ヘヴンリィ・ザン・ヘヴン ~異世界転生&成長チート&美少女ハーレムで世界最強の聖剣使いに成り上がる物語~
2章9話 マリア、報いる!(3)
マリアはニコラスが念話を終了させるのを待ち、終了したあと、アーティファクトをポケットにしまう。
そして――、
(魔力の波長が術式になり、術式の組み合わせが魔術になる! そして死神、幻想種はいわば術式の塊! さらにそして、魔術無効化魔術は、前に弟くんに説明しましたけど、魔術Aの波長に対して魔術マイナスAの波長をぶつけて、波長が停止している状態、波が1ミリも立っていない状態にすること! 即ち!)
よくも自分の可愛い妹をボロ雑巾のようにしてくれたな……ッッ、と、マリアは渾身の殺意で死神を睨み付ける。
許せるわけがないだろう。
この刹那、正真正銘、己が全身全霊を以って、その鎧をぶっ壊し、一矢を貴様の脳髄に貫通させて見せてやろう。
マリアは凄絶に笑うと――、
右手の人差し指で死神を指差し――、
今、形勢逆転の詠唱を紡ぎ始める!
「ありのままの世界よッ! あるべき姿の真実よッ! 魔術による現実の浸食を、どうか赦し給え……ッッ! 魔術師の傲慢を、どうか免じ給え……ッッ! 我は祈る! 我は願う! その贖罪によりィ、一時でも、ありのままの世界を此処に……ッッ! 【零の境地】!!! 続いて――、――、高貴なる一等星の王者ッッ、破格の輝きを以って森羅万象を純白に染め上げる! 天下に響く我が光の号砲……ッッ! 彼方に木霊す敵兵の断末魔……ッッ! この弓矢の速さは風を超越え、雷を超越え、人智を超越えて宇宙の果てに! 紛うことなき神域の一閃! 疑うことなき天上の裁き! 隣人への愛を謳い、愚かなる敵兵に嘆きの間隙さえ与えぬ極限の刹那! 指差せ! 謳え! 放て! 轟け! そして天に召されよ! 慈悲深き者よ、今、塵芥なる者を天の国に送る! 是非ともその腕にて迎え入れ給え! 【絶光七色】ンンンンン…………ッッッ!!!!!」
その瞬間、死神の空間、否、正しくは光景歪曲の現象が解除され、マリアの死神に向けた人差し指から涙が出そうなほど感動的な熱い光が奔流する。
もう、狙いを外すことは一切ない。
七色の光線は神速で大気を轟々と突き進み、そして、彼女が撃った0・0001秒後、それはついに死神の脳天に風穴を開けることに成功する。
「マリアさん……っ」
「ついに!」
シーリーンは涙ぐみ、アリスは思わず口元を手で覆う。
そして、【真なる世界の観測者】を解除するマリア。
3人が安堵して一息吐きそうになった、その時だった――ッッ、
「 minammm殺殺hi冥fffnイイsssメ逝ケ逝逝kkk死h安ンンンン命ggggアii苦kkdU痛ヴァbaammo足イイイminammm殺殺hi救ga虚ssssirrrグvabi黒赤灰天tttreve逝逝qq罰t罪nn精sn…………ッッッッッ!!!!! 」
死神がマリア、加えて彼女の近くにいるシーリーンとアリスに向かって業火の砲弾を撃ってきた。まるで太陽を砲弾として扱ったかのような圧倒的な熱量、そして大きさ。完璧に不意を衝かれた3人に回避する術はなく――、
「~~~~ッッ!? 【聖なる光の障壁】テンスキャスト!」
間一髪、アリスが魔術防壁の展開に成功する。
が、たった魔術防壁10枚、死神の攻撃の前に早々に罅割れていき――、
「今度はシィが! 【聖なる光の障壁】テンスキャスト!」
10連続で甲高い破砕音を鳴らしアリスが展開した全ての防壁は破壊され、彼女が強く吹き飛ばされ民家の壁に激突した瞬間、今度はシーリーンが魔術防壁を展開する。
が、ハッキリ言って、シーリーンの魔術の技量はアリス以下。
アリスよりも早くシーリーンの魔術防壁は崩壊し――、
「間に合ってください! 【聖なる光の障壁】テンスキャスト!」
アリスは吐血し、シーリーンも吹き飛ばされて、地面を何度もバウンドしたあと、民家の壁に激突し意識が朦朧となり、最後に残ったのはマリアの魔術防壁のみ。
しかしそれもあっという間に撃ち破られ――、
合計で30枚も魔術防壁を展開したのに蹴散らされて――、
「シーリーンさん! アリスさん! せめて肉体強化の魔術をオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ……ッッッ!」
マリアが死に物狂いで絶叫した次の瞬間。
(ダメですね……っ、やられる!)
弩ッッッ! 駕ァァ…………ッッッ! 轟オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ……ッッッ!
3人がいた一角は見るも無残な焦土と化して、防護魔術を付与されていた七星団の制服と肉体強化のおかげか、奇跡が起きて全員生きていたものの、衣類は下着まで燃え尽きて灰になり、シーリーンも、アリスも、マリアも、全身に最愛の人に見せられないほどの大火傷を負ってしまう。
しかも、それだけならまだいい。
そう、死神が3人の前に下りてきた。
彼女たちを殺す鎌を手に携えて。
と、そこに、死神と第1特務執行隠密分隊の間に、1人の幼女が歩いて割り込む。
「女性を野外で裸にするなんて、最低最悪のヘンタイですわぁ――、それに、私の可愛い妹と、その友達に火傷を負わせるなんて、簡単に死ねると思わないでくださいまし」
「「「えっ!?」」」
ダークな茶色の長髪は当たり前のようにさらさらで、上品で、綺麗で、幼女の髪なのに艶っぽく、貧民街の子供ではないことが推察できる。あれは、毎日きちんとシャワー浴びている髪だ。
サファイアのように蒼い瞳は幼い女の子らしく、あどけなくて無垢そう。
が、しかし、どこからどう見ても年齢は1桁のはずなのに、今、死神はどこか、彼女のことを警戒している?
「あっ! あなた!」
「アリス、知っているの!?」
「ロイとレナード先輩の昇進試験の前に、なぜか試験会場にいた……っ」
「そうですわねぇ――、『次の任務』のこともありますし、ここらへんで全てを明かしてしまいましょう」
すると、幼女はパチンッ、と、指を鳴らすと――、
髪が伸び、色が麗しい金色になり――、
背も伸び、胸も膨らみ――、
先刻よりもさらに――、
魔力が渦巻き――、
現れたのは――、
「美味しいとこ取りで申し訳ございませんが、ようやく、私も戦場に到着しました。特務十二星座部隊、星の序列第2位の【金牛】、オーバーメイジのアリシア・エルフ・ル・ドーラ・オーセンティックシンフォニー、標的討伐を開始しますわぁ」
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