ヘヴンリィ・ザン・ヘヴン ~異世界転生&成長チート&美少女ハーレムで世界最強の聖剣使いに成り上がる物語~
3章2話 クリスティーナ、初々しい。(2)
少しだけビックリするロイに対し、クリスティーナの方はもはや、ビックリではなく狼狽、動揺というレベルだった。
しかし、ロイは初心なクリスティーナを安心させるように、なるべく優しい声で言い始める。
「もちろん、クリスもすごく可愛いと思うよ。清潔感がある服を着ていて、すごく見ていて好感が持てるし、スカートだって、なんていうか貞淑な感じで、クリスの品行方正さが表れていると思う。本当に、一緒にいるだけで、世界中の男性に自慢したくなるぐらいの女の子だよ。三つ編みだって、毎日大変なのに、欠かさずやっていて偉いなぁ、って、実はいつも言葉にできなかったけれど思っていたんだ」
「あぅ……、その、ブラウニーは全員髪がぼさぼさでございますので、三つ編みで髪をまとめるのは、最低限の身だしなみと言いますか……。ご主人様も、髪がぼさぼさのメイドはイヤでございましょうし……」
「確かにそういう一面もあると思う。でも、それは身体的な特徴だから揶揄することなんて絶対にしないし、ボクがなにかを言わなくても、クリスは言われる前に自分で直すでしょ? そういうのに見栄えは関係ないよ。自分を可愛く見せるために努力している女の子が、可愛くないはずないじゃん」
「~~~~っ」
「あっ、ご、ゴメン! 馴れ馴れしかった上に、上から目線だったよね! 二重の意味でゴメン! 次からは気を付けるよ!」
「い、いえ……、っ、……問題ございません。それに、その――」
「ん?」
「――嬉しかった、ですので」
テレテレしてしまうクリスティーナ。
一方で、ロイはこういうことを言う経験が昔から、多少は他人よりも多くあったが、純情可憐な反応をする彼女のせいで、巻き込まれるように背中が少しだけかゆくなってしまった。
「よかったですわね、クリス様」
「きょ、恐縮でございます……」
「そっ、それで、このままどこに行こうか?」
「はい! わたくしは庶民のカフェに行ってみたいですわ!」
と、いうことで、3人は王都のメインストリートという一等地に店をかまえていて、評判もかなりいいカフェに行くことに。
が、そこに向かいながらロイはヴィクトリアに話しかける。
「そういえば、またカフェなんだね? いや、ツァールトクヴェレの時はレストランだったけど。そんなに庶民のお店が気に入った?」
「それもありますが、ほらっ、前回レストランに行った時は、まだわたくしたち、ただの友達だったではありませんか」
「言われてみればそうだね」
「だから! 今日は改めて、愛し合っている者同士で飲食店に行ってみたかったのですわ」
「じゃあ、もしかして、よく定番になっている……」
「もちろん♪ あ~んもしますし、1つの飲み物を2本のストローを使い2人で飲みますし、なんなら、口移しをして差し上げても大丈夫ですわ!」
「全然大丈夫じゃないよね!? 公衆の面前だし!」
「とにかく、せっかくのデートなのだから、たくさん、た~~っ、くさん! イチャイチャらぶらぶあまあまチュッチュしますわよ! ねっ、ダーリン♡」
「~~~~っ、その呼び方はズルいよ……。思い返せば、誰からもそんなふうに呼ばれたこと、今までなかったし」
「ふふっ、耐性が付いていないってことですわね。大丈夫ですわ。耐性が付くまで、わたくしが何度でも、ベッドの上でなら、ダーリンって呼んで差し上げますわ」
「もう恥ずかしいからやめにしようよ、この話!?」
「レアシーンでございますね、ご主人様がそこまで女性に対してしどろもどろになってしまわれますのは」
クリスティーナが話をシメると、ちょうどそのタイミングで目的地であるカフェに到着する。
窓から店内を確認するまでもなく、木製のオープンテラスの席さえも、大勢の客で満たされていた。
並んでいるお客さんはいないけど、満席には変わらない。これは座れるまで時間がかかりそうかな、と、ロイが雑感を抱いた、やはりちょうどそのタイミングで、3人はとあるイヌ耳の少女に声をかけられる。
そしてそのイヌ耳の少女の対面の席には、ネコ耳の少女も。
「センパイ! ヴィキーっ、クリスっ」
「リ、タ、ちゃ、ん、声……大き…………い、よ?」
「ん?」
「こっちこっち!」
そこにいたのは、機嫌がよさそうにイヌのシッポをパタパタするリタと、ミルクを飲みながら読書をしていたティナの2人だった。
そしてリタは、ロイたちに聞こえるように、少しだけ大きな声で――、
「アタシたちと一緒に座ろうぜ~~っ! 店員さんの案内を待つよりも早いだろ!」
「えっ、それって少し勝手じゃ……」
「大丈夫! 他のテーブルを使うならまだしも、このテーブルは5人まで座れるから!」
こうして、ロイの人生で初となる、シーリーンもアリスも、イヴもマリアも、付き合いが長い女の子4人がいない、別の女の子4人とのカフェデートが本格化していくのであった。
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