ヘヴンリィ・ザン・ヘヴン ~異世界転生&成長チート&美少女ハーレムで世界最強の聖剣使いに成り上がる物語~

佐倉唄

3章4話 ヴィクトリア、イチャイチャしたい。(2)


 言わずもがな、ヴィクトリアはシーリーンとアリスと、間接キスよりも恥ずかしいことをしたことがある。つまり、ロイとの4Pだ。

 だが、あれは誰も知らない4人だけの夜。そして、悪い言い方になるが、身体がたかぶってしまった結果だ。
 翻って今は公衆の面前だし、まさか、同性との間接キスに身体が昂るはずもない。

「どうしたの、ヴィキー?」
「いえ、少し恥ずかしくて……」

 ロイが訊くと、ヴィクトリアは赤面して思わず俯いてしまう。
 すると、リタはまるで煽るように――、

「じゃあ、ヴィキーはいいや。代わりに、センパイ、あ~ん」
「~~~~っ」

 今度はロイに差し出されたリタのピザ。

 が、ロイが動く前に、あれだけ恥ずかしがっていたヴィクトリアが食べてしまった。
 一瞬だけあっけに取られるリタ。しかし、すぐに気を取り直してニヤニヤしてくる。

「できるじゃん、アタシとの間接キス」
「ぐぬぬ……、あまり間接キスと言わないでほしいですわ」

 が、これでようやく、ヴィクトリアとリタの間接キスに関するやり取りが終わりそうだった。
 しかし、予想外の伏兵がいたことに、ロイもヴィクトリアも気付かなかった。

「あ、っ、っ、あの……っ、先、輩っ」
「ん? なに?」

「あ……っ、あ~ん、……、……、して、ください……っ」
「えっ?」

 なんと今度はティナがロイにあ~んをする番だった。
 現に今、ティナはロイに、サラダが刺さったフォークを差し出している。

 すでに1回、ヴィクトリアはロイとリタの間接キスを防いだが、今度は相手がティナということで、反応することができないぐらい呆然としてしまっていた。
 無論、リタもこの予想外のアタックにビックリしている。

「う、うん、じゃあ、あ~ん」
「~~~~っ」

 間接キスしてしまうロイとティナ。
 ロイは大人の行為を経験しているが、相手があのいとけないティナということで、イケナイことをしている気持ちになり、一方、ティナは憧れの先輩をキスしてしまいドキドキする心臓の鼓動を抑えることができず、結果、2人とも初々しいカップルのように、赤面して、顔を逸らして、互いになにも言えなくなってしまう。

「って! 付き合ったばっかりのカップルかよ!」

 ツッコミを入れるリタ。
 それに乗っかったのは、先ほどまでリタにプンプンしていたヴィクトリアだった。

「そうですわ! なんでわたくしの時よりもいい雰囲気なんですの!?」
「それにティナ、すでにちゃっかり、センパイが口を付けたフォークで、サラダの残りを食べているし!」

 リタの言うとおり、ティナはサラダ――もとい、ロイが口を付けたフォークを口にしていた。そしてほんの少しだけ、下品にならない程度に、そのフォークを口に入れたまま、どこかぽわぽわしてしまう。
 で、その時――、

「王女殿下、リタさま、そろそろ限界でございます。自粛するように」
「はいですわ……」
「はぁい……」

「ありがとう、クリス」
「もうっ、ご主人様も、ご自分は女の子にモテるんだ、ということをご自覚ください」
「まぁ、事実としてはそうなんだけど、この年になってもそれを自覚するのって照れくさいんだよね……」

 ここからようやく普通のブランチがスタートした。

「それで、センパイはどうしてヴィキーだけとお忍びデートを?」
「い……つも、な、ら、シーリー、ンさんと、ア……リ……スさん、あと、イヴ、ちゃ、ん、と、マリア、さん、も、一緒、です、のに……」
「なんか4人とも用事があるんだって。で、それを帰宅後にヴィキーに伝えたら、ボクと出会ったのが遅い分、遅れを取り戻したいとのこと」

「あぁ~、用事かぁ」
「ここ、で、カフェしよ、う……って、イヴ、ちゃん、を、誘った、ら……その時……も……用事、って、言っていた……よね?」
「まぁ、同じ日にちの同じ時間帯でございますからね。同じ理由で断っても不自然ではないでしょう」

 と、クリスティーナがまとめる。
 次いで、今度はロイが話を始めた。

「でも、ヴィキーのお誘いを受けたのには、ボクにも理由があってね」
「そうなんですの?」

「いわゆるスローライフってヤツだよ」
「スローライフ?」

 リタがきょとん、と、小首を傾げる。

「ゆったり、そしてまったりしたマイペースな生活のこと。長い間、かなりの憧れだったんだよ。で、長期休暇をいただいたから、まず、手始めにヴィキーとデートしてみようかな、って」

「アッハッハッ、確かに、センパイの人生はスローライフとは真逆だもんな!」
「リ……タ……ちゃ、ん、笑った……ら、失、礼、だよ」

「しかし、僭越ながら、事実ではございますね」
「そうですわね。休暇をもらってからのロイ様は、学院に行く以外、ご両親と久方振りに会う、包帯を巻きに七星団の中央司令本部に行く、など、そのぐらいしかしていませんでしたもの」

「と、いうわけで、ヴィキーとのデートがスローライフのファーストイベントってこと」
「クスッ、シーリーン様でもアリス様でもなく、わたくしとですか。抜け駆けしたようで少し申し訳なさもありますが、それでも、嬉しいものは嬉しいですわね」

 まるで白百合のように、淑やかに笑みを浮かべたヴィクトリア。
 が、ここでリタが当然、むむむ……、と、難しい表情かおになって――、

「でも……センパイのことだから、長期休暇だ! スローライフを送ろう! って公言しても、結局、なんか理由があって戦いに巻き込まれそうな予感がするんだよな」
「いやいや、フラグを立てないでよ!」

「……フラ、グ、です……か?」
「旗がなんでございますか、ご主人様?」

「えぇ……、とりあえず、予見しているわけじゃないけど、かなりの確率で実際にそのとおりになってしまう前振り、とでも考えてくれればいいかな?」

 そのリタの発言が、本当にフラグか否か、それをロイが本当の意味で知るのは、あとほんの少しだけ先のことであった。


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コメント

  • 颯爽

    すろーらいふ、かむばっく!ってロイくん叫びそう………

    0
  • 紅月

    ほんの少しだけってとこで大体予想はつくw

    1
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