チート&美少女ハーレムで世界最強の聖剣使いに成り上がる物語~

佐倉唄

2章19話 遅延限界のステータスオープン(3)



「お姉ちゃん、この魔術の名称の後ろに付いているヤツってなに?」

「先ほど、弟くんが第4階梯に至るために必要な4つの技術を教えてくれましたよね? 『軌道残留』とか『加速跳弾』というのは術式を編纂して得られる効果なんですけど――」
「――マリアさんの場合、術式を編纂したあとの魔術でさえ、第4階梯に至っている魔術が複数ある、ってことね。流石、高等教育学生です。中等教育の学生じゃこんなこと、9割ができませんし」

「ロイくん、どういうこと?」
「アリスが言っているのは……例えば姉さんは【魔弾】に対して『軌道残留』を付与することができるけれど、『軌道残留』を付与した【魔弾】をさらに詠唱破棄、並列発動、脳内貯蔵、術式編纂することができるんだ」

「助言――イヴ様と比較するから劣って見えるだけであり、マリア様も本来、人間という種族の中では上位10%以内、もしかしたら5%以内にも匹敵する才能の持ち主のはず。元気出してください」
「あまりこういうことは言いたくありませんが、種族による才能の差はどうしても発生してしまいます。が、それでもエルフであるアリスの本当にほんの少しだけ下、というステータスは本来、とても素晴らしいモノです。これからもぜひ、頑張ってください」

「~~~~っ、はい! ありがとうございます!」
「…………」

「おい、最後はレナード、お前だけだぞ?」
「え、エルヴィスさん……」

「? どうした? なにやら気まずそうな感じだが……」
「……いえ、では、次は俺が」


【 レナード・ハイインテンス・ルートライン 】


 魔力保有総量:C 魔力感覚数値:B
 演算処理速度:A 並列演算限界:A
 魔術出力限界:A 運用効率限界:A

 無属性魔術適性:6 炎属性魔術適性:3
 水属性魔術適性:2 風属性魔術適性:4
 雷属性魔術適性:4 土属性魔術適性:2
 光属性魔術適性:5 闇属性魔術適性:3
 時属性魔術適性:1 空属性魔術適性:1


 習得済み魔術

第4階梯 : 【魔弾】 【魔術大砲】 【強さを求める願い人】 【竜、咆哮波動の如き飛剣】 【戦場索敵瞳】 【魔術明察瞳】 【聖なる光の障壁】 【優しい光】 【黒より黒い星の力】 【火炎魔弾】 【氷塊魔弾】 【疾風魔弾】 【雷電魔弾】 【岩石魔弾】

第3階梯 : 【存在よ、限りなく虚無となれ】 【術式よ、凪ぎを極めよ】 【人形の心得】 【硝子の心得】

第2階梯 :  【咲き誇れ、万象灼き斬る日光花】 【炎斬の剣】 【氷守の盾】 【風打の槌】 【雷穿の槍】 【土刺の矢】

第1階梯 : 【絶光七色】


「「「「…………ぇぇ……」」」」
「ハッ、まぁ、普通そういう反応だよなァ」

 微妙に困惑するロイ、アリス、マリア、クリスティーナの4人。
 翻り、その困惑された本人、レナードは少しだけ、そして微妙に自虐的に笑ってみせた。

「? ロイくん、これってどういうこと?」
「うぅ……、みんながなんで戸惑っているのかわからないんだよぉ……」

「……全属性の魔術適性の合計値、これは姉さんの方が上だから、使えるようになれる魔術の種類は姉さんの方が多いんだけど……」
「その……、あれですわ。もちろんレナード様が騎士ではなく魔術師志望で、しっかり勉強している場合に限りますが、もし、【魔弾】とか【強さを求める願い人】とか、双方が互いに使える魔術のみで技量、スペックを競い合ったら……」

「…………えぇ、負けですね、わたしの……」
「あぁ……なんか、あぁ、悪ぃな」

 うなだれてしまうマリア。
 割と真面目にショックが大きかったらしい。彼女はこの会議が終わったあと、シーリーンかアリスを連れて酒場に行くことを決めた。ヤケ酒である。

「っていうかレナード先輩! そのぐらい才能があるのに騎士なんですか、だよ!」
「まぁ、アスカロンの使い手に代役はいねぇからな。俺自身、最初から騎士の方がカッコイイと思っていたとはいえ、それとは別に、俺が魔術師になったら宝の持ち腐れだろ」

「あと、先輩……、ボクが使えない炎、水、風、雷、土のベーシック魔術を……」
「まぁ、気にすんな、ロイ。期末試験で点数がほしかったから習得したが、ぶっちゃけアスカロン、テメェの場合はエクスカリバーの方がよっぽど汎用性が高いしなァ……。究極的にはロイと敵の実力差によっていろいろ変わるが、聖剣の波動なら【絶光七色】のテンスキャスト程度なら相殺できるはずだし、飛翔斬翼なんて、魔力反応が100%検出されねぇ【竜、咆哮波動の如き飛剣】の上位互換そのものだ」

 よりにもよってレナードに気にするな、と、言われてしまったロイ。彼は思わずうなだれて自分の魔術適性の低さを改めて呪う。そもそも、今のような反応をレナードにされるぐらいなら、いつものように挑発してくれた方が、まだ気持ちが楽であった。
 無論、適性では上回っているものの、基礎スペックで劣っていたマリアも微妙に気分が沈んでいる感じである。

「おい、アリシア、司会はお前だぞ? どうにかしろ。結果的にダウナーになっている部下が1人増えただけじゃないか」
「こ、コホン! ひとまずこれで全員のステータスを――」

「否定」
「えっ?」

「指摘――まだラ・ヴ・ハート様がステータスを公開していない」

 瞬間、ここに集まっていた全員の視線がシーリーンに集中する。
 シーリーンはとぼけた演技をして自分の背後に誰かいる設定で振り返るが――、

「シィ、とぼけたふりをしても無駄だよ?」
「ひぅ……っ、ロイくんがイジワルな男の子の笑顔をしている……」

「こらっ、弟くん」
「姉さん?」

「ダメですからね、弟くん。女の子に、それも恋人にそんな顔をしては」
「ま、っ、マリアさん! シィのことをかばって――っ」

 ぱぁ、っと、ヒマワリが咲くように嬉しがるシーリーン。
 だが彼女の想像に反してマリアは――、

「シーリーンさん、あとでオススメの胃薬を紹介してあげますね。道ズレです」
「ほぇ?」

「――【黒より黒い星の力】!」
「あぁ、あああああ! シィのステータスがぁ!」

 マリアがシーリーンのステータスを引っ張って奪ってしまう。

「あばばばば……」
「シィ、恥ずかしいのはわかるけれど、仲間の戦力を把握しておくのは大事なことよ? 恥ずかしくても我慢しましょう? ねっ?」

「うぅ、ゴメンなさい……。コホン、マリアさん、みんなに公開しても大丈夫ですっ」
「えぇ、では――」


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