ヘヴンリィ・ザン・ヘヴン ~異世界転生&成長チート&美少女ハーレムで世界最強の聖剣使いに成り上がる物語~
2章1話 獣耳少女のアフェクション(1)
「リ…………タ、っ、ち、ゃん……っ! お、願、い……っ! 助け、てっ! 一緒にき…………て! セ、ン、パ……イ……の……お……部屋、っっ、にお呼ばれ……され、ちゃった……っっ」
「いやいやいや! アタシがセンパイの部屋にお邪魔しますしたら、謙遜じゃなくてホントに邪魔になるだけじゃん!」
時は遡りダイヤモンドの月の29日、火曜日の午後――、
ブラッディダイヤモンドでの被害を免れたとあるカフェにて――、
2人の獣耳を生やした美少女が、テラスで苺タルトとパスタを食べていた。
ネコ耳を生やしたケットシーの儚げな美少女の方、彼女は元特務十二星座部隊、星の序列第2位、クラウス・ケットシー・リーヌクロスの孫娘、ティナ・ケットシー・リーヌクロス、イヴの同級生である。
淡く儚げ、そして淑やかな印象を受けるシルバーグレーの編み込みセミロング。
おっとりとしたタレ目はまるで真珠のように美しく、肌はあまり外で遊ばないせいか、驚くくらい色白だった。
加えて種族全体の特徴により身長が低く、130cm台前半の体躯は必然、ともすればティナが愛玩用のお人形に見えてしまうほど、彼女自身の純情可憐さを際立たせている。
翻り、イヌ耳を生やしたクーシーのティナとは方向性が違う美少女の方、彼女は元戦争孤児、クラウスが戦場跡地から王都に連れて帰り、とある家庭の養子になった元気っ娘、リタ・クーシー・エリハルト、ティナと同じくイヴの同級生である。
身体を動かしやすいからだろうか、いつもフリフリ揺れているオールドゴールドのポニーテール。
強気なツリ目からはどこか意志の強さのようなモノを感じ、しかし生意気という印象は一切受けない。むしろ初対面の場合でも、彼女からは一日中、グラウンドを走り回れるぐらいの元気の良さと、神様も驚くぐらいの素直さ、この2つが伝わってくるはずである。
ケットシー同様、クーシーも種族全体を通して身長が低いのだが、ティナよりもリタの方が運動している分、背丈が大きそうなものなのに、実は彼女のそれは120cm台後半しかないのである。
差し詰め、ティナが愛玩用の高級ドールなら、リタは愛玩用のペット、といったところか。
ちなみに胸に関して言えば、ティナが平原なのに対し、リタは『種族特有の身長と比較して』リンゴだった。要するに、クーシーとしてはありえないレベルで巨乳、ということである。
「で? 具体的に手紙にはなんて書いてあったの?」
「――っ、ぁ、っっ、ぅ、ぅ……コホン、『どうしても話したいことがあります』『用件があるのはこっちなのに……、本当に申し訳ないと思っています』『でも……、ボクが国外追放される前に、ボクの部屋にきてくれませんか……?』『何卒、お願いします……』――って」
「あぁ~、なるほどぉ、そういう……」
「り、りりりり、リタ、っっ、ちゃん! こここ、れ、っ、って!?」
「まぁ、しゃざ――」
「――――告白、か、なぁ……?」
瞳を潤ませ、こそばゆそうに頬に乙女色を差すティナ。
瞬間、リタは物凄く物凄い顔をした。
そして思わず俯いて、眉間を指でもみほぐす。
(おかしいなぁ……。アタシ、テストで赤点連発していて、ティナの方が頭良いはずなのに……。あれぇ? 大切に育てられすぎて、もしかして世間知らずだったの? 頭お花畑だったの? まぁ、貴族じゃなくても、おじいちゃんのおかげで裕福だろうし……)
「り、リタ…………ちゃ……ん?」
「あのさ、ティナ?」
「う、うん……」
「ティナってブラッディダイヤモンドで、センパイを救出するのに一役買ったんだよね?」
「~~~~~~っっ」
そう言われただけで恥ずかしいのか、ティナは顔を真っ赤に染めてしまう。
そしてコク――、コク――、小さく2回、首を縦に振るのであった。
「それで、もしかしたらワタシのこと、気になってくれたのかな、って?」
「――――ぅ、ん――」
「――――そっか」
「――――えへへ」
「――――」
「――――」
「…………」
「? リタちゃん?」
「いやいやいやいやいやいやいやいやいやいや!!!!! そんなわけないじゃん!」
「ひぅ……っ!」
「落ち着こう!? 冷静に考えよう!? 好きなセンパイの自室に招かれたからって、妄想を加速させないでいこう!? なっ? なっ?」
「ぅん……、リ…………タ、ちゃんがそ、う言……う、な、ら」
「第一に、ティナは怪我したよね? 少なくともメチャクチャ怖い思いをしたはずだよね?」
「ぅん……」
「次に、その加害者はセンパイだよね? 本人の意思には関係なく」
「…………う、うん」
「そこから導き出される結論は?」
「せ、っ、責、任、を、取、ろ…………う?」
「そう! それってつまり?」
「――女……の、子、に、怪……我……を、させちゃっ、た、ら……、結…………婚………………、ッッッ、はわ、ぅ、ぅ…………」
「はい! そこでストップ! 本当の答えは謝罪だ! 王室御用達の菓子折りと宝石と高級な絵画を差し出して、ティナちゃん、怪我をさせて申し訳ございませんでした。これはせめてものお詫びです。帳消しにできるとは思いませんが、せめてお持ち帰りください! って、王族だろうと年上だろうと頭を下げるんだよ! 少なくともセンパイの性格なら」
「そ、そんな……」
ここでようやく、ティナは告白される可能性が皆無と理解したらしい。
「とはいえ、戦争的にはともかく、乙女の恋愛的にはデメリットばかりでもないのか?」
「!? そ、れって……!?」
「完璧に結ばれずとも、罪悪感を応用する形で――」
「リタちゃん、それはいけないと思います」
「ティナが言葉を詰まらせないレベルで!? コホン、まぁ、話は戻すけど、ティナ1人で行けばいいじゃん。アタシが同行したら、2人きりにはなれないぞ?」
「うん、で…………もね?」
「んっ?」
「2…………人きりでな、に……も進、展しな…………い、よ、りは……」
「理由が消極的すぎない!?」
「ク……」
「? ク?」
「ク……レープ、3、つ」
「――――」
「――――」
「し、っ、仕方がないなぁ! 他ならぬティナの頼みだしな! うんうん!」
「わぁ――、ありが、とう、リタちゃん!」
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