ヘヴンリィ・ザン・ヘヴン ~異世界転生&成長チート&美少女ハーレムで世界最強の聖剣使いに成り上がる物語~
4章9話 円卓の間、そしてロイヤルガード
そこにあったのは円卓だった。
場所は数日前にロイたちがヴィクトリアに勧められて泊まった七星団の要塞。
そして、その円卓の間。
それの周りには12脚の椅子が用意されていて、そこには6人の男と、同じく6人の女が座っている。その中には、特務十二星座部隊の星の序列第2位【金牛】アリシアと、第5位【獅子】エルヴィス、そして第9位【人馬】フィルも参列していた。
そう――、今から行われるのは特務十二星座部隊、その全員による円卓会議に他ならない。
「それでは、特務十二星座部隊の会議を始めたいと思います」
と、アリシアが切り出した。
「もうすでに皆さまご存知かとは思いますが、魔王軍との大規模戦闘が近づいております。敵の詳細な目的は依然、不明のままですが、だとしても、迎撃しないわけにはいきません」
自明だ、と、他の11人は各々頷く。
「マニュアルどおり、我々、特務十二星座部隊の一員には、戦闘の際にそれなりの数の騎士、及び魔術師を与えられ、これまたマニュアルどおり、我々はその部隊の指揮官を努める手はずとなっております」
みな一様に沈黙を守った。
異論はない、という意である。
「そして――」
と、アリシアが続けようとした、その時だった。
アリシアの隣に座っていた男が、ふいに、口を開こうとして、ゆっくりと挙手した。
それを他の11人は察して、口を挟まないようにしながらも、その男に視線を向ける。
その男は――まるで好青年のようだった。
その男は――20代後半ぐらいの見た目なのに、どこか若々しい少年のようだった。
その男は――だというのに紳士のように落ち着きを払っていて、加えて爽やかでもあった。
柔和な微笑みを絶えず浮かべて、目元からは優しい感じが伝わってくる。
世にも珍しいブロンドとプラチナが混じったような髪。
右目は茜色で、左目は空色。
長身痩躯で、しかし必要なところに必要な分だけ筋肉が付いている。痩躯といっても、筋肉がないというよりは、無駄な脂肪がないという意味合いである。
そう、彼こそは――、
聖剣、ミスティルテインに加えて、魔剣、ダーインスレイヴにも選ばれた、聖剣使いにして魔剣使いの二刀流。
魔術において時属性と空属性の適性も9という天才。
挙句、生まれながらにして魔術無効化体質というゴスペルを授かった、通称、神の子。
その男は――、
「申し訳ございませんが、いつものように、僕は戦いには参加いたしません」
――特務十二星座部隊、星の序列第1位【白羊】のロイヤルガード。
――エドワード・ノーブ・ル・ニューエイジ。
「相変わらずマイペースだな、エド」
と、エルヴィスが笑いながら突っ込んだ。
すると、エドワードは照れくさそうに頬を人差し指でかきながら、答えようとする。
「ハハハ……褒めてもなにも出ませんよ?」
「いや、褒めてないがな」
「えっ、そうなんですか? てっきり、褒めているものだと――」
「やっぱり、お前はどこかズレているなぁ」
許される程度、脱線が著しくないレベルで、会議の最中に会話に花を咲かせる2人。
すると、生真面目な性格のフィルが、エドワードに先ほどの発言について訊こうとする。
「やはり、エドワードは参戦しないのか?」
「ええ、僕は、国王陛下を守りたくてロイヤルガードになったわけですから、基本的に、戦争中は陛下の護衛が担当ですよ」
と、落ち着きを払った感じでエドワードは答える。
一応、エドワードの言っていることに間違いはない。エドワードが戦いの最前線に現れれば、彼1人だけで、相手が雑魚ばかりなら、少なく見積もって1万人は相手にできるだろう。だから彼を最前線に出すメリットは大きい。
だが、グーテランドは王国なのだから、当然、戦争時には国王に護衛を付けるのが道理というもの。
エドワードは最強の盾だ。
彼がいれば、少なくとも七星団の方が『組織のトップを失ったから負け!』という事態が100%回避できるのだから。
いささか慎重すぎる気もするが、エドワードを常日頃から国王の傍に置く、というのが、特務十二星座部隊の、ひいては国全体の方針であった。
「さて、話を戻します」
と、アリシアが仕切り直す。
「王国最強の集団、特務十二星座部隊といっても、我々の役割は戦闘、より大きく言えば、魔王軍を相手に戦争して、王国を勝利に導くこと。パンはパン屋という諺もありますし、具体的な作戦については、参謀司令本部が考案して、決定し次第、各員に通達します」
「――異議なし」 と、フィルが他の隊員の意見を代弁する。
「さて、前置きはこのあたりにして、そろそろ本題に入りたいと思います。本日の議題は――」
「ところで、エルヴィス」
と、またもやエドワードがアリシアの発言を遮る。
「なんだ?」
「ずっと気になっていたんだけど、君の後ろにいる彼は――?」
そう、会議が始まる時、エルヴィスと一緒に入室してきた少年。
会議が始まっても、ずっとエルヴィスに付き従うように斜め後ろに立っていた少年。
彼は――、
「やっぱよォ、オレがここにいちゃマズイんじゃないですか?」
「そんなことない。オレの今のところ、唯一の弟子なんだからな」
「今のところ、ねェ」
と、快活にニッ、と、笑うエルヴィス。
翻って、どこか居心地が悪そうな少年。
「彼の名前はレナード・ハイインテンス・ルートライン。
オレに弟子入りしたいと申し込んできて、
現時点でオレの試験をクリアした唯一の少年だ。
オレはこいつを次の戦場で、オレの背中の一番近くに立たせ、最前線に挑ませるつもりだ」
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