ヘヴンリィ・ザン・ヘヴン ~異世界転生&成長チート&美少女ハーレムで世界最強の聖剣使いに成り上がる物語~
2章7話 姉妹開示のアンサー(3)
間抜けな声をあげるマリア。
緊張していた雰囲気が、一気に緩慢としたモノになってしまった。
「人格、言い換えれば価値観かな? グーテランドに生まれたあとのわたしをイヴ、それよりも前のわたしを聖理と定義したとして……、えぇ、っと……、イヴとしての人格、価値観、思考回路も、聖理としての人格、価値観、思考回路も、99・999%以上、同一のモノなんだよ」
「イヴ、聖理の記憶はブラッディダイヤモンドの時点まで、今のイヴからは断絶していたんだよね?」
「うん、そうだよ!」
「実際、イヴは今、普通に会話しているけど、10万年分の記憶が一気に脳みそ、前頭葉に蓄積されたら、正直、廃人になってもおかしくないと、その……」
「ぅ~ん……、説明が難しいんだよぉ……。ひとまず、お兄ちゃんだけにでもニュアンスを伝えて、他のみんなにはお兄ちゃんの方から噛み砕いて説明してもらった方がいいのかなぁ……?」
「その方がいいでしょう、会議が滞るどころか、まだ始まってもおりませんし」
「お兄ちゃん」
「なにかな?」
「前世でプログラミングってあったよね?」
「あっ、わかった。同一のプログラムを2つ用意して、それぞれに別々の課題を与える。それで、最終的には別々の課題を与えたわけだから、出てくる結果が違ったとしても、全ての判断基準は一緒、片方のプログラムはもう片方の答えを理解できる、ってこと?」
「うん! 無事に説明できたようでなによりだよ!」
「えぇ……、なにかが致命的におかしいですわ……」
「オイ、アリス……、今、イヴは説明したか?」
「どこからどう見てもしていません……。ロイが勝手に全てを理解しただけだと思います……」
「あれ? でもそうすると、ボクたちは人間だから、時間の経過、経験してきた出来事によって価値観が変わるはずなんだけど……」
「あっ、お兄ちゃん、それはね――」
「――あっ、そうか。全ての記憶を、一瞬で、一斉に思い出したわけだから、人格、価値観、思考回路が変化するに至った出来事と、さらにそれに至るまでの人格、価値観、思考回路を全ての始まりまで辿れるんだ。確かにそれなら具体的な比率はいつか、誰かに調べてもらうしかないけど、イヴと聖理の齟齬を最小限、自分でも違和感を覚えないし、周りから見ても全く気付かないような範囲に留められるのかな?」
「おおっ! 流石お兄ちゃん!」
「ロイくん……、もうイヴちゃんからヒントさえもらわずに……」
「以心伝心とは、まさにこのことでございますか……」
「嗚呼……、劣等感で死にそうですね……」
「マリア様、お気になさらない方がよろしいですわ。学院の成績を鑑みるに、マリア様もかなり優秀なのですから」
「それでロイさん、つまりどういうことでしょう?」
アリシアが促すと、ロイは一度、軽く呼吸を整えて――、
「例えるなら――、同じ術式で動くゴーレムを2体用意したとします。それぞれに別々の経験を積ませたとしても、互いに互いの記憶を1から10まで教え合えば、互いに互いを理解できるはずで、極論、2体のゴーレムを合体できる――、って感じですかね」
「じ、っ、ぁ、じゃあ! イヴちゃんは!」
「うん! わたしはわたしだよ♪ 心配かけてゴメンね、お姉ちゃん」
「よ、よかった……」
心底安堵するマリア。
頬は見るからに緩み始め、目尻には涙さえ浮かぶ。
「1ついいか、イヴ?」
「おっと、今度は先輩からだよ」
「今、ロイが説明したのは、あくまでもお前がイヴか、それとも聖理か、それに対する説明だ。結果としては、俺たちがたった1つしかない人格に、勝手に2つの名称を付けていた、みてぇなオチになったが――、――、どうやって混乱を避けた?」
「どういうことですの、レナード様?」
「ロイも言っていただろ、廃人になってもおかしくない、って。10万年分の記憶って……、神竜や古竜でもそこまで長生きしねぇだろ」
今度はマリアではなくイヴ本人にみんなの視線が集まった。
「う~ん……、それに関して言えば、光属性の魔術でなんとかなったというか……。最初に転生した世界で魔術を一定水準以上、頑張って学んで、2回目の転生の時に女神様から術式を教えてもらい、それを長年、無意識のうちに永続キャストしていたというか……」
「なんとかなるわけねぇだろ……」
「アリス、本当に初歩的な質問だけど、光属性の魔術って、まぁ、文字通り光を司る魔術だよね?」
「えぇ……、シィの言うとおりよ。お姉様はなにかご存知ですか?」
「いえ、流石に私にもよくわかりません……。ロイさんはなにかご存知ですか?」
「「あっ」」
アリシアが再度、ロイに対して質問をぶつけた。恐らく、実益を兼ねているとはいえ、先ほどのリベンジだろう。
無論、間抜けな声を重ねたのはヴィクトリアとレナードである。
が、そもそも声量が小さかったこともあり――、
ロイの耳にそれは届かず――、
ロイはわずかに黙考して――、
「――光属性の魔術による、疑似的な任意のパルスの再現。より具体的に言うなら、前頭葉から側頭葉に流れるトップダウン信号、そのようにボクの前世で、向こうの脳神経科学の分野で呼称されていた脳内検索信号の操作。可能性があるとしたら、恐らくそれかと」
瞬間、またもやアリシアは両手で顔を覆った。
そして同時に、ロイを相手に知識比べをしてはならない、と、固くそう誓うのであった。
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