ヘヴンリィ・ザン・ヘヴン ~異世界転生&成長チート&美少女ハーレムで世界最強の聖剣使いに成り上がる物語~

佐倉唄

1章1話 表彰、そしてスクープ(1)



 数日前、ロイは魔王軍の一員である魔物、リザードマンを倒すことに成功した。
 一介の学生が魔物を倒すことは驚くべき快挙であるし、普通なら殺されるどころか、一回でも抵抗することすらままならない。
 事実、グーテランド七星団学院に限らず、他のどの教育機関でも、魔王軍と遭遇したら神に祈りながら逃げるしかない、と、学生に指導しているぐらいである。

 要するに、ロイはもう、学生としては最上位の実力を身に付けているということ。
 もしかしたら現時点で、上位に行くことはもちろん非常に難しいが、七星団に入団することぐらいなら可能なのかもしれない。

 で――、
 それとは別に――、
 年が明け、新年早々――、

「ロイ・グロー・リィ・テイル・フェイト・ヴィ・レイク殿。貴殿はこの街、癒しの都と名高いツァールトクヴェレに潜む魔王軍の魔物を倒し、街に平穏と安寧を取り戻すことに貢献した。このことを讃えて、貴殿に表彰状と、賞金、そしてこの街の別荘を授与する」

 瞬間、参列者たちから盛大な拍手が沸き起こる。
 ロイの仲間ということで最前列に座ってもいいと許しを得て、事実、そこに座っていた、シーリーン、アリス、イヴ、マリア、リタ、ティナ、クリスティーナの7人も、彼に惜しみない拍手を送った。

「あはっ、流石はシィのロイくん♡ ますます大好きになりそう」
「危険なのに1人で戦いに臨むなんて……まっ、立派であることには変わりないわね」

「なんたってお兄ちゃんはわたしのお兄ちゃんだから、これぐらい当然だよ!」
「これでこそお姉ちゃんの弟くんです! お姉ちゃんとして鼻が高いですね♪」

「センパイ、ちょ~っスゲぇ! 男の中の男だなぁ!」
「うん……っ、本、当に、すご……い、よね……」

「お見事でございます、ご主人様♪」

 シーリーンは大好きなカレシの表彰に頬を乙女色に染めて、胸をトクン……トクン……と、高鳴らせて、アリスはロイに危険なことは1人でしないでほしいと思いつつも、それでも誇らしいことをしたことには変わりないので(まったく、ロイはしょうがないわね)というやわらかな笑みを浮かべた。

 イヴは妹としてますます兄が大好きになるし、マリアも姉としてますます弟を溺愛したと衝動に駆られる始末。

 そして、リタはロイにキラキラした目で憧れの眼差しを送り、ティアはどこか潤んだ瞳でポ~ッ、と、表彰されるロイを見つめ、クリスティーナは静かに目を伏せてウンウン、と、満足気に頷く。

 さて、ところで――ロイのことを表彰しているのは、誰か?
 常識で考えるならば市長、あるいは彼が多忙なら副市長なのだろうが、今回は違った。

 まず、街の中に魔物が潜伏していて、民間人がそれを倒した。
 これなら『彼』は間違いなく出てこない。

 次に、その民間人が学生で、しかも聖剣使いだった。
 これでも『彼』が出てくるには不十分だろう。

 だが、魔王軍はグーテランドの王女、ヴィクトリア・グーテランド・リーリ・エヴァイスにすでに接触していて、ロイは彼女を守るために戦った。しかも七星団の連中は魔王軍の魔物がヴィクトリアにすでに接触していることを知らず、動けるのはロイだけだった。

 これならどうだろう。
 これならば『彼』が直々にロイを表彰するのも頷ける。

「以上、グーテランド国王、アルバート・グーテランド・イデアー・ルト・ラオムが誉れ高き貴殿を讃える」

 そう、ロイを表彰しているのはアルバート、つまり、グーテランドの国王だった。
 加えて、参列席の最前列ではなく、壇上の来賓席には華やかで可愛らしい純白のドレスを身にまとった姫、ヴィクトリア本人まで座っている。

 アルバートが締めくくった瞬間、1つ前の拍手よりも殊更に盛大な、音、つまり空気の振動だけで建物を揺らすような拍手が発生する。

 国王が直々に国民を讃えるのは滅多にないことで、その内容は王女を狙う不届き者を倒したという功績。

 結果、余談ではあるが、後日、ロイはまたまた新聞に載り、世界一恋人にしたい男子ランキング1位、世界一この人と子作りしたいランキング1位を仕留めることに。

 で、数分後、ロイは控え室に戻ろうとするのだが、その最中に襲われた――、
 ――王国の報道機関の取材陣に。

「ロイさん! 学生が魔王軍と交戦して、そして国王様が直々に称えられるという歴史上、稀にみる快挙を達成しましたが、一言、お願いします!」
「王国の民は全員、新聞でロイさんのお言葉を読めるのを楽しみにしております! ぜひぜひ、一言でもよろしいので!」
「今、最も女性から人気がある若者と呼ばれていますが、ファンの女性に対して、なにか一言!」

「えっ……いや、あの……っ」

 録音機能を持つアーティファクトを押し付けてくる取材陣に対してしどろもどろになってしまうロイ。

 一方でシーリーンやアリスたちは、取材陣が人の壁となって、なかなかロイのことを救出できない。ちなみにイヴとリタに限っていえば、たくさんの人の中心になっているロイを見て、ますます好感度を上げている。また、ティナは(助……けなく、ちゃ)と思いつつも(で、も、す、ごい……なぁ)と二面性のある感情を抱き、他の全員とは少し違った特筆に値する反応を見せるも、人だかりが怖くて結局オドオドしてしまう。

 が、その時だった。

「ロイ様! 控え室にいないと思ったら、こんなところにいらしたのですね!」



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コメント

  • ノベルバユーザー26813

    のふなけやわ

    4
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