ヘヴンリィ・ザン・ヘヴン ~異世界転生&成長チート&美少女ハーレムで世界最強の聖剣使いに成り上がる物語~

佐倉唄

4章2話 謁見の間、そして国王(2)



「――、貴様、それでも余に仕える大臣か?」
「ハッ、も、もも、申し訳ございません! 陛下に対して反論など……っ、しかし!」

「違う」
「はい?」

「自分の子供が他人ひと様に迷惑をかけた。ならば、それを謝罪するのが親というモノだ」
「ですが、陛下は親である前に国王でして……っ」

「ならばなおさらだ。王女が初対面の人に迷惑をかけるなど、王女の親、つまり国王である余の教育の不届き。王家として許されることではない。我が国の底が知れるぞ? 責任のある立場だからこそ、自尊心のために謝罪を恥ずかしがってはならない」
「それは……その……」

「国王とは! 国民にとって先導者であり! 人としての見本、生き様の手本でなくてはならない! 王国に住む子供の親にとって、余は親の教科書そのもの。その教科書がこういう時に頭を下げず、他の誰が頭を下げるのか!」
「も、申し訳、ございません……でした……」

 おずおずと引き下がる大臣。
 それを確認すると、アルバートは再び玉座に座り直す。

「さて、諸君、特にロイ・グロー・リィ・テイル・フェイト・ヴィ・レイク君には多大な迷惑をかけてしまった。こちらには、当然だが事情を説明する義務がある」
「――は、はい!」
「そう緊張しなくてもよい、と、言っても無理な話か。ハッハッハッ、まぁ、今回に限るが、友達の親と話しているような気構えでいてくれ」

 ひとりだけ名指しされたので、ロイは慌てて返事をする。
 すると、アルバートは快活に笑ってくれた。単純に笑みが零れたというものあるだろうが、それとは別に、ロイたちの緊張をほぐそうとしてくれたに違いない。

「最初に、余の娘について話しておこう」

 すると、アルバートの横にいたヴィクトリアが、一歩、前に出る。

「もう知っているだろうが、諸君がヴィキーと呼んでいたこの娘は、余の娘、ヴィクトリア・グーテランド・リーリ・エヴァイスといい、要するに王女である」

「みなさん、ご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ございませんでしたわ」
「ヴィクトリアは先日――せっかく視察地の近くに温泉街があるのだから、観光してみたいですわ! と言い始めた。それで、七星団の適当な魔術師に頼み込み、透明になれる魔術でここを抜け出し、そのあとは認識阻害の魔術で顔が割れないことをいいことに、遊び呆けていたらしい」

「それで、ボク――いえ、失礼いたしました。私たちのもとに?」
「そうだ。しかし嘆かわしいことに、その事実は先ほどまで我々も知らず、ヴィクトリアの口から初めて聞いた」

 ふいにアルバートがヴィクトリアのことを強く睨む。
 で、怯えて身を縮こませるヴィクトリア。

「諸君らに国家反逆画策罪が適応されそうになったのもそのためだ。てっきり、こちらは諸君らがヴィクトリアを口八丁手八丁でノリ気にさせて、騙して、誘拐したのだと勘違いしてしまった。繰り返しになるが、本当に申し訳なかった」

 そして、アルバートはさらに続ける。

「ヴィクトリアの脱走を手伝った七星団の団員は、すでに特定していてある程度の罰も、現在進行形で執行中だ。そしてヴィクトリアにも、身内だとしてもあとで罰を与えるつもりだ」

「ぐぬぬ……」
「規則に例外があってはならない。それが例え王族だとしても、だ。これを道理だとは思わないか、ヴィクトリア?」

「そ、そのとおりですわ……」
「よろしい」

 なんとなく微笑ましいヴィクトリアとアルバート、娘と親のやり取りを見て、ようやくロイたちは緊張がほぐれてきた。それだけではなく、この場に長くいるということもあるのだろうが。

「さて、諸君らにはもう遅いから、ここに泊まっていってほしい」

「そ、そんな! 恐れ多い!」 と、ロイ。

「なにを言う。諸君らとヴィクトリア、いや、ヴィキーは友達なのだろう? 実際には別荘ではないが、友達の別荘みたいな物に泊まることを恐れ多いと感じる理由がどこにあるというのか」

 イジワルそうにアルバートは笑った。
 国王にこのように言われては、いくらなんでも反論なんてできるはずがない。

 こうして、8人はアルバートのいうところのヴィキーの別荘、つまりは七星団の要塞に泊まることが確定した。

 が――、
 ――ロイは謁見の間を去る際に、1つ、あることを思い出す。

 なぜ、イヴはヴィクトリアに、闇の魔術の匂いを感じ取ったのだろう?



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コメント

  • ノベルバユーザー359879

    それな

    0
  • Kまる

    それ俺も思った

    4
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